jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「氾濫」と「決壊」をきちんと区別して報道してほしい

2020年7月豪雨では,信濃川球磨川の堤防が決壊し,大量の水が街中に流れ,多くの被害が出た。2021年7月も,線状降水帯の影響で,九州を中心に川が増水した。

 洪水の影響で河川の整備が原因で被害が出ている。しかし,「氾濫」と「決壊」では意味が違うことを,きちんと区別して報道しているのか疑わしい。

 氾濫は,堤防を越えて水があふれることである。堤防の設計限度を超える予想外の雨量や水量が流れたために水があふれたものである。設計時に水量を想定しないわけはない。その想定水量を超えるような雨の降り方はまさに「想定外」である。人災と言えなくもないが,人智を越えた災害はあり得るものである。これまでも,通常堤防では氾濫が起きた川に「スーパー堤防」が作られて,強化が進められている。

 一方,決壊は,堤防が崩れたことによって水があふれることである。水量が氾濫水量より少なくても,堤防に欠陥があったり,川の流れが集中するなどにより,堤防が破壊されることがある。堤防の設計ミスもあるが,管理ミス,補修ミスなど,人災の側面が強い。なにしろ,堤防が決壊しなければ,街中に水があふれることもなく,被害が防げたからである。

 それにしても,水と土の力は恐ろしい。伊豆山での土石流の破壊力も凄まじかった。内水氾濫で街中に水が逆流して溢れても,歩くことすら難しくなる。クルマのドアも開かなくなる。

 津波も実は「波」ではない。地震で海底面が上下することで津波が発生する。たとえば1km四方の海底が1m上下したとすると,動く水の量は100万立法メートル。重さにすると100万トンである。この上に持ち上がったあるいは凹んだ水が水平に戻ろうとするときに,水の塊が四方に移動する。波は振動だが,津波は水の移動である。

 土石流も津波も,元は水の移動だが,これに土や木が加わり,建物や船なども巻き込んで,破壊力がさらに高まる。これが堤防決壊も招く原因の一つでもある。単に水量だけ予測して堤防を築いてもだめである。安全率をかけて築いても,その予想を超えることもあるし,数十年も放置していれば,ヒビが入ったりする。アリの一穴(千丈の堤も蟻の一穴より崩れる)である。

 予測不可能な気象現象は,やはり地球温暖化が原因だと思う。しかし,インフラ整備のための予算削減,人員削減という面は人災である。これらを「自然災害」だから仕方ない,という論調で報道することは,罪である。