今さらながら,オリンピックの競技についての筆者の意見である。1964年の東京オリンピックは,小学生の時に見た。我が家のテレビはまだ白黒のブラウン管テレビだった。「毎日グラフ」という写真雑誌を見て,日本選手団が鮮やかなオレンジと白の制服を着て整然と行進するのを見て感動した覚えがある。
2020年(いや2021年)の東京オリンピックの競技を,ホームページからリストアップした。〇印は,前回のオリンピックにはなかったものである。
〇3x3 バスケットボール
〇アーチェリー
アーティスティックスイミング
ウエイトリフティング
カヌー(スラローム)
カヌー(スプリント)
〇ゴルフ
〇サーフィン
サッカー
〇スケートボード
〇スポーツクライミング
セーリング
〇テコンドー
〇テニス
〇トライアスロン
〇トランポリン
バスケットボール
バドミントン
バレーボール
ハンドボール
〇ビーチバレーボール
フェンシング
ボート
ボクシング
ホッケー
〇マラソンスイミング
〇ラグビー
レスリング
飛込
近代五種
競泳
空手
陸上競技
馬術
柔道
射撃
水球
体操競技
〇新体操
〇野球・ソフトボール
〇卓球
〇自転車競技(BMXフリースタイル)
〇自転車競技(BMXレーシング)
自転車競技(トラック)
〇自転車競技(マウンテンバイク)
〇自転車競技(ロード)
競技の種類が46ある。前回が20なので,なんと2倍以上になった格好だ。
さて疑問点の1つは,すでにプロの世界大会がある,ゴルフ,テニス,ラグビーを,オリンピックの中でする必要があるのか,ということである。たしかに,サッカー,バスケットボールは,すでにオリンピック競技として行われていた。もう一つは,愛好者向けの競技である,サーフィン,スケートボード,スポーツクライミング,トライアスロン,ビーチバレー,マラソンスイミング,自転車競技を取り入れたことである。さらに,ソフトボールはともかくとして,プロ競技である野球の存在である。
テコンドーは,柔道や空手と横並びでの追加,トランポリンも体操競技と並列できるので,それほど違和感がない。
以上はあくまでも筆者の感覚的なものである。
水泳,陸上,体操など,体育館を中心としたオリンピックらしい競技場がイメージできる競技が馴染みがある。野球場,ラグビー場,テニスコート,ゴルフコースなどが,やはりやや違和感があるという感想である。体育館で行われる卓球が入っていなかったのはちょっと不思議だった。
昔は「アマチュアスポーツ精神」というのがオリンピックの理念の一つだった。いまや,体操も卓球も選手にスポンサーがついたプロスポーツになっている。なかなかその切り分けが難しいところかもしれない。
時代は変わってきているとは思うが,人間の身体能力がどこまであるのか,を知るのがオリンピックのような気がする。じゃぁなんで馬術? と問われると答えが出ないが,それでお金を稼いで食べている人たちがいる種目は,やはり外してもいいのではないか。オリンピックを見ていて,プロ野球選手やプロゴルファーが出てくるのは,やはり変な気がする。金銀銅のメダルの意味も違うし,国を背負って戦うというのとも違う。
筆者は,今回の東京オリンピックのシンボルマークの盗作問題が出たときに,開催を返上すべきだと主張していた。そんな精神の国で神聖なスポーツ大会ができるのか,と思ったからだ。今回の森喜朗オリンピック委員会委員長の発言問題で,日本における女性に対する意識の低さがまた露呈してしまった。新型コロナウイルス対策も,結局海外のワクチン頼みになっている。あと5カ月で本当に開催できるのか,できたとしても無観客試合になるのではないか。選手も選手村と会場の間を往復するだけで,日本を楽しむこともできないのではないか。
今回の大会はたとえば20年後に延期してはどうだろうか。現在の選手から一巡した新しい世代の大会になる。そこに向けて,日本を再構築するいい機会ではないか。
それでも,2040年となると,人口問題,環境問題,地球温暖化問題がとんでもない状況になっているかもしれない。そこに向けて日本や日本人がどのような答えが出せるのか,真剣に考えるいいインターバルになるような気がする。ちなみに,筆者はもうこの世からは去っているのだが,それでも構わないと思っている。