jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

シリンジ準備ロボットで医療関係者の針刺しの危険から解放したい

昨日,新型コロナウイルス対応ワクチンの1回目の接種を完了した。接種を終えた人と15分間の様子見エリアで一緒にいたが,体調を崩す人は出ず,みんな「接種できた」安堵感の表情で,帰宅の足取りも軽かったような気がする。

 接種を担当された医師も,明るい表情での応対で,「ワクチン接種でウイルス禍を収束させたい」という思いが伝わってきた。

 ただ,年齢が高いだけに,やや我がままな方もおられた。クラスターとして飲食店とともに問題になっていたのがカラオケ。ワクチン接種で気が緩んで,高齢者のコミュニケーションの場としてのカラオケや飲酒などに出かけてしまうのではないかと危惧する。

 逆に,64歳以下に接種が広げて行った際,わざわざ時間を取ってまで積極的にワクチン接種をするかどうかという懸念がある。学校やアルバイトの関係で,ドタキャンもありえるし,そのまま接種しない,という流れも考えられる。高齢者のように医療関係者の指示におとなしく従うかどうかも不安が残る。

 一方,ニュースで「2mLシリンジ」が問題になっている。0.3mLを量ってシリンジに入れるのに通常は細い1mLシリンジが使われる。ところが厚生労働省から医療機関に送られてきたシリンジが,太い2mLシリンジだったという。1mLシリンジには0.3mLの位置にも数字で表記があるが,2mLシリンジには0.5mL,1mL,2mLのところにしか数字がなく,0.3mLの位置には目盛りがあるだけだという。

【追記】ちなみに「mL」はミリリットルだが,これを「ml」とリットルを小文字で表記すると,仕切りの縦棒や,数字の1と見分けがつかない。教科書ではかつては小文字の筆記体が使われていたが,電子版などフォントによって表示ができなくなることから,筆記体での表記はなくなったようだ。フォントによる見間違いを防ぐため,大文字の「L」を使うことが望ましいのだが,Webニュースなどで小文字が使われているケースが多いのは,やはり文字に対する感覚が欠如しているからだと思われる。(終)

 いわば“目分量”で人の感覚でシリンジに吸入する必要があるらしく,バラつきも多くなることが予想され,医療関係者の間でとまどいが広がっているという。

 もちろん,こういうシリンジを配布した厚労省もおかしいが,そもそも接種の準備がすべてアナログ的に行われているのが,さまざまなミスを招いていると筆者には見える。

 筆者は,ロボットによるワクチン接種ができないか提案した ワクチン注射ロボットを至急開発してください - jeyseni's diary 2021/1/21。1本のバイアルで6回接種できる量があるのに,①先端にムダな空間のあるシリンジだと5回しか取れない,②5回取っても6回目だと規定の0.3mLが取れないので残りは廃棄になる,というムダをなくすために,残った1回未満分を清浄な環境の中で集めて利用できるのではないか,という発想だった。その後,数千人分が温度管理のミスで廃棄されている状況を見ると,正直,こんな1回分をムダにしないように,と指摘していたのがバカらしくなる。

 ところが今度は,空のシリンジに生理食塩水を入れて結果として生理食塩水を接種したという事例や,生理食塩水の量を間違えて薄かったり濃かったりするワクチンを接種した事例が続発している。このうえさらに,シリンジの大きさによる1回の接種量のバラつきが発生する可能性によるストレスを,医療従事者に与えるのはいかがなものかと思う。

 冷凍庫からバイアルを取り出したら,その後の流れを自動的に行うシリンジ準備ロボットも開発されることが求められる。ファイザー製のワクチンの取り扱い方については,ワクチン廃棄しなくて済む方法は世界に学べないのか【情報追加】 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/4/13 に記した。冷凍庫から取り出したバイアルをセットすると,3時間で解凍,その後,1.8mLの生理食塩水を注入して撹拌し,ここから0.3mLずつシリンジに吸入する。頭の中でイメージしただけでも,バイアルを横向きにセットすれば,生理食塩水の注入,撹拌,シリンジへの吸入など,一連の動作は完全に自動化できる。シリンジへの吸入量は目盛りを視覚センサーで確認する方法でも,重量を量る方法でもどちらでもできる。完全無菌状態であれば,複数のバイアルから残りのワクチンを集めるという運用も問題ないはずである。

 もっと大事なのは,注射針を扱う医療関係者を針刺しという危険から解放できることである。

 今回のワクチン接種においても,一度使用した注射器を再度使うという信じられない事例が起きている。血液性の感染症の危険があるため,針の使いまわしは現在は禁止されている。準備段階では,針刺しによる感染症の危険はないが,医療関係者は常に針に気をつけなければならず,ストレスになっている。同じ神経を使う業務が数ヶ月にわたって繰り返されるという疲労感もいなめない。今回の2回接種だけでなく,1年後の3回目の接種も検討されている。まだまだワクチン接種との闘いも続くことが予想される。

 ぜひこの工程を自動化して,医療従事者の精神的な負担を軽減してあげたいと思う。解凍プロセス,希釈撹拌プロセス,シリンジ吸入プロセスはそれぞれブロック化しておけば,シリンジ吸入プロセスは設定変更で他の注射にも利用できる。バイアルの自動認識機能も加えれば,吸入量の設定ミスも防ぐことができる。

 かつての日本の工場には,さまざまなバラつきのない製品を作るためのノウハウが詰まっていた。機械式でもミクロン単位の精度を出すことができる。これにセンサー技術が加われば,フレキシブルな自動化システムが提供できるはずである。大手ロボットメーカーだけでなく,町工場のみなさんにもぜひ挑戦していただきたい。