jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

飲食店・惣菜売り場に「迫り(せり)=せり上がり舞台」の提案

最初に回転寿司店に行ったのはいつだったか忘れた。次々といろいろなネタの乗ったお寿司が皿に乗ってベルトコンベアで運ばれてくる。目の前を通過する5秒ぐらいの間に取るかどうかの決断を迫られる。なんともせわしい仕組みだなと思ったものだ。それでも,人件費の削減効果とチェーン店での仕入れ単価削減の効果で,庶民には手頃な価格で寿司が楽しめる。確かに寿司職人が1個ずつ握ってくれる寿司とはまた違うのだが,そこは機械メーカーも改良に改良を加えて,なかなかのものを作ってきた。

 COVID-19禍で飲食店への客足が減り,回転寿司店でも客の入りが少なく,普通の座席へ直接運べば済むため,ベルトコンベアが回っていないことが多い。テイクアウトだけに絞って店舗営業をしなくなったお店もある。厄介な世の中である。

 飲食店でのCOVID-19感染拡大を防ぐ方法として,パーティショニングが導入された。客同士の飛沫感染を防ぐという目的だったが,マイクロ飛沫というパーティションを飛び越えて飛散する飛沫による感染には効果がない。時短営業,時短ながらアルコール提供,など中途半端な対応の中,アルコールを飲んで高揚した客がマスクなしで大声で話す場面も増え,客から店員への感染,客同士の感染のリスクが高まっている。

 回転寿司店では,客と職人の間にコンベアがあるが,仕切りはもともとなく,職人と会話しながら注文もできていた。今は仕切りが設けられ,寿司を握る光景も仕切り越しとなり,味気なくなったが,これも仕方のないことかもしれない。

 デルタ株変異ウイルスが,感染力が高いため,マイクロ飛沫の飛散を抑え,マイクロ飛沫による感染を防ぐために,客同士はもちろんのこと,客と従業員の間もより堅固に仕切る必要が出てきた。マスクやフェイスシールドの着用程度では,感染拡大を防ぎきれなくなっている。

 こうなったら,単なるパーティションや,ビニールの仕切りのように,空気が流通する方法では不完全である。きっちりと完全に仕切る必要が出てくる。

 そうすると,料理の提供方法が問題になってくる。どのように料理を客の机まで運ぶかである。

 一つのアイディアは,トンネルを作り,店側が料理をその中に入れて入り口を閉じ,その後,客が出口のトビラを開いて料理を取り出すというものである。なんだか,動物園の猛獣への餌やりや,刑務所の独房への食事の提供みたいなイメージで,今ひとつ感心しない。

 別のアイディアとして,これはもう実現しているが,料理を乗せた車両が線路を走って客のところまで料理を届けるというものである。このリニア方式を採用している寿司店もあるから,この方法はありだと思われる。

 海外で実現している方法として,料理を乗せた無人のカート型ロボットが,通路を通って客席まで料理を運ぶという方法もある。動画を見ると何となくガタガタと動いているようで,危なっかしい。ロボットの表現も難しいところである。

 同じロボットでも,アーム型のロボットで料理を差し出すこともできなくはない。飲み物系では工業用のアーム型ロボットを使った店も登場している。しかしこれも,いかにも美味しくなさそうに見えるのが欠点に思っていた。

 さて,そこで提案だが,「舞台のせり上がり=迫り(せり)」をテーブルに組み込んだ料理配膳机である。

 料理が運ばれる醍醐味は,店員さんが目の前に皿をさっと置いていく素早い動作にある。「おまたせしました」から料理が机に置かれるまで数秒。この間合いに,皿の動きと料理への視線誘導,そして香りや音が提供され,一気にムードが盛り上がる。料理のサービスというのは,このような動きの演出の要素も含んでいる。

 舞台への俳優の登場といえば,上座下座からの登場,花道からの登場などがあるが,クライマックスとして舞台のせり上がりでの登場がある。それも舞台のセンターにすうっと上がってくることで一気に盛り上がるのである。

 目の前のなにもないテーブルに蓋が開いて料理がせり上がってくる。そのスピードと登場の演出が,一気に雰囲気を盛り上げる,という趣向である。特に,中華料理のような丸テーブルだと盛り上がるのではないだろうか。登場時に少しテーブル上を暗くし,スポットライトを当てるような演出でもいいかもしれない。

 調理場から客の机まで運ぶコンベアシステムはつくらなければならないが,喜ばれるのではないだろうか。せり上がってから,モニターで料理の解説をしてもいい。お客とのコミュニケーションも大事である。

 考えてみると,結婚披露宴のビデオ上映のような演出でもある。会場の照明をすうっと落としながらスクリーンが降りてきて,そこにビデオ上映が始まる。結構,この間合いにはコツがいるのだが,それは店の腕の見せ方でもある。

 感染拡大が報告されているデパ地下のお惣菜売り場でも,できたてのお惣菜を客に提供する際,手渡しでもいいが,こういう演出でもいいのではないだろうか。とにかく,客と別の空間にいる必要が出ている業界で,せり上がりをぜひ検討してもらいたい。