jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

病院への自衛隊看護グループ派遣

2020/12/7,旭川市の二つの病院で新型コロナウイルスの大型クラスターが発生した。看護師など50人が感染したことで,医療現場の崩壊寸前の状況が現実化し,旭川市防衛省に対して災害時における自衛隊の支援要請を行った。12/8,看護官5人のチーム×2の10人の派遣が決まった。派遣期間は2週間。感染されて現場を離れた病院の看護師の方々にはこの2週間で復帰されることを願う。自衛隊看護グループが常駐するわけにはいかないからだ。

 自衛隊の派遣といえば,災害時の救助や復興,そして海外に向けても紛争地域での米軍の後方支援や,日本船や日本人の防護任務,国連軍としての連携などが代表的で,医療支援はかなりレアなケースなような気がする。1月に起きた客船ダイヤモンド・プリンセス船内での新型コロナウイルス集団感染時に,そのPCR検査要員として自衛隊が派遣されたのが記憶には新しい。普段から災害時や化学汚染時などへの対応訓練をしているため,自らの感染者ゼロという誇らしい結果を出している。

 感染者数も死亡者数も他国に比べて100分の1程度の日本で,医療崩壊が起きかけているというのはとても不思議に思い続けている。第一波では機材も対処方法もなく,医療現場もパニック状態だったが,夏場の第二波では潤沢ではないものの機材も揃い,対処方法も安定してきた。死亡者数が第一波よりもかなり抑えられたのも,医療体制が安定してきたからだと考えられる。

 しかし,5月のゴールデンウイーク前後で,軽症の患者の待機場所として確保してきたホテルの借り上げ期間が終了して部屋数が確保できなくなったりした。この段階で,感染拡大を抑え込めると考えられていたのかもしれない。「万が一,第三波がきた場合,○○のように対応する」という方針が確立していなかった。政権が代わって対応策の検討ができなかったということもあるだろう。そこに,前の政権で実施され始めた経済支援策である「Go To」キャンペーンも,何の不安コメントもなく実施された。その結果,やはり第三波が来てしまった。「勝負の3週間」とはいうものの,特に何の施策もない。自衛隊派遣も,地方自治体からの声を聞いて初めて政府が動き出した。場当たり的と言われても仕方ないのではないだろうか。

 大阪で医療体制のひっ迫が発表され,京都などから医療関係者が応援に駆けつけるという。感染拡大当初のニューヨークが医療崩壊する段階で,テキサス州など米国内の各地から医療関係者がボランティアで駆けつけた。なかなか国外への医療救済活動は難しいかもしれないが,本来なら日本の自衛隊の看護グループが海外で本当に困っている国の支援に向かって,東日本大震災の米軍の支援などのお返しをして,感染者数の少ない日本が世界貢献する,というのがベストストーリーだったはずなのに,「自衛隊派遣も無限にできるわけではない」と,国内派遣についてもいかにも保守的なコメントを防衛大臣が出していることに,情けなさを感じた。

 日本でのワクチン接種は2021年の春ごろからだろう。それまでに何ができるのか。クリスマスから年末にかけて,経済を戻してがんばろうと思っていた日本で,あと2週間で結果が出せるのか。結局は,さらなる営業自粛を求めることになり,経済も破綻するのではないか。

 今できることは,まず2週間のロックダウンを実施して人の移動を止め,その間に無駄になるかもしれないが,抗原検査キットをこの残りの2週間で数を揃え,全戸配布して陽性者をあぶりだして隔離し,それ以上の陽性者を出さないようにして終息させる最後のチャンスかもしれない(正直,第三波が起こった後での終息は,ワクチン以外にはありえないと思っていたので,ワクチンが接種できるまでの感染爆発は防げないのではないかと見ている)。