jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

8800億円の恩恵

筆者は現在,埼玉県に住んでいる。しかし,実家の関係で本籍地は兵庫県である。子供のパスポートの関係で現住所に本籍を移すタイミングがなかなか合わず,そのままになっている。

 本籍が居住地にない最大のデメリットは,戸籍謄本を取るときの面倒さである。これまでは,発行手数料の450円を送るのに,郵便小為替を郵便局で発行してもらい,これを郵送していた。郵便小為替の発行手数料が100円。郵送の切手代が往復で168円。合計で718円かかっていた。送ってから入手するまでの日数も,約1週間必要だった。あらかじめ封筒に宛先を書いておき,郵便局に行って郵便小為替を発行してもらい,その場で封筒に封入して投函すれば,郵便局に行く手間だけで済むが,まず郵便小為替を発行してもらった場合は,再度ポストに投函する手間がかかる。

 この戸籍謄本発行が,コンビニのマルチコピー機でできるのが,マイナンバーカードを使った「コンビニ交付」である。今回,初めて使ってみた。

 最大のメリットはコストである。郵送での請求だと,上記のように718円かかるが,コンビニ交付だと戸籍謄本の発行手数料の350円だけで済む。そして,戸籍謄本が必要なときに,すぐに発行できる。筆者の場合は,郵便局よりもコンビニの方が自宅に近いので,距離的なメリットもある。マイナンバーカードを持ってコンビニに行くだけで,その場で発行できるのである。

 マイナンバーカードで居住地以外にある戸籍謄本を取る手続きをするには,公的個人認証電子証明書の登録が必要になる。マイナポータルでの手続きになるが,マイナポイントの申請手続き同様の多少面倒な手続きが必要になる。

 筆者は,やはり文字入力のしやすいパソコンでの手続きが性に合っている。別途,指定のICカードリーダーを買わなければならない,という辺りですでにハードルが高い。筆者はマイナンバーカードの前身として存在した住基カードの時代にICカードリーダーを購入し,これがマイナンバーカードでも使えたから良かったと思っている。しかし,マイナンバーカードを使用するのに,パソコンも2台換えているし,最新パソコンでカードリーダーを認識するかどうかも怪しかった。しかし,スマホでの手続きは,何となく信用がおけない。当初,マイナンバーカードの申請は,「個人番号通知書」の下半分を切り取り,必要事項を記入し,同封の封筒に顔写真とともに入れて返送する方法だった。10年間使用するので,正しい証明書写真を入れることを考えていたが,街なかの写真ボックスが今の時代に800円もかかるのが気に入らなくて,延び延びにしていた。

 「そのうち健康保険証としても使えるようになる」と聞いて,手続きをしたのが2019年5月である。写真ボックスで,プリントとともにデータもダウンロードできる機種があると聞いて,勤め先近辺などあちこち探し回った。最終的に家に一番近いコンビニの前に置いてあった写真ボックスで撮影することになった。パソコンでの手続きは最初から用意されていたのかもしれないが,写真データも一緒にデータ転送し,手続きは完了した。

 このあと,受け付けられたことが連絡が入るのを待つのだが,だいたい1ヶ月ぐらい先になると言われていた。封筒で返送した場合より,電子的に申し込みをした方が,受け付けの手間も少なく,早く通知が来るのではないかと思っていたのだが,結局は手続きから1ヶ月ぐらいかかってようやく受け付け完了メールが届いた。正直言って,「手続きが失敗したのか」「内容に何か不備があったのか」とやきもきしつつ,「これはだれもができる仕組みではないな」と思ったものである。

 次が市役所に出向いてのカード発行手続きである。平日しかできないので,午前半休を申請して予約日に市役所に行った。予約時刻に行ったが,前の人の手続きが長引いて30分余分に待たされることになった。当時は登録用のパソコンが市役所に2台しかなかった。

 対面ではまず担当者が,免許証の顔写真と本人,そしてすでにできあがっている「マイナンバーカード」の顔写真を見比べて確認するところから始まった。住所や誕生日などの個人情報での個人認証後,マイナンバーカードの記載内容の確認を求められ,最後に暗証番号(数字4桁)と暗証コード(英数字で6~16桁)を決めてタッチパネルで入力。その内容を手書きで書き込む紙をもらって書き込んで完了した。

 暗証コードは「英数字で6~16桁」と書いたが,正確には「大文字の英文字と数字の組み合わせ」に限られる。これも変な話である。一般の暗証コードは,解読しにくいように大文字と小文字を必ず混ぜるように指導され,さらに一部の記号も含めることが近年は求められるようになった。筆者の場合も当初考えていた暗証コードが大文字小文字を含むものだったため,これをすべて大文字と数字に置き換えて登録した。後になって,マイナポータルでの手続きの際に暗証コードがすべて大文字だったことをすっかり忘れて,何度か打ち込んでロックがかかってしまい,この解除のために再び市役所を訪れることになる。

 2021年3月になって,再びマイナンバーカード登録推進のための登録案内が届いた。筆者は,届け出から受理まで1ヶ月もかかることを知っているので,家族にもなるべく早く申し込んだ方がいいと言っているのだが,これまでは正式な証明写真であると思っていたのが,現在はスマートフォンで自撮りした写真でいいらしい。また,登録案内に印刷されているQRコードを読み取るだけで,マイナンバーや氏名,住所なども自動的に入力されるらしい。申し込み段階は一歩進んだようだ。しかしたぶん,受け付けまでの日数がかかることと,市役所窓口で手続きするところが変わらないので,なかなか登録が進まないことが予想される。

 さらに問題があるとすると,実際にマイナンバーカードを活用する際に,マイナポータルとの連携をスマートフォンで行う場合,スマートフォンによって連携機能がないことである。iPhone系はほぼ大丈夫なので,国民の8割は問題ないようだが,Android系も3大キャリアに対応機種は多いが,格安スマホの対応機種に制限がある。筆者の場合も対応機種ではなかったため,マイナポータル登録の際にスマホをキャリアごと変えた。その後,マイナポータルとマイナンバーカードのリンクは,パソコンで行っているため,スマホで連携が取れるかどうかはまだ確認していない。ここでも注意が必要である。

 いまは改善されたのかもしれないが,マイナンバーカードに印刷された顔写真が実は非常に不鮮明である。パスポートにも同じ写真を使っているが,こちらも規定のサイズで申請したにも関わらず,不自然なトリミングがかかり,また色もおかしい。せっかくお金をかけて写真ボックスで撮影した画像が再現されないのはいかがなものかと思うし,これで個人認証に使われるかと思うと,心外だし,正しく認証できるのかどうかも怪しい。画像データはカードの中に記憶されているらしいが,カードの写真だけでアナログ的に比較されるのも気に入らない。

 ともあれ,戸籍謄本の申請では,9年間8800億円の投資の恩恵に預かったと思う。システムの開発費以外に,各自治体への機器の配置,そして何よりも担当者の人件費が膨大なのだと思う。この際,せっかくのスマホによる申し込みに続いてスマホビデオ会話による受付システムを構築した方がいいのではないだろうか,とも考えたが,個人を特定するカードだけに,電子化は難しいところもあるのかもしれない。