jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

急速に発達する昨今の台風に恐怖--「新しい日常」に「災害対応」を加える

2020年10月7日に熱帯性低気圧から台風に成長した台風14号。この執筆時の10月8日朝には,970hPaに発達した。つい2日前は990hPaだったので一気に成長した感がある。

 それにしても,970hPaといえば「強い」台風である。以前は台風でも980hPaぐらいで強いなという印象だったが,最近の台風は970hPaは当たり前。950hPaだの910hPaだの恐ろしい数字が並ぶ。台風の強さの基準としてよく取り上げられる伊勢湾台風(1959年)は最大で900hPaを下回る気圧を観測し,日本上陸時は約930hPaだったという。筆者の記憶では「945hPa」という数字が何度か報道されていたのではないかと思う。

 これを基準にすると,今回の台風はたしかにそれほど大型でも猛烈でもないのだが,この10月に日本の近海で一気に台風になったというところが怖い。近年の海水温度の上昇で日本付近でも海水温が高いことが原因だが,台風の目ができて雲が渦を巻いている状態を見ると恐怖を覚える。

 昔は,台風が上陸して風や雨がだんだん強くなり,台風の目に入るとしばらく風が収まり青空まで見え,そしてまた風雨が強くなる,といった教科書で習ったようなことを何となく冷静に観察していた。しかし昨今は,竜巻の様な突風や集中豪雨のような大雨が襲い,それに続く停電や水害の心配までしなければならない状況である。「50年に一度」「100年に一度」などという言葉が毎年のように使われるが,この規模の台風が常態化してしまっている。

 台風の発生数が減り,規模が大きくなった。昔は毎年20個を超える台風が発生していたが,現在は10個台である。海水温が高いメキシコ湾で発生するハリケーンは,昔から伊勢湾台風クラスよりも強力で,これに襲われるアメリカは大変だなと昔は思っていた。今,太平洋で発生する台風は,昔のハリケーンクラスの規模になっている。一級河川の堤防が決壊し,鉄橋が流されるほどの大雨になったりするのは,現在の建築土木インフラが現在の自然災害を想定していないからであり,また高度成長期に設置されていらい,老朽化して当初の性能も維持できていないことである。

 可搬重量100kg程度,航続時間1時間クラスの産業用ドローンを,監視用や救助用に使うアイディアを以前紹介した。堤防などのハード面で「想定外」の災害に対応できない現在,監視のIT化,運用のAI化などのデジタル技術による強化が必要である。もちろん,災害を想定した避難訓練や,非常用品の確保,マニュアル化などのソフト面での準備もますます欠かせなくなっている。

 新型コロナウイルスへの対応で,マスク,フェイスシールド,手指消毒,施設の拭き取りなどが進められているが,半年経過してもいっこうに成果が出ない虚しさがある。災害対策に至っては,一時的に準備はしても,常に意識することは困難で,肝心のときに対応できないことが多い。この際,「新しい日常」の中に,大型災害対応も加えてはどうだろうか。

 以前,水の確保については考えたことがある。我が家は5人家族である。水は大人が1人2リットルが必要というので,これはペットボトル5本である。少し余裕を持たせて6本とすると,スーパーマーケットで販売されているミネラルウォーターの1箱が1日分である。これを6箱,36本購入すれば,6日間の飲み水を確保できることになる。

 問題はここからである。一般にミネラルウォーターの保存期間は約2年である。このため,一度購入してしまうと安心して物置に保管してしまい,保存期間を過ぎたころに実際の災害が起きて使えなくなる,という事態が起きる。非常食や乾電池も同じように,「非常時に使えない」という事態になる。以前は「年に一度,防災の日にメンテナンスしましょう」「防災の日は非常食を食べて,新しい非常食と入れ替えましょう」と言われていたが,数日分の非常食や水を一度に購入すると結構な額になることから,一度購入したらそのまま放置,という状態に陥っている家庭が多いのではないだろうか。

 そこで考えたのは,1ヶ月31日の31本の2リットルペットボトルを,毎日1本ずつ水道水で入れ替えることである。31本のペットボトルのキャップに1~31の数字を書く。その日のペットボトルの水を風呂水に加えて空にし,新しい水道水を入れて元の場所に置くのである。水道水の保管期間は,飲み物として使うなら冷蔵庫で1週間と言われているが,1ヶ月ぐらい放置しても別に腐りはしない。風呂水やトイレの洗浄水に使うのなら十分である。もし突然の断水で水が使いたければ,新しく入れ替えた1週間分の7本の水なら飲み水として使える。今回のような台風が接近している場合は,ぜんぶ新しい水に入れ替えれば,飲み水として使える1週間分を確保できることになる。

 問題といえば,31本のペットボトルを置く場所の確保だろうか。廊下に10本,ダイニングの足元に10本,洗面所に10本,といったぐあいに分けて置くことを考えるといいだろう。あとは,だれが水の入れ替えをするか,入れ替えたことをどう他の家族に伝えるかといった「運用」のルールも決めなければならない。もっとも新しく水を入れ替えたペットボトルの首にタグをぶら下げる,などの工夫はどうだろうか。

 結局,これは非常食を揃えるという「ハード」はできても,これを運用する「ソフト」ができていないことによる。

 新型コロナウイルスへ対応するための「新しい日常」では,ソーシャルディスタンシングのための足形シールやウイルス対応をした店舗を証明するレインボーマーク,そして個別の店舗でのマスク着用案内やアルコール消毒ボトルの設置など,目に見える形でアピールされてきた。電車の窓開けも,当初は声がけだけだったが,ポスターや車内放送,職員による実施などが功を奏して,「当たり前」のように行われるようになった。「ソフト」面でアピールした成果である。半年前には考えられなかったことだ。

 同じように,自然災害対策においても,毎日,目にするところに対応マニュアルを掲示するようにしてはどうだろうか。これも「新しい日常」になるかもしれない。