オヤジギャグが出るのは、脳の前頭葉の衰えが原因だという。社会性を司る前頭葉が衰えることで、本来は言葉にしたらヒンシュクを買うと思っても、それを口にすることを抑えられなくなり、これがダジャレやオヤジギャグとなるのだという。
アルコールを飲むと、やはり前頭葉の制御が効かなくなる。酔っぱらいの言動、行動はその最たるものである。
電車の中での身勝手な行動も、オヤジ年齢が引き起こしていることが多い。理性が効かなくなっているのだろう。
若い人でも、この前頭葉の衰え、あるいは未発達が原因と思われる言動は見られる。ヤンチャ系の行動がそれに相当する。何らかの報酬と結びついているため、快感が理性に勝っているのだろう。貧困による歪んだ社会が原因だと考える。
一時、ゲームやマンガによって健全な心の発達が阻害されると言われていた。筆者もなるべく距離を置いてきたため,いまだに抵抗感がある。へたに手を出すと,のめり込んでしまうのではないか,という恐怖がある。けっこう「はまる」タイプなので。
ところが最近は、このジャンルが文化面としても職業面としても注目されている。
文化面は,世界へのアニメの輸出である。表現法やストーリーの独自性が高く評価されているようだ。もちろんすべてのアニメが受け入れられるわけではない。受け入れられたからといって,それが正しい,あるいは望ましいというわけでもない。
職業面は「eスポーツ」という新しい競技である。対戦型ゲームを公開の場で行い,順位と賞金を付ける。アマチュアスポーツを一気に越えてプロスポーツとしての扱いである。スポンサーが付き,賞金が付く。一攫千金を狙うプロスポーツと同じである。
これまでのスポーツは,身体能力が勝負のカギを握る。そのための日々の鍛錬と鍛え上げられた肉体がファンに感動をもたらす。ヒトとしての身体能力の限界への挑戦である。
陸上競技や水泳のようにタイムで能力を評価できる競技はわかりやすい。基本的には,自分との闘いである。結果としてライバルとの競争になるが,自分を鍛えることが重要である。順位に関わらず,感動を覚える。
これに対してチームスポーツは,自分にはよくわからない。どちらが強いかを決めるのに勝ち数や勝率がすべてである。最初負けていても,あとで挽回することもできる。そこに戦略や策略,駆け引きもある。相手のミスにつけ込むことも作戦の一つである。筆者はこういうのが一番苦手である。
1対1の勝負でも,相撲やテニスはタイムでは評価できない。戦略,策略,相手の弱点を突くのも作戦である。相撲のうっちゃりやはたき込み,テニスのドロップボレーなどは,大嫌いである。
eスポーツは,20時間とかそれ以上の試合になることも珍しくないらしい。体力が勝負と,日々鍛錬している選手も多いという。しかし,基本的にeスポーツと身体能力は比例はしない。生まれつきスポーツに適した身体能力を持たないヒヨワな男の子でも参加できるし,性別を問わない。おそらく言語の壁もない。ネットワーク上で競技が行われるので,地理的,時間的な成約もない。
高校生や大学生で世界チャンピオンとなる人もいる。反射神経や能力の成長速度は若い方が速くて得なこともある。しかし,アマチュアの段階がなく,すぐに金儲けができるとなると,「ゲームで食って行ける」ということになる。
YouTuberが子どもたちの将来の仕事のNo.1だという。第2位がeスポーツだという。これが「将来の仕事」だとすると,勉強で頭を鍛える時期に熱中してどうかな,という気持ちもないわけではない。しかし,こうしたバーチャルな仕事が,今後の世界の経済を動かすのかもしれないと考えると,ちょっと複雑な思いである。こういう姑息な駆け引きばかり上手になってしまうと,姑息で派手で楽なことばかりしたくなるのが人情である。世界で類を見ない詐欺大国となった日本を見ると,リアルな仕事の魅力と達成感,成果の限界なのかもしれない。なぜこれほど次々と新しい詐欺の手法が開発される国になってしまったのだろうか。
地球にはまだまだ解決しなければならない問題が山積している。環境問題,人口問題,食糧問題,エネルギー問題,疾病問題,高齢化問題,生物絶滅問題などリアルな知識が求められる。日本がこれから取り組める分野はどこにあるのだろうか。エンタテインメントやサービスだけで国を支えられるのだろうか。夢は大事だが,身体を使って汗することも大事である。とりあえず,食糧問題,エネルギー問題,環境問題への取り組みと人材育成が欠かせないと考える。