jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

トランスポーテーション込みの新しい国内観光業のあり方を提案

観光業の目玉は,その地域の雰囲気を体験することである。「雰囲気」「体験」を代替するのは,非常に難しい。VR(仮想現実),AR(拡張現実),テレイグジスタンス(遠隔存在感)と研究が進んでいるが,まだまだ先のような気がする。

 VRゴーグルと3D映像,そして5D音響で,映像的にはかなりの没入感が得られるようになったようである。旅行の移動,観光地巡りの体験は,この映像系でかなり実現できている。解像度が4Kレベルになり,画像解像度は十分だろう。これに通信規格5G対応ができれば,応答遅れもなくなり,より一層の没入感が得られるに違いない。

 視覚と聴覚で,9割以上の感覚が占められているが,残りの皮膚感覚(触覚),嗅覚,味覚がなければ,やはりその場にいる感覚にはならないようだ。

 味覚は,現地の食材のお取り寄せを調理すればある程度味わうことができるかもしれない。しかし味はともかく,調理の方法を実現するのは難しい。ただ,「シェフの出張おもてなし」があれば楽しめるかもしれない。

 嗅覚はもっと厄介である。またその場所の空気を再現するのも難しい。気温や風向きだけでは,再現しきれない何かがあるからだ。旅館の畳の香り,ホテルの独特な香り(じゅうたんの香り?)なども実現しにくい。これは,オフィスの雰囲気を自宅で再現するのも,実は難しい。オフィスにいる緊張感を自宅で持続するのが難しいと言われるゆえんである。

 一般に,映像と音声でバーチャル体験を届けるところまでは可能だが,それ以外の味覚,触覚,嗅覚はどうしても難しいところである。

 そこで一つの提案だが,「移動ホテル」はできないものだろうか。まず,国内観光を例に考えてみる。

 まず,スイートルームを大型トラックの荷台で実現する。完璧な防音,完璧な空調,そして窓のイメージを実現するLED照明を備え,間接照明を実現する。壁面は高解像度スクリーンで,没入感を演出する。もちろん,歩いただけで揺れたりしない。ホテルの部屋のようなしっかり感を持たせる。2分割して,奥側をベッドルームにする。

 そしてもう1台がキッチンカーである。そこにはホテルのシェフが乗り,食材を載せ,本格的なキッチンを備える。ホテルのコンシェルジェも同乗して,トラックの部屋にいるお客様にサービスをできるようにする。

 本当は,温泉をどうするかも考えないといけない。トラックを連結型にして,リビングと同じようにスクリーンで屋外の風景を実現して,露天風呂を実現するといいかもしれない。

 ホテル側の陣容は,シェフとコンシェルジュ,そして2台のクルマを運転する人員である。最低2人,最大4人である。お客様のところに移動してきて,そこからサービスを始めれば2人で済む。途中で料理を始めるなら,4人でチームを組む。

 4人分の人件費で1泊8万円。その価値を与えるだけの,本気の作りこみとサービスが必要である。

 逆に,ホテル側をすべて独立のロッジ形式にし,現地でのサービスはこれまで通りだが,これに自宅までのお迎えサービスを加えたパッケージとすることも考えられる。途中の寄り道やサービスエリアでの下車はできず,ドアツードアの完全バブル間での移動になる。他人との接触を極力避ける方法としての提案である。

 客先に出ていく,あるいは客を連れてくる。そのような「トランスポーテーション(移動)」を含めた旅を演出するのが新しい観光業として成り立つのではないだろうか。待っていてはお客は来ないのである。

 インバウンドに期待する海外を含めた観光業については,やはりバーチャルをリアルにどのように近づけるかを考えるのがいいかもしれない。お客のところに海外の「環境」を作る。もう一段階進んだ技術開発が必要だろう。