jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

Go To トラブルの間違いでは

2020年7月22日。新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けている観光業界への救いの手段としての「Go To トラベル」キャンペーンが,第2波拡大の最中にスタートしてしまった。個人的には「go travering」とか「go for a trip」の語感の方が好きなのに加え,東京都の新型コロナウイルス感染発覚者がここ10日間連日で100人超え,200人超えとなる中でのスタートで,さまざまな混乱を招いていることから“Go To トラブル”に聞こえてしまうのである。

 政治家の行動パターンがまた明らかに見えてくる。地元選出の議員は,地元優先である。地元が困っていたら,それを助けるために何が何でも政治活動をする。そして地元に降りた金のうち何割かが議員の懐に収まる,という構図である。新型コロナウイルス禍では,日本中の観光地がお客様9割減という状況に陥り,悲鳴を上げた。その声は地元の議員に伝わり,全国的なキャンペーンの実施へと政策を動かしたというわけである。

 新型コロナウイルス対策専門委員会は,被害を防ぐための方法として,行動の自粛を提案したが,非常事態宣言という政策に反映されたのは数週間遅れだった。病気の蔓延を防ぐことによって経済的な損失を抑えるという意味で重要だったはずだが,人の移動制限による経済的な損失を生んでしまったことで,政治的には無用な存在と判断され,解散してしまった。そして,人の移動制限を解除し,経済的な復興を図るという地元優先政治家の集まりである国会の決定が優先されて,このキャンペーンがスタートしてしまったというわけである。

 すでに,海外からの観光客(インバウンド)による収入が半分以上を占めている現在の日本の観光業にとって,国内の需要を100%復活させたとしても,根本的な対策にはならない。このキャンペーンが,感染第2波がなく順調な滑り出しをしたとしても,せいぜい国内需要の30%ぐらいしか人もお金も動かない。その差額をまた税金で補填するわけだから,いつまで経っても経済が正常に戻ることが期待できない。

 小池東京都知事が7月5日(日)の選挙で二選を果たしたのは,リップサービスと言われながらも比較的わかりやすい説明で東京の感染拡大防止策を進めてきたことへの評価だったと思っている。当選の暁には,早速翌日には2回目の東京アラートを発することをみんなが待っていたのではないだろうか。

 しかし現実には,おそらく政府との何らかの政治的取り引きがあって,東京アラートは発せられず,その後も発令の基準がどんどん曖昧になり,結局発令されないまま今日に至り,連日の100人超え,200人超えの第2波状態を招いてしまった。

 おそらく,今回のキャンペーンを実施するために,「今,東京アラートを再発すれば,キャンペーンが取り消しになる」との圧力があったのではないかと推測される。

 しかし,現実はキャンペーン前日になって,東京への移動,東京都民の旅行移動は自粛が求められた。この会見を行った赤羽国土交通大臣の態度は,まさに「ドタキャン」で開き直っているように見えた。そのくせ,質疑応答は自信なさげで説得力がない。キャンセル費用の補填やキャンセルの基準も結局曖昧なままである。筆者以外のさまざまなところから同じような批判を受けると思うが,最終的には辞任するという手があると思っているから,このような無責任な応対をするのではないかと思っている。

 それにしても,非常事態宣言解除のときもすぐに遊びにでかけた人がかなり見受けられたが,「Go To トラベル」でもすぐに予約を入れて出かけようとしている人がこんなにいるんだなと思った。それを豊かさと呼ぶか,お上りさん気質と呼ぶかは,その人の立場によるのだろう。格差社会の下の方にいる筆者にとっては,何の恩恵も受けないキャンペーンであることに変わりはない。