筆者は,小物のいっぱいあるショップが好きである。一番好きなのが,文具店である。ボールペンでもノートでも,画鋲でもクリップでも,端から端まで全部の棚を見て回る。思わぬ掘り出し物に出会うこともあるので楽しい。新商品がよく出てくるのも文房具店の特徴である。普通の文具店でも20分は楽しめる。
文具店を含む多目的ショップはもっと楽しんでいる。代表的なのが東急ハンズである。文具売り場から家庭用品,パーティーグッズまで各フロアにさまざまな商品が並べられている。DIY用品も好きだし,手工芸用品も好きである。カバンも台所用品も,電球や電動工具も,何でもある。おもちゃ箱をひっくり返したようなショップに入ると,1時間でも2時間でもいられる。
ローカルのDIYショップも好きである。職人さん御用達の仕事着を見るのも楽しい。ペットショップが併設されているところもあり,見ていて飽きない。
Amazonは,オンラインのバラエティショップという位置づけで利用している。1つの商品を検索すると,その類似品も出てきて,次々に発想が膨らんでくる。まるでリアルなショップで買ったように,翌日にも届くというのがすごい。
それよりもすごいと思っているのが,100円均一ショップである。一番好きな文房具もたくさんある。台所用品もユニークなものがある。収納用品も面白い。どのショップを見つけても,一通り入ってみることにしている。ショップの面積がやや狭いのが玉に瑕かと思える。スーパーマーケットのフロアの一部に入っている場合も,それほどショップ面積は広くない。
そういう意味で,筆者がときどき立ち寄る100円ショップは,フロア面積がかなり充実している。ちょっとした衣料品もある。ワイシャツから下着類,帽子や防寒具まで,上着やズボン・スカート以外なら一通り揃う。家庭用品も,布モノが売られている。デザインはシンプルだが,カーテンも売られている。遮光型のカーテンもある。DIYショップの廉価版のようなイメージで使わせていただいている。
小物は,いまやほとんどが中国で作られている。品質はピンキリである。正直言って,100円ショップの小物で失敗したなと思ったのは,イヤホンぐらいしかない。音質は最悪だった。最近紹介されているBluetoothスピーカーは,500円ながら不満がない音質だというから,驚きである。
企画をする人もすごいが,これを製品化し,きちんとした包装もして輸出してくる中国メーカーの実力もすごい。安かろう悪かろう,というのは,戦前の日本製品の代名詞だった。戦後,世界の工場が移った台湾,韓国,中国などの製品も,当初は安かろう悪かろうだった。現在は,安いが高品質な製品が作れる。半導体から液晶パネルのようなクリーンルームが必要なモノづくりまでできるようになってしまった。
ときどき,バチモンに引っかかって後悔する筆者だが,さまざまな製品を手に入れられるAmazonと100円ショップ。COVID-19騒ぎのときも,フェースシールドからマスク,マスクインナーカバーなど,一般の店では見つからなかった商品がAmazonで見つかり,それから1ヶ月で100円ショップでも見つかるようになると,本当に日本の立場が見えなくなってきた。
筆者がよく使っていた東急ハンズ池袋店が,2021年10月31日に閉店になる。筆者の好きなショップが1つなくなることになる。東急ハンズは特に,金属や革,ゴムなどの素材系が他店にはない魅力だった。また製品類も一流品が揃っており,品質や価格の基準としていた。100円ショップは,同系統の商品の価格破壊が行われた。基準となるショップが失われたことは,筆者にとっては痛手である。百貨店やデパートが一流品だけで構成されていたため,筆者にはまったく縁がなかった。次の基準とするショップはどこだろうか。