筆者は子供のころから運動は苦手だった。走るのは遅い,腕力はない,運動神経も鈍い方だった。自転車もまともに乗れるようになったのは,小学校2年生ぐらいだったと思う。補助輪を付けて乗っていて,路地の角を曲がり切れず,補助輪に乗り上げて転倒して,膝に大きな切り傷を作った(当時はまだ砂利道だった)。今でも傷跡が残っている(今だったら病院に行って縫うぐらいの傷なのだが,当時は包帯で押さえて直したという記憶がある)。
その筆者が楽しみを覚えたのが,大学生になって始めたスキーである。最初に滑ったスロープは,正面に大きな池(凍って雪が積もっている)があった。30mぐらいのスロープを直滑降で滑り降りると,その池の手前で傾斜が緩やかになって,勝手に停まる,というようなスロープだった。滑り始めからだんだんスピードが出て,最後はゆっくり停まる。この勝手に滑っていく感触が気持ちよかった。スキーの虜になった瞬間である。
開脚で滑るボーゲンから,だんだん普通の閉脚のスラロームに進歩していったが,ブレーキを掛けるのは苦手で,とにかくよく転んだ。何とかもっとうまくなりたいと思った。社会人になって東京に就職が決まってうれしかったのは,スキー場が電車で行ける距離にあったことである。当時まだ上越新幹線はなかった。朝一番の急行に乗ると,湯沢温泉スキー場に10時過ぎに到着する。そこから夕方5時ごろまで目いっぱい滑り,また急行に乗って夜10時に帰宅する,という繰り返しで,毎週のようにスキー場にでかけた。会社の先輩方の行くとき以外は,宿泊なし。泊っても安宿だった。最大で,12月初旬に狭山の人工スキー場での初滑りに始まり,毎週末,年末年始,祝日,そして最後はゴールデンウイークに春スキーの仕上げをした年もあった。学生時代はツアーに2回参加して年間8日ぐらいだったが,この年は30日ぐらいはスキーをした。
気持ちよく滑れるようになってきている半面,相変わらずターンやブレーキングは苦手だった。脚で雪面を捉える感覚が左右で異なり,左脚を軸にしたときが不安定だった。仕事でギックリ腰になってスキーをやめた30歳までの10年間だったが,とうとう満足なスキーテクニックを身に着けることができなかった。
その後,腰に爆弾を抱えながら15年。結婚して子供ができて,この子を抱っこしたりおんぶしたりしているうちに,ある意味でダンベル運動をしたような形になって,腰痛がウソのように解消した。それから20年が経過したが,腰痛もギックリ腰も再発していない。通勤も普通にこなしているが,左右の脚の感覚の違いは解消せず,左足首を捻挫しそうになることがたびたびあった。昔から歩き方が悪いと言われ,O脚だと言われ,それが原因で足首をくじくことがあるのではないかと思って,歩き方の矯正を始めてから,かれこれ10年になる。長い間に凝り固まった関節を矯正するのは至難の業だが,少しずついい方向に向かっている。股関節を柔らかく、太モモの筋肉を鍛練して老化防止 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020-07-05 O脚は直せる - jeyseni's diary 2020-10-31などのブログで紹介した。
現在,引き続きストレッチを続けており,かなりいい感触になってきている。そのストレッチだが,これまでは「開脚」や「O脚矯正」に視点を置いた物理的なストレッチを中心で進めてきた。手で支えてストレッチしたり,体重をかけてストレッチすることで,刺激を与えてきた。
刺激を受けて,たしかに筋肉や筋が伸びているのは感じるのだが,これがすぐに元に戻ってしまう。何年も時間をかけているが,なかなかすっきりと伸びてくれない。そこで,現在進行形のポイントは,「ねじり」と「筋力によるストレッチ」である。
ねじりが効果的そうだということは,以前から気がついていた。おそらく理論的には,「複数ある筋肉,特にインナーマッスルに刺激を与える」ということだと思う。
一般に,関節の動きを実現する筋肉は,伸ばす筋肉と縮める筋肉で代表されるが,実は関節周りにはもっと多くの筋肉がつながっている。大きい筋肉だけがストレッチされても,その周囲の小さい筋肉はほとんど動かず,刺激を受けない。これが,ストレッチをしてもすぐに戻ってしまう理由ではないかと考えている。
ところが,関節をひねるようにすると,大きい筋肉だけでなく,周りの小さい筋肉も適度に刺激を受ける。ストレッチをした状態で,手首や足首を回してみると,それまで感じられなかった筋肉や筋が刺激を受けることを実感できるだろう。これを繰り返すことで,関節周りの筋肉群がスムーズに動き出してきている。
もう一つは,曲げ伸ばしをする大きな筋肉の筋力を使って,ストレッチをすることである。脚のストレッチで,床に足を押し付けてストレッチする方法もあるが,反対側の脚で拘束すると,ストレッチしない側の脚の筋肉を使ったストレッチになる。またストレッチする側の筋肉を使って関節を動かすと,その筋肉の力でストレッチをすることになる。いわば,筋トレとストレッチを同時にしているようなものである。
さらに,1つの関節にストレッチを集中すると,限界値が低いために痛みが先行したりするが,複数の関節を同時にストレッチする,たとえば足首,膝,股関節を同時にしならせてストレッチする,などを試してみると,3つの関節がバランスよく連携しながらストレッチされるのを感じる。このバランスを少し崩して,膝を重点的にストレッチするか,足首をストレッチするか,など,動的に移動させると,また連携した動作をするのを感じる。
もう一息,もう一息と思いながら,イヌの散歩のときも歩き方に注意してストレッチ動作を取り入れたりしている。また,立っているときでも,内股側の筋肉に力を入れて,膝の外伸ばしなどを試したりしている。あと半年の間に,何とか実現したいものだと考えている(が,結果は過ぎてしまうのだろうな)。親戚から「またスキーしませんか」と誘われている。自信はいま一つないが,コロナウイルス禍が終息したらぜひ出かけてみたい。また,道を歩くときも,颯爽と歩き続けられるようにしたいものである。