jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ああ,また買い占めか---うがい薬の件

2020年8月4日,吉村大阪府知事がうがい薬による新型コロナウイルスへの効果についての専門家の研究成果を発表したそうだ。今回はこの情報を確認していない。

 今日のワイドショーで,20分で店頭からうがい薬が売り切れたという話がされていた。

 納豆に風邪を防止する効果があると放送されれば納豆が消え,きな粉がダイエットにいいと報道されればきな粉が消える。筆者は一度もこういう行動を取ったことがないので,きっとこういう買い占め行動を取る人はいつもそういう行動を取る人なのだろうと推測する。これをまたネット販売で10倍の値段で売られているらしい。

 安いものを見つけてきて買い付け,これを適正な価格で販売する,というのは商社のビジネスモデルである。手近な店で買い付けて転売するというのは,いわば高利貸しと同じである。通常の融資でもせいぜい15%の利息だとして,10倍というのは利息1,000%ということだから,いかに悪質か分かるだろう。

 商品を購入するわけだから,いわば情報に基づく投資と言えなくもない。早いもの勝ちで何が悪い,と開き直られそうだが,株式投資などと違って公開の市場があるわけでもなく,法律もない。買い占められた商品は,必要に応じて企業が生産したり輸入したりする必要が生じ,しかし,同じ現象は繰り返されるので,市場には商品が戻って来なくなる。つい半年前に使い捨てマスクで同じことが起こったではないか。

 結局,国民の卑しい行為を助長させている原因は,結果を全く予測せずに報道するマスコミである。また,発表する側,今回は吉村大阪府知事側に「報道協定」を促す態度が見られないことである。

 誘拐事件では,警察の発表に対して「報道協定」が敷かれることがある。報道が拡散されることによって犯人を刺激し,誘拐の被害者の生命の危険が脅かされることを防ぐのが目的である。そして,その中で結局いつも「協定破り」が出てきて,情報が拡散してしまうのである。

 今回の発表によって,こうした無知なマスコミに情報を流した場合に,何が起きるか,知事は予測できたのではないか。まず発表すべきかどうか,また発表するにしても報道協定的なものを要請すべきでなないのか。

 使い捨てマスクの買い占めの後のネット転売問題が起きた際,消費者庁が適切な対応をしていなかった。また本ブログでも指摘したが,ネットショップの運営プラットフォームが不適切な値段設定に対して抑止する仕組みがなかった。今回の騒動でも,結局運営プラットフォーム側は何の対応をしないのだろう。彼らにとって,購入者はお客様ではなく,出店者がプラットフォーム側にお金を出してくれるお客様だからである。

 買い占めというのは,かなり確率のいいギャンブルである。もちろん,株などへの投資も,ギャンブルと言えなくもない。負け続けた後に巨額の利益が出て儲かることもある。一度その快感を覚えると,やめられなくなるのだろう。パチンコなどもそうだろう。明治時代から,株や小豆相場で大儲けをしてきた人たちもいる。現在ではAIコンピュータが取り引きをしているケースもある。楽して大儲けしたい,というのが現世人類のもう一つの進化した性格なのかもしれない。

 男性と女性の意識改革の意見を今朝アップしたが,うがい薬買い占めのニュースはその後に知った。これはもう,日本人には特に抑えの効かない行動なのだと改めて感じた。

 キリスト教を信奉する人たちは,聖書の教えに従って「相互に助け合う」という気持ちがその根底にある。教会を中心としたそれぞれの地域で,街の美しさを保つ約束事をつくったり,教会の活動を通じて地域の老人の面倒を見る体制ができている。これはもう30年も前に筆者が留学したアメリカや,仕事で訪れたヨーロッパで感じたことである。別にキリスト教を称賛しているわけではないが,宗教の力が働いている国というのは,ある意味でいい国だと思ったものである。

 当然,アメリカやヨーロッパでも犯罪は起こる。多くは金銭的な貧困によるものである。しかも欧米では他国からの移民や白人以外の人種の移民を受け入れている多民族国家であり,人種間,出身国間の差別意識は想像を絶する。現在のアメリカの白人至上主義による事件や,地震などの災害時の暴動・強奪などを見るたび,多民族・多宗教国家の運営の難しさを感じる。

 一方,日本は基本的に「日本人」という単一民族国家である。言葉も基本的に日本語だけの一言語国家。海を隔てているため,他国からの不法侵入は少ない。しかも,他宗教を容認する仏教やその他諸々の宗教があるが,日常生活で宗教の教えに従って行動する人はごくわずかである。

 そういう日本で,災害時に暴動が起こらず,取り壊しもなく,ボランティアで人を助けたいという人もかなりの数いることに,世界の国々は驚きの気持ちを持っている。緊急時にそのような整然とした行動が取れると思われている。

 しかし,災害が起こると,盗みを働く人がおり,悪質商品を売りつける人がおり,復興という名の詐欺を行う人がいる。日本人はやはり小市民だな,と思ってしまう。

 何でもかんでも法律で縛ることはできない。またその法を執行しようとすると,個人の権利との戦いになる。買い占めを禁じる法律ができたとしても,実際には20分で店頭からモノは消えてしまうのである。

 マスクの買い占め問題の際は,戦後の闇市に見立ててネットショップの運営指針を批判した。動物に例えるのは可愛そうだが,ネットショップはゴンドウクジラで急に向きを変えられないでおり,そのおこぼれを狙うコバンザメが山のように身体にくっついているような状態をイメージする。しかもこのゴンドウクジラはまた,コバンザメのおこぼれに預かっているような,相互共生関係にあるような気がする。エサにされているのは,一般消費者である。

 国民が利益を得られるような社会を作ることはできないものだろうか。経済的格差,教育上の格差,地位の格差などを考えると,ボトムアップで理想国家を作って行かなければならないかもしれないと思ったりする。トップダウン社会主義は,必ずトップがボトムを搾取する構造になるので,もっと極端な格差社会になる。

 マイナンバーカード登録を促進させる目的で,マイナポイントという還元の仕組みを国が主導で2020年9月から半年間の期限付きで行われる。まず,マイナンバーカードを簡単に作れる環境が必要である。たとえば就学時にはマイナンバーカードを作るような仕組みが必要である。今回の枚なポイント措置では,主婦や学生はほとんど動かない。

 実はこの仕組みで国民の購買行動が監視でき,買い占め行動などの抑制や,店舗側の体制強化などの措置が取れるのではないかと考えたのだが,結局は現金でモノを買い,個数制限されれば複数の店を転々と動いては買い占める,という行動は阻止できないなぁと理解してしまった。

 『万引家族』という映画が,世界で評価された。これは日本という国が万引を黙認しているという意味である。まことに嘆かわしく思っていた。なんて矮小な国なんだろうか。スケールの違いは,マフィアを主題とした『ゴッドファーザー』,戦争帰還者の悲劇を描いた『7月4日に生まれて』,障害を主題とした『レインマン』や『フォレスト・ガンプ』など,深刻な話題をテーマにした海外の映画と比較すると理解しやすい。日本がここまで大きな問題を抱えていないというのは幸福だが,現在の高齢化社会認知症問題などをどう捉えるのか,矮小な配役からも見て取れる。

 日本人は結局,世界をリードする国家にはなっていないのである。戦後の経済復興は世界から称賛されているものの,実はアメリカの特許を侵害していたり,公害を撒き散らしても汚染した大気は偏西風が太平洋に吹き飛ばしてしまい,汚染した水は太平洋に垂れ流して薄めてしまう,という恵まれた環境にあったため,だれも批判しなかったという幸運がもたらしたものである。福島原発の汚染水をどうするかという問題が起きているが,正直,そのうちもう1回関東や東日本に大地震が起これば,タンクはすべて破壊され,一気に近海に流れ込むことになるだろう。それならば,評価は難しいものの,沖合のかなり遠いところまでパイプラインを沈め,太平洋の深海に向けて流す方法を取らざるを得ないのではないかと考える。すでに,深海1万メートルまでビニール袋のゴミで汚染してしまっている世界である。正直,今さらどうなるものでもないという諦めもある。

 沖縄の美しい海を埋め立ててアメリカ軍のための基地を移転させることを簡単に実行してしまう今の政府が,新型コロナウイルス禍に対して適切なタイミングで決断をしたことがなかった。逆に第二波が明らかに起きている最中にすでに決めていたという理由で旅行キャンペーンを強行してしまった。これだけちぐはぐな決定をする国もないのではないかと思う。小市民の国民日本,決断力のない日本政府。せっかくの独立した立地で,民族問題もほとんどないという奇跡のような環境があるのに,なぜ理性的な行動が取れないのだろうか。一度だけ訴えたが,こういうときこそ,天皇の出番ではないのかと思ったりする。天皇陛下が,国民に向けてメッセージを発するべきではないのだろうか。愚行を働いている日本人の半分は,目が覚めるのではないかと思ったりする。いまさらもうお願いはするつもりはない。日本にとっては『日本沈没』が適切な主題なのかもしれない。