jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ある日のAmazon書籍ランキングを見た

筆者はマスメディアで雑誌を,弱小出版社で定期刊行物と実用書の発行に関わっている。もうすでにオールドメディアとなりつつある本や書籍に関わっているというわけである。電子版へのトライアルも続けているが,紙メディアのPDF版販売という形にとどまっている。営業面で,電子版のダウンロード販売や,Webでの購入受付などの仕組みを会社に提案し,プロトタイピングのまま数年が過ぎた。惰性で動かしているだけなのが辛い。

 もともとマスメディアとはいえ,読者数は5万人程度のメディアだった。決して少ないとは言えないが,専門分野なので書店で話題になることもなかった。派生で書店販売用の書籍を何冊か作ったが,完売はしたが増刷をするわけでもなく,ベストセラーを狙うわけでもないので,正直,書店ランキングなどは関心がなかった。現在の小さい出版社でも専門分野の書籍を担当している。やはりベストセラーを狙うわけでもないが,営業からは売れる本を作れと言われるので,ときどきAmazonの書籍ランキングを見ることがある。

 これまでも他のランキングがあったのかもしれないが,Amazonの書籍ランキングは,分野ごとのランキングが細かい。メインで32分類,それぞれサブ,サブサブと3細目などがあり,その細目ごとに1位から100位までのランキングが見える。しかも1時間ごと,1日ごと,1週間ごと,1ヶ月ごと,年間などの期間も選択できる。さらに,ランキングを急上昇した本のランキングなども見ることができる。

 筆者の担当する書籍の分野も一番細かい3細目のところで競っているのだが,たまにランキング入りするとやはりうれしいものである。

 さて,ほぼ入る可能性がないので,全ジャンル総合のランキングを見ることはほとんどない。「どうせコミックでしょ」「どうせ写真集でしょ」みたいな意識がどこかにある。正直,どんな本がベストセラーになるのか,ちょっと考えてみようと思って分析してみた。

 たまたま今朝2021/6/3の朝のランキング1位~100位を集計・分類してみた。ベスト1~3はコミックだったが,ベスト10の間に入っていたのはこの3冊だけだった。写真集が1冊,そして趣味や健康書が5冊も入っていた。たまたまベストセラー小説の時期ではなかったようである。

 それでも,ベスト100冊のうちで一番多かったのが,小説で16冊だった。啓蒙書が15冊,趣味が10冊,コミックが10冊,健康・医療が9冊,資格書が8冊。写真集が6冊などとなっている。

 お金儲けのノウハウを教えるビジネス書などは4冊だった。かつてはこのノウハウ本が多かったような気がする。

 新型コロナウイルスに関連する書籍は1冊だった。2020年の年末ごろには,結構な数のコロナウイルス本が書店の正面の棚を飾っていたように思う。日々情報がクルクルと変わるので,本として出版するリスクが高い。ただ,一般論や持論の展開本は出続けている。どちらかというと啓蒙書の範ちゅうに入るだろう。

 こうしてみると,冊数の多い順に小説,啓蒙書,趣味,コミック,健康まで見ると60冊と,全体の2/3近くが,世の中のニュースで話題になっているテーマとはかけ離れた世界を描いていると言える。ゆったりした時間に読んで役に立つ,楽しむ,といったものだと思われる。

 筆者は,専門分野のメディアの中にいるので,その分野のニュースには敏感である。新型コロナウイルスに関しても,個人の関心以上に多少とも関係がないとも言えない。逆に,コミックや小説,啓蒙書,健康書なども,ほとんどニーズを感じないので読まない。ベストセラー書には縁がない。コミックでもアニメでも小説でも何でもいいので,儲けた人は世界のために還流してほしいと思っている 儲けた人は還流してください - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/12/17。筆者も編集者として,他力本願でかなり上位にランキングした書籍をリリースしたことがある。重版を数回重ね,利益もそれなりに出た。その書籍の利益をその分野に少し還元して社会貢献できないかと会社に提案したが,却下された。会社全体としてはギリギリの採算ラインで推移しているので,単なる売名行為を受け取られてかねないというのが一つの理由らしい。何とも情けない限りである。

 世界中に大富豪という人がたくさんいる。元マイクロソフトビル・ゲイツ氏は,バイオ関連の財団を私費で作り,エイズ撲滅などに資金提供している。新型コロナウイルス撲滅に資金提供されている機関や人もたぶんいると思う。ハリウッドの興行成績すら超えた「鬼滅の刃」が社会貢献したという話はいまだに聞かない。昨日6/2はMEGA BIGで12億円の当たりが出たという。年収500万円として,40年分,2億円。手取りで受け取れるのだから,それ以外を寄付する,ということはないのだろうか。

 ビジネス書には,不労所得絶賛本が多い。アパート経営がその最たるもので,会社を退職して複数のアパート経営で生計を立てて成功している知り合いもいる。働かざるもの食うべからず,と昔から思っていたので,こういう生き方は自分にはできない。今も街を歩くとアパート経営で左ウチワという人に出会う。高級外車に乗り,ほかにも土地持ちでもありそうで,お金持ちなんだろうなと思うが,こういう生き方は自分には合わない。

 一方で,株や為替,商品相場,FXなどで儲ける人も損をする人もいる。これも才能だが,いわばバクチである。公営ギャンブルは,競馬,競輪,競艇オートレースがあり,ゲームとしてはパチンコやパチスロがある。いずれも,プラスもマイナスも振れ幅が大きい中で才能や運のある人が儲けることができる。これも筆者は苦手である。

 本を書いて印税生活を目指す人もいるが,これもほとんど賭けだろう。芽が出ればいいが,芽が出ないまま埋もれてしまう情報が山のようにある。現在,そういう埋もれた情報をITの力で掘り起こし,陽の光を当てる,という仕組みづくりに参画できているのは,編集者,出版社メンバーとしてやりがいのあることである。単にキーワードでつなぐだけでなく,何かもっと温かみのあるつながりができないか,考えてみるきっかけにしたいと思う。