jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

トップの人柄とトップなき組織の不幸

トップが存在する組織は,トップの意向によって組織の方向が決まる。トップの意向がブレなければ,進む方向は決まる。正しい方向であれ,間違った方向であれ,ブレることはない。

 トップが存在する組織の中には,トップの意向に従わない者も存在する。理性のあるトップは,ひょっとしたら自分の示す方向性が間違っているのではないかと,他人の意見を聞く。組織の中の者だったり,組織の外の者だったりする。組織の中に囲い込むこともあれば組織から排除することもある。トップの意向次第である。

 「組織」と言ったが,わかりやすいのは「企業」であり,トップは「社長」である。企業は営利目的なので,進む方向は基本的に一つである。利益を出すこと。このためには,方法を選ばない。社内・社外の意見は聞いても,方針は変えない。ここがブレるようだと,組織として成り立たない。しかし,意見がまったく合わないと,その者と対立することになる。企業なら,そこを辞めて独立することもありうる。

 国という組織は厄介である。トップがはっきりしているのが,大統領国家や王国である。王様は絶対権力である。大統領は,国民が選んだものの法律的には絶対権力を持つ。議会の意見に反対なら,大統領権限で自分の方針を貫くことができる。

 一方,行政の長である首相は,三権独立の立場上,絶対権力を持つことはできない。立法府である議会は,複数の意見を持つ組織であり,常に反対意見にさらされる。その中で自らの進む方向を維持するのは難しい。

 国民ともなると、「会社を辞める」みたいに簡単には逃げられない。一生、考え方の違いに苦しむことになるかもしれない。

 トッブの人柄によっても、組織運営は変わってくる。トッブに魅力があれば、その方向が多少異なっていても、議論する価値はある。議論によって方向を少し修正したり、意見をプラスした形にして、うまく共存する道を取ることもできる。

 今の日本のトップである菅首相は厄介である。政治調整能力には優れており、長年幹事長を勤めた実績もある。しかし、リーダーとしての素容が外には理解しづらい。真面目なのか厚顔無恥なのか、わからない。止めるという決断ができない人なのではないかと思えてくる。

 COVID -19対策も、自ら決断できないために専門家委員会を作って諮問させているが、結局、委員会の意見で行政が動くことはなかった。知事が正式に要請するまで、緊急事態宣言も何も発令しない。他国のように速やかに措置を取り、その責任は後で取る、という姿勢がない。

 昨今のサラリーマン社長も似たようなものである。前の流儀を踏襲することが第一で、自らパラダイムシフトを起こそうという意思もなく、ただ責任を取ると口先でいって逃げて行く。

 行政の長である首相が、自民党という企業のサラリーマン社長だと考えれば、およその見当がつくだろう。

 北海道、大阪、そして千葉、兵庫と、若い世代の長が次々に輩出している。期待したい。