jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

11/19の感染確認者2,000人超を世界はどう見るのか

新型コロナウイルスの感染確認者数が,2020年11月19日に2,386人と発表された。東京534人,大阪338人など8都道府県で感染者数が最多を更新した。

 マスク,手洗い,うがいに加え,「三密」という新語まで登場させた日本型感染防止モデルだったが,結果として感染拡大を終息させることはできなかった。「ファクターX」という日本特有の感染拡大抑制要素も,どうやら単なる希望的観測で終わるのではないかと筆者は考える。やはりワクチンの投与による抗体形成に期待するしかないのではないだろうか。

 三密防止については,海外で「ソーシャル・ディスタンシング」という言葉が最初に展開されていたが,これを基に東京都知事の小池氏が「三密」という造語を展開した。密閉、密集、密接をまとめたこの言葉は英語圏に逆輸出されて,各国でThree Cs(Closed spaces, Crowded places. Close-contact settings)として注意喚起に使われた。外出自粛,握手やハグ,キスの自粛,室内での飲食の自粛,マスクなしでの公共交通機関利用禁止などが展開された。

 日本のような都市集中型,公共交通機関充実という環境では,テレワークが進められ,外出自粛要請と併せて,第一波の抑え込みができた。経済回復のための移動制限の解除によって,第二波の感染拡大が進んだが,PCR検査体制のかなりの進展によって移動前の陰性確認もできるようになり,第二波の抑え込みも進んだ。

 そこにGo Toキャンペーンで人の移動と消費を喚起する政策が施行された。これが第三波の拡大につながっていることは間違いないと筆者は考えている。

 筆者はビビリなので,当初からマスク着用について世の中の認識違いについてこのブログで解説してきた。いまだに勤め先で唯一のテレワーク実施者である。5月までは完全に自宅作業だったが,「会議には出てほしい」という要請で週1日の出社を8月までの約束で続け,その後は通常勤務に戻る,というシナリオだった。しかし,第二波,第三波が短周期でやってきたため,できれば完全自宅作業に戻したいと思うほどである。

 それでも,旅行に行ったり,外食したり,普通に外出する人が想像以上に多いことが,「Go Toキャンペーンによる気の緩み」と言わせている状況ではないだろうか。

 先進国の中で唯一,感染者数や死亡者数が劇的に少なかった日本。マスク着用,手洗い,おじぎなどの日本的習慣が海外各国から注目され,WHOをはじめ,あのアメリカまでも「マスク着用」「握手ではなくヒジタッチ」という習慣が世界中に広がった。感染者拡大防止のためには,日本に習おう,と世界の人が日本モデルに注目し,一気にその習慣が世界中に広がったのは驚きである。

 その日本が,いま第三波を迎えている。 1日の感染確認数が2,000人というのは,欧米からするとまだ2桁も少ない数字である。しかし,日本は日本モデルをしても新型コロナウイルスを抑え込むことはできなかった,という評価になるのではないだろうか。「あれだけ国民全体が礼儀正しい国なのに,感染拡大を防ぐことはできなかった」「日本モデルも失敗だ」と思われているのではないだろうか。

 あまり考えたくないが,初期の段階の都市封鎖と,10日という驚くほどの突貫工事で病院施設を拡充した中国や,海外との交流を基本的に絶っている北朝鮮が,現時点で感染確認者ゼロという状況は,一つのヒントを与えているのではないか。かつて,2002年のSARS感染が,日本は水際で食い止めることで感染拡大を防止できたと考えられている。今回は,無症状者の移動による感染拡大が大きいため,別の対策が求められる。

 中国語で「美国(ビコー)」はアメリカのことだが,日本は「美しの国」とも別称される。四季折々の色に溢れ,狭いながらも海から山に展開する自然を持つ。日本文化は礼節を重んじ,茶の湯や生花,和服,和食など,静かな印象である。しかし,そこに暮らす日本人は,残念ながらすべてが「美しの人」ではない。世界一識字率が高く,教育機会に恵まれ,犯罪が少なく安全ではあるが,それぞれ100%ではない。自粛できない人,自制ができない人,自分だけは例外と思っている人,そして何も考えない人が,筆者の周囲にも山のようにいる。ゴミの投げ捨て,交通ルール違反,イヌのうんちの不始末,などなど。筆者も何人も海外の人を案内しているが,恥ずかしくて紹介できない場面が多すぎる。

 新型コロナウイルスの感染拡大の第三波の報道で,「日本モデルでもダメだった」という評価が立つことになるだろう。薬に頼ることになるのは仕方がないが,そのワクチン開発で結局はリードできていない日本は,また負の評価を受けて世界の中に沈んでいってしまうのだろうか。筆者はその存在を肯定してはいないが,なぜ天皇からのメッセージが何もないのかとも思ったりしている。日本らしさの一面ではないのか。

 もう一度,モノづくり企業が立ち上がり,せめてPCR検査の自動化ぐらいはなんとかならないのかと思ったりする。諸外国より2桁も感染規模が少ない段階でもう医療崩壊が目前に迫っているというのは,いかにも脆弱に思える。医療従事者の負担を軽減する機器開発が,この半年でほとんど進まなかったのも,日本の弱さを感じる。いまさらとは思うが,なぜこの時期に民間有人ロケットを飛ばす必要があるのかとも言いたいが,なにかそのパワーは称賛に値すると思う。日本の行く末についての悲観度がやはり少し高まってしまった今回の2,000人超報道である。