実験前なのでなんとも言えないが,家庭用の掃除機を使った「簡易排気机」ができないか構想している。
というのも,最近の掃除機は性能がものすごく向上して吸引力も強力になっていると同時に,使用電力が1000Wぐらいとめちゃくちゃ多いので,長時間使うことができないという欠点があるからだ。
多くの掃除機に使われているモーターはDCモーターで,以前はブラシ付きのDCモーターが多かった。現在は,ブラシレスDCモーターの採用が増えているようだ。「ブラシ」というのは,回転するローターの中の巻き線の中を流れる電流の向きを1/2回転ごとに逆にして回転を継続させるために使われる固定側の部品で,通常はローター側の電極に接触して電気を供給している。ローターが回転して電極が隣の電極に切り替わるたびに微小な火花放電が発生する。このため,可燃ガスがあるような環境では使えないことと,接触や放電に伴って電極が劣化するという問題がある。「ブラシレス」DCモーターの場合は,この機械的な電流の切り替えを制御回路で行うことで電極の劣化をなくしている。従来機よりも寿命が長いことが期待できる。
とは言っても,1000Wの掃除機を一日中つけておくわけにもいかない。冷蔵庫や大型液晶テレビでも300Wぐらいである。冷蔵庫は一日中使っているが,冷やすときにはその程度の消費電力が必要だが,いったん温度が下がれば温度をキープするのに50W程度で済むからだ。排気用に流用するのに1000Wは多すぎる。せめて200W,できれば昔の白熱電球程度の100Wぐらいで収めたいところである。
1万円ぐらいで紙パック方式の比較的安い掃除機で,消費電力は150Wぐらい。ただブラシレスDCモーターではないと思われる。その辺りはまだ検証できていない。
これも実証前だが,使い方としては以下を想定している。
①吸引力は「弱」で使用。
②本体はできるだけ屋外に設置し,ホースを延長してリビングの吸気口と反対側,あるいはリビングのテーブルの上に設置。
③紙パックやフィルター類は使用しない(ゴミなどを捕捉する目的ではないため)。
①②は省電力対策および騒音対策である。近所迷惑にならないことを想定している。③も,空気抵抗を下げることで省電力化と機械への負担軽減を目的とする。
リビングのテーブルに設置する場合,なるべく広い面積で吸引するために,たとえばスリットを入れたパイプをテーブルの長手方向に設置し,線状に吸引口を設置するような工夫があるといいだろう。焼き肉店の吸引口のようなイメージである。これなら,24時間の換気は換気扇,人が集まる食事時は「簡易排気机」で吸引することで,会話も問題なく楽しめる,というスタイルができ,電気代も節約できる。
新型コロナウイルスへの対応策として,医療・治療面では人工呼吸器やECMO(人工肺),特効薬の開発,医療・予防面ではワクチンの開発やPCR検査・抗原検査の実施,日常生活習慣ではマスク着用,手指消毒,ソーシャルディスタンシング,「ア話食」(アルコール+会話+会食)の抑制とそれに代わる意思疎通(リモート〇〇)や食習慣(宅配,リモート宴会)へのパラダイムシフトが必要である。
特に最後の食習慣のパラダイムシフトは,非常に難しいが,飲食店がほぼ営業時間半減となる以上,当面は「飲食店での食事=外食」という習慣をやめる必要があるだろう。ならば,自宅や企業のウチ食需要に対して,これまでの外食産業がどう対応できるのか,新しい手法を編み出す必要があるだろう。Uber Eatsや出前館だけがソリューションではない。従来の食品宅配サービスと提携して,食材だけでなく「食事」を宅配するようなソリューション,さらにAmazonや郵便局などの流通産業とのコラボを確立していかなければならないだろう。
一方で,モノづくり産業はいまこそ,物理的にウイルス拡散を防止する機器を提案して開発していくべきではないのだろうか。昨日1/6のブログに書いた焼き肉店方式の排気机(焼肉店方式の排気設備を導入しよう - jeyseni's diary (hatenablog.com))が,今考えられる最もローテクなアイディアである。不特定多数が触るエレベーターのボタンなどの接触を防ぐ押し棒のような器具も結構だが,世の中にこれだけアルコールボトルが設置され,利用できるようになった現在,この押し棒はほぼ不要になったのではないだろうか。
接触感染より飛沫感染の影響が強いと言われるようになった現在,24時間換気を快適に実現する方法と,会話時の飛沫感染リスクを低減できるスポット排気設備が,感染拡大防止の決め手になると思っているのである。そしてこの設備を設置した飲食店は,営業自粛要請から外してもいいと考えている。これによって,経済を維持でき,店の経営も維持でき,利用者側も「ア話食」ありで制限時間も気にすることなく心置きなく利用できると思っている。アクリル板によるパーティショニングは,お一人様用の食事には欠かせないが,人間のコミュニケーションのための会食には向かない。