jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

国名付きの病名でも批判から逃れられた国

新型コロナウイルスは,現在,デルタ株,アルファ株,従来株と呼ぶようにWHOが定義している。デルタ株はインド型変異ウイルス,アルファ株はイギリス型変異ウイルスである。

 初期ウイルスは武漢(中国)由来と言われた。アメリカは今でも,このコロナウイルス禍の出どころは中国だと確定したいと考えている。たしかに最初に見つかった国の名前を付けることで理解はしやすい。しかし,その国が悪者になったような印象はある。新型コロナウイルスが確認された2020年初頭,中国の人に対する嫌がらせや差別があったことをもう忘れている人も多い Upstanderになる勇気 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/6/27。アジア系諸国に対する日本の差別意識は双方向にある。インドに対しても,入国拒否の意識も強い。

 一方,イギリスに対しては,入国拒否などの目立った動きはなかった。逆に,入国検疫でスルーしてしまう感染者が日本国内に入ってしまい,今の日本の3回目の感染拡大につながってしまった。

 では,イギリスやインドに対して特別な感情を持つ人は少ないのではないか。これは何か理由があるのだろうか。

 イギリスは,今回の新型コロナウイルスに対してアストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同でワクチンを開発した。イギリス国内での接種が50%を超えているのも,このアストラゼネカ社ワクチンの自国での生産があったことで供給がスムーズに進んだことが考えられる。

 インドはもともとイギリスの植民地だったこともあり,他の病気のワクチンも量産して世界に輸出してきた。新型コロナウイルス対応ワクチンも,アストラゼネカ社のワクチンを量産して世界に供給したが,自国の感染爆発によって輸出が大きく制約を受けた。しかしさらに,国産のワクチン開発も進め,2021/3には「コバクシン」が承認された CNN.co.jp : インド国産ワクチン「コバクシン」、有効性81% 2021/3/4。

 一方,日本では豪華客船ダイヤモンド・プリンセスの船内で新型コロナウイルスの感染拡大があった あなたは知らない間に人を殺しているかもしれない - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/4/28。後に,世界からはこのダイヤモンド・プリンセスの乗客が十分な管理をされないままオーストラリアなど各国に戻ったことで各国に感染が拡大したという言われ方をされ,「新型コロナウイルスの感染拡大の原因は,横浜にある」という言われ方がされた時期があった。もともと中国が発信地だという情報があったにも関わらず,日本での封じ込め対応のまずさがパンデミックを招いたという捉えられ方が世界中にあった。しかし,「日本型ウイルス」とか「横浜ウイルス」という言い方までは至らなかった。

 日本は,正直,ワクチン開発もライセンス生産もできていない。インフルエンザの特効薬アビガンが唯一,新型コロナウイルスの治療に効果のある薬として使われていることが,救いである。あとは,外出禁止令もロックダウンもなく,感染拡大を比較的低いレベルで抑え続けた生活習慣として,マスク着用,手洗い励行がWHOも公認の“世界標準”になったことも大きい。

 イギリスに続いてブラジル由来のウイルスも登場したり,出所不明の変異ウイルスもある。まだまだ今後もさまざまな変異を繰り返し,ワクチンや特効薬があるところで落ち着くことが期待される。国名を病名やウイルス名に付けないで済ませるに越したことはない。東京オリンピック2020の扱いで,世界からヒンシュクを買わないような決断をしてほしいものだと思う。でないと,「○○なオリンピック」といった不名誉な呼ばれ方で歴史に名を残してしまうかもしれないからだ。