新型コロナウイルスによって,テレワークでのテレビ会議以外にも,親子でのミニイベント参加やミニパーティーなどにZoomが活躍している。筆者は昔からSkypeを使って国内から海外まで,多くの人とビデオ会議をしたり,固定電話に安価に電話をかけたりしてきた。相手がすでにSkypeに入っていれば比較的簡単だが,まずSkypeをインストールしてもらうところから始まる。当時はまだノートパソコンよりもデスクトップ型が主流だったため,Webカメラも取り付けてもらう必要があった。
その後,ノートパソコンが主流になり,Webカメラがほぼ標準的につくようになった。Skypeの設定も楽になったが,実はあまり使わなくなっていた。
スマートフォンが当たり前になり,一般の人が複数のメンバーで音声会話する「音声チャット」を当たり前にしたのが,LINEだった。そのうちビデオチャット,つまりビデオ会議もLINE上で普通に行われるようになった。おそらく日本ではかなりの割合でLINEのアカウントを持っており,ビデオチャットができる環境はすぐに構築できた。プライベートなミニパーティーなら,これで十分だ。
しかし,LINEをビジネス用途に使うには,アカウントが個人のものであるため,賛同を得にくい。かといって,まともなテレビ会議システムを導入しようとすると,かなりの投資になる。支社が海外にあるとか,全国の店長が同時に打ち合わせをするといったニーズがなければ手が出ない。今回の新型コロナウイルスの対策としてのテレワークなら導入の価値があるが,会社経営そのものが成り立たなくなりそうな雲行きの中で,また導入は難しくなった。
そこで救世主のようなソフトが浮上した。テレビ会議システムのZoomである。100人までは無料で無制限にテレビ会議ができる。しかもパソコンでもスマホでも可能である。会議の主催者が,会議IDとパスワードを参加者にメールで送る。すでにZoomを導入している人はすぐに参加でき,まだ導入していない人は,同時に送られてくるインストールサイトのURLを開けばインストールができ,そのまま会議に参加できる。この流れが実にスムーズである。
さて,ビジネス用のテレビ会議で問題になるのは,家で参加するときにその生活臭をいかに消すかである。スマホの場合は,カーテンの前とか無地の壁の前に移動して会議に参加すればいい。ところがパソコンの場合はちょっと面倒である。ノートパソコンですら,机の上に置いて使うため,テレビ会議のためにパソコンを動かすのは面倒である。デスクトップ型ならなおさら移動は難しい。
パソコン用のZoomには,背景を別の画像に入れ替える機能がある。いわゆるビデオクロマキーである。しかしこのためには,背景が均一色になっている必要がある。ところが,背景が均一なら生活臭はない。わざわざ画像を入れ替える必要もない。しかし,仕事をする部屋やリビングで背景が均一な場所など,普通の家にはないと言ってもいい。少なくとも我が家にはない。
そこで自分がパソコンの前に座った状態で,背景を均一にする方法をいくつか考えてみた。かなり広い面積を必要とするため,素材としては,紙,布,板,の順に考えてみよう。
まず紙。比較的大きい紙として模造紙を考えてみた。標準のサイズは四六判(788mm×1091mm)で,余裕を考えると2枚ほしいところである。しかし,一度はいいかもしれないが,2度3度と使うとシワが出たり破れたりしそうである。
丈夫な紙としては,障子紙やふすま紙がある。これらは,幅940mm×長さ1800mmある。家の障子やふすまの前なら,すでに平らに設置されており,幅もギリギリながら,テレビ会議の背景に使うことはできる。問題は,部屋の壁側にモノが置いてある場合,その手前にぶら下げなければならないが,その方法が意外にないことだ。長さ1000mmの棒に紙の一端を貼り,この棒を部屋の鴨居や天井からヒモで吊るせばいいが,これがまたいい固定場所がない。棒と障子紙1枚分が,意外に重量がある。ヒモを張り渡してそこに掛けることも考えたが,やはり紙の重さから垂れ下がってしまう。紙にもシワが寄ってしまう。
布の代表格は,カーテンである。ところがカーテンはさらに重い。張り渡したヒモでは垂れ下がる,棒はもっとガッチリしたものが必要である。するときちんと固定しなければならず,家の部屋の真ん中にカーテンを張るには家族の同意も必要で実現しにくい。軽い布でシーツや布団カバーも考えられるが,かえって生活臭が漂ってしまう。
自宅にプロジェクターがあるのなら,プロジェクターのスクリーンを使うのがベストである。スクリーン表面のシワもない。みごとに生活臭はなくなる。しかしこのための投資もバカにならない。
板状のものなら表面が均一で,背景として問題ない。木の板は重いし購入も移動も大変である。普段使わないときの置き場にも困る。スチロール系の板は軽くて安い。しかしやはり使わないときの置き場に困る。
そこでいろいろ探してみて,結構良かった方法をご紹介したい。それは,洗濯ロープと軽量のシャワーカーテンを使う方法である。ある100円均一ショップで,長さ5mの洗濯ロープと白いシャワーカーテンを購入した。長さ5mあると,6畳の部屋の長い辺に張ることができる。シャワーカーテンは,1350mm×2000mmだった。障子1枚分より幅が広く,余裕があった。軽量のため,洗濯ロープもほとんど下がらない。使い終われば部屋の端に寄せればいい。シャワーカーテンのシワが多少目立つが,生活臭を出さないという目的は十分に達成できた。勤めている会社では,ビデオ会議を導入することはないと思われるが,親子のミニパーティーなどにはこれからは気軽に参加したいと思っている。