jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「臨機応変」は死語。コミュニケーションもなし。

業者が神戸市に大反論「事実異なる」 ワクチン960回分がムダに「配送業者内に指示が徹底されておらず」と市の発表受けて (msn.com) 新型コロナウイルス対応ワクチンを常温で放置したために無駄になった,という2021/5/11の神戸市の案件で,市と配送業者で見解が異なる,という話題である。新型コロナウイルス対応ワクチンで相次ぐ冷蔵庫,冷凍庫トラブル。警報ブザーがない? 監視しない? ただの怠慢? - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/5/13でも取り上げた。

 またまた,言った言わない,の話かと思って,本当に情けなくなる。指示どおり運んで,保冷ボックスから出してボックスを持ち帰った,という配送業者。指示内容を途中で変更したことが現地スタッフに伝わらなかった,という神戸市。

 いったい,受け渡しはどのように行われたのだろうか。配送スタッフと受け取り職員は,何らかのコミュニケーションがあったのだろうか。それとも,受け取り職員がいない状態でワクチンの入った箱だけそこに置いて保冷ボックスは持ち帰ったのだろうか。

 手渡ししていれば,保冷ボックスから出したことを職員は認識するから,すぐに冷凍庫に移すだろう。冷凍庫保管が原則のワクチンをそのままそこに放置しておくことは,誰が考えても常識を欠いている。また,配送スタッフも保冷ボックスから取り出した段階で「すぐに冷凍庫への保管をお願いします」と一言声をかけるだけで,この凡ミスは防げたのではないか。配達とは,ただモノをそこに置いて納品伝票を置いて完了,ということだと認識しているとすれば,それは配達員が常識を欠いていることになる。たとえ,声がけをすることが書かれていなくても,今日本で最も重要な品物の配達をしているのだから,普通ならば心がけるだろう。配送センターを出る際にも,「くれぐれも注意して」と声がけするのが普通ではないか。手渡ししていないとすると,これも問題である。

 新型コロナウイルスの蔓延に伴い,テレワークをする人も増え,いろいろなモノをネット購入する機会が増えた。筆者もそうだが,息子も自分の貯金口座を使って勝手にネット購入に手を染め始めたため,毎日のように何か荷物が届くようになっている。

 ところが,「商品を玄関先に置いて,配送完了」とするケースが非常に増えている。配送員が家人と接触しないことでウイルス感染拡大を抑制する,という意図と思われるのだが,家にいるのにブザーも押さずにただモノを置いて帰るのである。

 これまで不在の際に不在票を置いて再配達するというのが非効率なのはよく理解できる。再配達はいつも申し訳ないと思ってきた。不在の場合に玄関先にモノを置いて配送完了とするのは,不在にしている側が悪いのだし,不在の可能性の高い家は宅配ボックスを積極的に設置してボックスに入れてもらうようにすればいい。しかし,在宅テレワークで平日もほとんどずっと家にいるのに,ブザーも鳴らさないまま知らない間に配達が終わって玄関先にモノが放置されている,というケースがどんどん増えている。

 パソコンで仕事をしているので,ときどきメールを見たり,配送状況を確認したりしているが,配送完了メールが届くのが実際に配送されてから30分も先になったりする。その間,誰かが持ち去ってしまったとしても,配送業者は責任を取らないのではないだろうか。

 家人と顔を合わさなくても,せめてブザーを鳴らして「お届け物を玄関先に置いておきます」と声掛けしてくれれば済むことなのだが,今の配送業者は「家人に合図せずにただ置き配すること」を正しいこととしているのだろうか。そこで生じるコミュニケーションによって30秒のムダが出る,という発想なのだろうか。

 我が家のポストは,新聞が3日間分は入る結構大きいものを取り付けている。したがってゆうメールのA4サイズで2cmぐらいの厚みのあるものであればポストに入れることができる。それでも足元に置かれるケースがある。ポストの大きさを見れば,投函できるという判断をしてもらいたいものである。一方,Amazonの荷物のようにやたらと箱ばかり大きくて中に空間があるようなものも増えたので,さすがにポストには入りきれない場合は,やはりブザーを鳴らして置き配することを家人に伝える運用をしてもらいたい。置き配でモノがなくなった,という申し出がまったくないわけではないと思うのである。改善,および「臨機応変」な対応を期待したいのだが,どうも世の中,「余計なことをするな」「マニュアルどおり,言われたとおりしろ」というのがまかり通っている。

 食品の配送においても,冷蔵品と冷凍品,常温品があり,「見れば分かる」と言われればそれまでである。現在,自治体に順次配送されているワクチンはファイザー製であり,冷凍保存が原則で,途中の移動に簡易的に保冷ボックスを使っている,ということは,ニュースを見れば分かるだろうし,運んでいるものが要冷凍品であることは見ても触っても近づいただけでも分かるだろう。保冷ボックスから取り出せば,そのまま置いておくことはマズイという常識が働けば,「すぐに冷凍庫に入れてください」あるいは「受け入れ側に冷凍庫の空きがないので,保冷ボックスごと置いていいかどうか配送センターに確認します」とか,その場の判断すればいいのだがと思うのだが,それすらできないのだろうか。

 「臨機応変」は死語,最近よく聞く「コミュニケーション力」も,結局はできない人が多いのかもしれない。たまたま今回は配送業者の話題で立てたタイトルだが,業種に限った問題ではないようなのである。東京大学に入学した学生の8割が,挨拶の仕方も話のまとめ方もできない,という話がある。まず一般常識を教え,その後に中高の基礎知識を教え直し,図書館の使い方を教える。それからでないと大学という自由な世界での自由な羽ばたき方さえできないらしい。日本全体,どこかで教育が間違っているのではないか。そんな気がする。