行政,立法,各自治体のトップとその周辺に,COVID-19感染者が出ないのはなぜだろう。菅義偉首相も,閣僚も,自民党党員も,そして国会議員も,小池百合子東京都知事をはじめとする地方自治体の長とその周辺にも,COVID-19感染者が出ない。
毎日のようにリアルの会議を行い,報告を受け,記者会見もする。身内が中心とはいえ,不特定の人間との接触もある。疲労の度合いも,精神的なストレスも,仕事の量も,一般人の数倍はあり,健康管理も十分でないと思われるのに,COVID-19感染者にはならない。
記者会見でマスクを外すこともある。ちょっとしたやり取りで,マイクロ飛沫を受けない保証はない。
2020年は,アメリカの当時のトランプ大統領や,イギリスのジョンソン首相がCOVID-19ウイルスに感染し,一時期療養を余儀なくされた。当時の安倍晋三首相の検査入院と辞任も,COVID-19かと騒がれたが,結局は持病の腸炎の悪化だった。
今は,関係者の半分以上はワクチン接種を済ませているだろうし,また若い人もPCR検査などを優先的に受けることができているだろう。国会などへのウイルスの持ち込みそのものを阻止できている可能性が高い。
その気の緩みが,二階幹事長を中心とした会食などに現れているのだろう。国民の半分は,ワクチン接種ができていない。デルタ株変異ウイルスの蔓延で,どうしても接種したくないという若者は10%ぐらいになり,残りは接種したいと希望しているにも関わらず,ワクチンの供給が潤沢ではない状況が足を引っ張っている。筆者の住む自治体でも,ここ1ヶ月の間,接種可能枠がほとんどなく,あえて申し込んでも10月半ばとなっている。職域接種もまだほぼ止まっているし,大規模接種センターの枠もあっという間に埋まってしまう。
結局,行政,立法に携わる人は,自分たちが特権階級であることで,「声をかければ民衆は言うことを聞く」と思い込み「言うことを聞かなければ民衆自身の責任である」と責任逃れをする。しかし,病棟を作ったり,人流を規制したり,法律を整備するなどの具体的な動きができるのは行政,立法に携わる人であるにもかかわらず,自分たちで責任を取りたくないから何もしない,という負のスパイラルで国民が苦しんでいる中で,特権階級の安全な枠の中で1日延ばしにしているように見える。
学校の2学期からのスタートにしても,「自治体単位に強制はしない」「学校ごとの判断に任せる」というのは責任逃れである。オンラインで行くとその学校が決定したら,オンライン環境の一段の強化を,リアルですると決めた学校には,生徒全員が抗原検査を週2回できる検査キットの提供を,提案して実行すべきではないのか。