jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ほどけない結び方研究

チョウチョ結びはすぐにほどける。NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」の2019年6月7日放送でも取り上げられたテーマである。

 これの解答として有名なのは,番組でも紹介されたイアン・ノットである。特に靴ひもの場合は有効なようで,山歩きをする人のWebサイトでも紹介されていた。

https://yamahack.com/2404#content_135344_0_1 動画も紹介されているので,ぜひ参考にしていただきたい。ここでは,①イアン・ノット,②イアン・セキュア・ノット,③ベルルッティ結び,という3種の方法が紹介されている。

 さて,結び目がほどけて一番困るのが「靴ひも」なのだが,そもそも靴ひもはそれほどほどけやすいわけではない。素材は主に丈夫なポリエステルが多いようだが,靴ひも選びをするときに色,長さ,断面の形は紹介されても,素材が紹介されることはあまりないようだ。

 スニーカーなどに使われる断面が平形の靴ひもは,適度な伸縮性と弾力性,また編み上げる方法により,結び目でキュッと締まるため,ほどけにくい。

 登山靴に使われる断面が丸い靴ひもは,強度を持たせるために伸縮性や弾力性をあまり持たせないため,結び目が締まりにくい。しかも水に濡れることを前提としているため,編み上げる1本1本の糸に水が染み込みにくくなっており,靴ひもの表面もツルツルしている。革靴の細い靴ひもも,表面にコーティングをしているため,伸縮性,弾力性がなく,表面もツルツルしている。これもやはりほどけやすい靴ひもである。先のサイトも,靴ひもが前提になっている。

 さて,ここで考えたいのが「もっと滑りやすいひも」の結び方である。そんなヒモがあるのか,というと梱包用の丸ひも(ロープ)である。材質はポリプロピレン(PP) が多い。洗濯ロープにも使われている。曲げたり結んだりした時の弾力が強く,簡単にほどけてしまうため,普通は玉結びにしてしまい,必要なくなればひもを切断して使い捨てにしてしまう。

 ほかに手芸用でも滑りやすいひもはある。巾着の通しひもなどは,滑りやすい方が使いやすい。ポリエステルやアクリル繊維が使われる。登山靴のひもと違って柔らかい。しかし,やはり滑りやすい。

 巾着には2本のひもを通すが,それぞれのひもはほどけないように固結びしてある。問題は,巾着を絞ったとき,その2本のひもをまとめて結ぶときである。一方が2本になっているので,合わせて4本のひもをまとめる必要がある。2本のひもでもほどけやすいのに,4本のひもを結ぶと,やはりほどけてしまう。

 我が家でいうと,買い物用の大型のエコバックの口を巾着のように縛り上げるひもが問題になった。かなりほどけにくいはずのイアン・セキュア・ノットを試したが,緩んでしまったのである。

 そこで考えた。靴ひもと違って左右対称に“見た目良く”結ぶ必要はない。ならば別の方法があるだろうと。その方法は,「ボウ・スリップ・ハイブリッド結び(BSHノットあるいはBoSHノットの方が格好いいか)」と名づけた。ボウノットはいわゆる「チョウチョ結び」,スリップノットは「引き解け結び」である。

 手順は実に単純である。まずボウノットの半分,つまり双方を1回だけ巻くところまで行う。次に4本まとめてスリップノットを行う。玉結びをする要領で,端を引けばほどけるようにする。これだけである。

 巾着の内側からは両方のひもを引っ張る力が働き,スリップノットを片方から引くだけなので,ほどけることはない。むしろ,スリップノットの固まりを強く引くことによって,ますます固く締まることになる。逆に巾着側が緩んでも,スリップノットの玉結びがほどけることはない。ほどくときは,スリップノットの端を引けば簡単である。

 見た目はガサツだが,かなり効果はあると思う。なにより,イアン・セキュア・ノットの第2段階で2本ずつまとめて結ぶという動作が,ひもが短くなると意外に難しいという経験から編み出した方法である。商品化や特許が取れないのが残念だが,公開することにした。