jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

鳥インフルエンザとその殺処分に思う

2020年,人間にとっては新型コロナウイルスの世界的感染拡大を止めることができなかった。11月になって,イギリスやロシアなどで遺伝子ワクチンの接種が始まった。この種のワクチンは,まだ人間に接種された実績がなく,効果はある可能性は高いが,その副反応についても未知の領域であり,また人間の遺伝子に何らかの作用があるのかについて,まったく情報がない。

 一方,冬場になって西日本を中心に,養鶏場での鳥インフルエンザの感染拡大が急速に広まっている。鳥インフルエンザの現在の対応策は,殺処分である。二酸化炭素で意識を失わせて窒息させるそうだ。あまり苦しまずに処分されるようである。

 鳥インフルエンザには,感染を防ぐためのワクチンが開発されているが,日本では使用が禁止されているという。ウイルスの拡散を防げるため,感染拡大には効果はあるといわれているが,政治的な理由もあるようである。

 鳥インフルエンザは,以前,ヒトへの感染があり,その死亡率がかなり高かったこと,また鳥同士の感染力も極めて高いことから,ワクチン接種以外に感染拡大を防止するには,殺処分しかない,ということになる。

 現在のヒトインフルエンザには,ワクチンと特効薬の両方がある。感染が拡大しやすい冬場を前に,ワクチンを接種することで重症化を防ぐ効果があるという。またインフルエンザに感染した場合,特効薬によって多くは 1週間程度で症状が収まり,また他人への感染力がなくなる。それでも,年間の平均感染者数は,日本では1,000万人,死亡者数は3,500人にもなる。アメリカでは,年間死亡者数が8,000人を超える。ワクチンも特効薬もあるというのに,感染および死亡の人数は,決して少なくない。

 新型コロナウイルスは,1年以内という短期間にワクチンが開発された。インフルエンザワクチンでも,開発に数年,さらにその安全性検証に数年かかるという。ニワトリの卵にインフルエンザウイルスを感染させ,これを培養したうえで毒性を弱め,ワクチンにする方法がとられている。培養のために使われる卵の数は限られており,大量生産にも限界はある。これに対して,新型コロナウイルスのワクチン開発で使われているDNAワクチンやmRNAワクチンは,ウイルスの遺伝子情報をコピーしてワクチンを大量生産できる。世界中で累計感染者数がまもなく8,000万人,死亡者数が180万人になろうとしている現在,これ以上の感染拡大を防ぐには,ワクチン接種しかないのが実情である。効果はあるとしても,安全性の面での証明がされていない段階での大量接種に対して警鐘を鳴らす研究者も少なくない。ワクチン接種が,非感染者に対して接種されるため,ワクチン接種による感染,あるいはアレルギー反応によるアナフィラキシーショックによる死亡を天秤にかける必要がある。

 特効薬もなかなかない。インフルエンザの特効薬アビガンの使用についても,効果が明確に認められなかったという報告もある。

 もっと厄介なのは,肺炎による重症化で死亡に至るケースが多いことである。日本人の死亡で一番多いのががんだと言われているが,高齢者の死亡の半分は,ツバや食品を誤って肺に飲み込んだことで細菌感染する誤嚥性肺炎である。肺炎は恐ろしい病気である。症状悪化の原因は細菌だが,細菌に効くはずの抗生物質が耐性菌によって効かないケースも多い。呼吸を行う唯一の器官である肺をやられることで,死亡率が高くなる。

 新型コロナウイルスでは,最も重症な患者に対してはこの肺の役目をECMOという人工肺を取り付け,肺の機能を回復させる措置が取られている。最後の手段である。それでも回復するにしても1カ月もかかる。病院のベッドの回転が極めて低い状態であり,医療崩壊の危機はあっという間に来ることは容易に予想されたことである。安全性の疑問は残るものの,あと1年は遺伝子ワクチンに頼らざるをえない状況である。