jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ノートPCのタッチパッドがデカくなりすぎた件

現在のノートPCにおいて,マウスカーソルを操作するツールは,タッチパッドが一般的である。キーボードのすぐそばにあり,マウスを操作する際に手を移動させる距離が短いので,筆者は基本的にノートPCを使うときのマウスカーソル操作は,外付けのマウスではなく,内蔵のタッチパッドを使っている。

 ところが,多くのノートPCユーザーは,マウスを外付けでつなぎ,マウスで操作している。そこに便利なタッチパッドがあるのに,わざわざマウスをつないで使う。

 その理由は,ある意味,簡単である。「マウスの方が操作がしやすいから」である。

 筆者がMacintoshに最初に出会ったのは1991年である。30年も前になる。今でこそ,操作にマウスを使うのは当たり前だが,Windowsがまだない時代で,マウスで操作するMacに初めて出会ったときの衝撃は大きかった。今でも,カーソル操作をするツールの中では断トツに使いやすいと思っている。

 ノートPCにマウスの機能を盛り込んだのもMacintoshPowerBookが最初である。最初は,「トラックボール」という仕組みだった。キーボードの手前に埋め込んだ直径2cmぐらいのボールを指で左右上下に回転させ,この動きを読み取ってマウスカーソルを動かす。「マウスをひっくり返して操作するみたいなもの」と以前は説明していたが,現在のマウスには回転するボールが入っているものはおそらくなくなっており,ほぼすべてレーザー式なので,理解しづらいかもしれない。筆者は今でもこのトラックボールの方が好きである。

 一方で,IBMはキーボードの中央にスティック状の「ポインティング・スティック」を組み込んだ。この仕組みも巧妙で,キーボードのホームポジションからほとんど腕を移動させることなく,マウスカーソル操作ができた。今でも,IBMのパソコン事業を引き取った中国のLenovoのノートPCの一部などに採用されているという。

 筆者がWindows 95時代に愛用した東芝の超小型ノートPCのLibretto 30の「リブポイント」はこのポインティング・スティックと同じ原理だが,スティックがボタン状になってディスプレイの右側正面にあり,これを親指で操作する。クリックボタンはディスプレイの反対側,つまり天板にあるというユニークなものだった。モバイルで膝の上で使う際,マウスカーソルを操作するのに最も使いやすい位置にあった。これも称賛モノである。

 その後,トラックボールは外付けタイプが登場。一方でノートPCのトラックボールトラックパッドに取って代わられた。機械式のトラックボールより故障しにくく,かつ低コストになったためだろう。当初は,3cm×2cmぐらいの大きさで,カーソルを大きく移動させるには何度も指でこすらなければならなかった。これがどんどん大きくなっていったのが,今回の話題である。

 大きさが大きくなる前に,ユニークなトラックパッドを紹介しよう。それは,PanasonicのノートPC「Let's note」に搭載された丸型のトラックパッドである。同社のシリーズは今もこのトラックパッドが採用されている。特徴はこの丸の周囲に沿って指をなぞるだけで,無限にマウスカーソルを動かすことができることである。たとえばWebブラウザーの縦長の画面でも,クルクルと丸を描けば連続的にスクロールでき,逆回線すれば戻すことができる。マウスに搭載されているホイールをノートPCで実現できる。これはとても優れたインタフェースであると思っている。やむを得ない理由でLet's noteを手放さなければならなくなったのが残念でならない(正直,筆者にとっては高根の花である)。

 さて,今回の話題は,四角いトラックパッドがどんどん大きくなったということである。DTPの仕事もしつつ,モバイルもしたいという理由で,再びMacintoshに戻ったのが2010年。15インチタイプのPowerBook Proを購入した。そして驚いたのが,そのノートパッドのデカさである。10.5cm×7.5cm。下手するとLibrettoのディスプレイサイズと変わらないぐらいだった。そして,これが使いやすかった。筆者は基本的にカーソルを移動させる用途にしかトラックパッドやマウスを使わない。部分拡大するのは,トラックパッド上で指をピンチングするよりも,マウスのホイールの方が使いやすいと思っている。実際,今でも2本指操作すら使うことはない。まして3本,4本と使うバリエーションについては,まったく理解していない。たぶん,スマートフォンの操作にはこの操作が必要なのだが,スマホもいまだにスクロールとタッチしか使えない。カメラのズーミングをピンチングでしなければならないのが,いちばん苦手である。

 その後,Windows10に戻ってきて,最安値のAsusの11.6型WideのノートPCを購入したが 

フリーズしない筆者の台湾製ノートPCが愛しい件 - jeyseni's diary 2020/6/26,このタッチパッドも10.5cm×6cmと,PowerBook Proと同じ幅のマウスパッドが組み込まれていた。これはこのボディに対してはデカいな,と思っていた。モバイルで使う際に,キーボード操作時に手首がマウスパッドに触れることで,マウスカーソルがジャンプすることが何度かあったのである。さらに,本格的にテレワークに移行して導入したmouse computerの14型ノートPC 今度はmouse - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/12/25 では,幅が1cm伸びて11.5cm×7.5cmのタッチパッドが搭載されている。

 この3台のタッチパッドを比べてみて,最も使いやすかったのが,PowerBook Proである。そして残念ながら一番使いづらいのがmouse computerである。基本機能はほぼ同等なのだが,何が違うのかを考えたところ,キーボードとのサイズ比,およびボディー端との距離の違いではないかと分析している。

 PowerBook Proは,ボディサイズが大きい分,キーボード,タッチパッド,ボディがそれぞれ7mmずつ間がある。Asusの場合は,タッチパッドの縦方向が1cm狭いので,ボディとの間隔が7mm,キーボードとの間は1cm開いている。

 これに対してmouse computerは,キーボードとの間が6mm,ボディとの間は3mmしかない。幅が広いため,キーボードのホームポジションタッチパッドの両奥の角に手のひらが触れる。また,タッチパッドを操作するときは,今度は手前側に手のひらが触れてしまうのである。

 小さすぎても使いにくいが,大きすぎても使いにくいことがあるのだなぁと感じる。ディスプレイも,以前は額縁が1cm以上あったが,今は3mmほどしかない。mouse computerのタッチパッドの配置も,この3mmと同じにしたのかもしれないが,やや詰め込みすぎた感がある。

 全体的に言うと,タッチパッドは本当のモバイルでラップトップ(膝上)で使うには使いにくい。マウスカーソル操作をするのに,手を極限まで手元に持って来なければならないからだ。ノートPC全体を膝の先まで移動させれば使えるが,満員電車の中で座って使おうとすると,ディスプレイさえ手前に倒さなければならず,マウス操作は至難の業になる。こういうときはタッチパネル機能のあるディスプレイでタブレットモードで使うしかないのだろう。

 いまや,タブレットを基本として,これに追加でキーボードを付けてノートPC風に使う使い方も増えている。筆者も,このブログをモバイル環境で書く場合は,スマホでタッチ入力である。タブレットはまだ,重さが中途半端に重く,左手で支えながら右手で入力する際に重さを感じてしまい,またキーボードを付けてもディスプレイが安定しないので,大量に文字を入力するにはパソコンの方が便利だと思っている。マウスカーソルの操作も,Bluetoothコントローラやスマホの視線コントロールなども試しているが,まだ直観的に「これ」というインタフェースには出会っていない。

 直接指でタッチしない空中キーボードは,何十年も前に開発・提案されていたが,採用されなかった。新型コロナウイルス禍で,モノに触れる機会をできるだけ減らす方法として,一部で採用されているようだ。ジェスチャー入力も面白いが,反応が手に戻ってこないので,100%確実に操作できるのかどうかわからないので不安である。

 人間にはtangibleという皮膚感覚への反応が求められる。ゲームのリアリティを出すのにも必要だが,遠隔操作やクルマの加速操作にも,このtangibleは必要である。以前は,ガラケーのような機械式のボタンがないスマホなど使えるものかと思っており,タッチしたことを振動などで知らせるタッチパネルが必要だと思っていたのだが,スマホ操作の感覚にはすっかり慣らされてしまった。しかし,キーボード入力でのストロークやクリック感,マウスのクリック感,アクセル操作時の車体重量感などは,操作の確実性を伝えるためのマンマシン・インタフェースには必要なものではないかと思う。誤操作がなく,しかも人間本来の感覚に合った機器開発が,今後も重要だろう。バーチャル機器でどこまで技術は進むのか,引き続き検証してみたいと思う。