新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために,休業要請されている「遊興施設等」。キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、バー、個室付浴場業に係る公衆浴場、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、ライブハウス 等とされている。
「不要不急」と言われればしかたがない。「濃厚接触」をウリにしている設備,あるいは「閉鎖空間」をウリにしている設備である。その半分は,女性の性をウリモノにしている業種,残り半分は,ギャンブルとオタク関連業種である。
性産業も賭け事もアングラ産業も,太古の昔からの商売である。何千年経ってもなくならないものだ。胴元がいて,金を払う対象があって,客から金を巻き上げる。基本的には裏の世界の商売である。性産業は必要悪。一方,ギャンブルは公営,オタクは社会の最先端の商売,ということになると,潰れても困るし,潰さなくても困る。
売り上げが落ちることは必至。ではそれを都道府県の血税で補填することについては,反対意見が多いだろうが,行政としては見捨てるわけにはいかないのかもしれないし,はっきり言うことはできないのだろう。仕事による差別ということになるからだ。
売り上げが50%落ちた,といっても,その額が桁違いに大きい。とても公平な補填とは言えないだろう。行政としては取り扱いがやっかいな業種である。
兵庫県芦屋市の自慢の一つに,昔から市内にパチンコ店が1軒もないことが挙げられる。映画館が1軒あったが,何十年も前になくなった。小さな市であり,高級住宅街としても有名だ。今でいうと「ハイソ」な街である。交通の便のいい阪神間の真ん中にあり,遊興施設が必要なら阪神間の市外にあり,それで事足りた。決して遊興施設なしで過ごせたわけではないのである。
仮に,遊興施設の損失に対して都道府県が補てんせず,それで倒産したとしても,彼らは必ず復活する。すでに,それぞれの店による業務の発展型として,出張サービス,映像ビジネスへの展開,また「ゲーム」という名前に変えての低年齢層の洗脳ビジネスなど,時代の最先端を突き進んでいる。業態の継続をサポートしなくても,形を変えたビジネスモデルで生き残るに違いない。
キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、バー、個室付浴場業に係る公衆浴場、個室ビデオ店など,前半に名を連ねた性をウリモノとする業態は補填なし。ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場など,性産業ではない場合はサポート,勝馬投票券発売所、場外車券売場などのギャンブルもサポートなし。ライブハウスなどの音楽系はサポートあり,と明確に分けてはどうだろうか。
「遊興施設」とひとまとめにしたのは,性産業をやり玉に上げるための作戦だったと思われるが,逆に行政手続きとしてはややこしくなっている。細分化して,「休業要請するがサポートはしない」業態と,「休業要請するがサポートする」業態に明確に分けて,対応も明言すべきだろう。