jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

スポンジの代わりにメッシュたわしがオススメ--マイクロプラスチックを減らせ

筆者は,台所ではメッシュたわしを愛用している。メッシュたわしというと,雰囲気的には洗濯用メッシュ袋みたいなものである。使わなくなった洗濯用メッシュ袋を再利用してもいい。

 台所での食器の手洗いといえば,主流はスポンジだろう。スポンジに食器用洗剤を付けてクシュクシュすると細かい泡がモコモコと立ち,油汚れがいかにもよく落ちるような気になる。しかし,スポンジには2つの欠点がある。

 1つ目の欠点は,強度が不足していること。1ヶ月もするとボロボロになってしまう。2つ目の欠点は,中に汚れが溜まってしまうことである。

 強度不足は,たとえば茶碗にこびりついた米粒や,鍋の縁に付いたアク,フライパンの焦げつきなどをこすって落とそうとしても,落とせない。逆にスポンジがボロボロになってしまう。これらを落とそうとすると,硬質のプラスチックたわしを使う必要がある。ただ,硬質プラスチックたわしは,力を入れすぎると食器などを傷つけてしまう。

 このとき,スポンジからは細かいスポンジ粒が分離する。排水口のメッシュ袋も通過した粒は,川を経由して海に流れ込む。肉眼では見落としてしまうような微細なプラスチック粒であり,いわゆるマイクロプラスチックである。

 プラスチックによる海洋汚染が問題になっている。漁網やレジ袋,ストローなどが海洋生物に絡んだり食べられたりして目に見える被害として報道される。しかし,こうした大きなプラスチックは,すでに数十年前から深海にまで流れているのに,ほとんど分解されていない。

 一方,5mm以下と定義されているマイクロプラスチックは,大きなプラスチック製品が自然と破砕されるよりも,もともと小さなプラスチック粒が流れ込んだ方が問題である。洗顔用せっけんに含まれていたスクラブと呼ばれる細かいプラスチック粒は使用が禁止されたが,農業用の遅効性肥料に使われるマイクロカプセル,そして物理的に分解されやすいスポンジや,水産業で使われる発泡スチロールボックスが,細かくなって流れ込んでいる方が,海洋生物にとっては脅威なのである。スポンジを使わない方がいいという理由の1つである。

 一方,スポンジの中に溜まる汚れ,特に油分が溜まるのは厄介である。食器洗い後に十分ゆすげばいいが,洗っても洗っても洗剤の泡が出てくる。中途半端に洗うと,中に油分が残ってしまう。おそらくその汚れがあると,雑菌もスポンジの中で繁殖してしまう。次に洗うときに,中から油分と雑菌が出てくるようでは,きれいに洗うことができないし,かえって汚れてしまう。

 最近販売されている食器用洗剤には,除菌タイプがある。その使い方として,普通に洗うだけでなく,まな板に掛けて一晩中置いて除菌したり,スポンジに染み込ませて一晩置いて除菌する,ということが紹介されている。正直言って,不用意に多くの洗剤を使って,それを流してしまうことで,河川の汚染をより進めているような気がしてしまう。除菌用には,アルコールを吹きかけるなどの方がいいのではないのか。

 そこで見直されているのが,昔から日本で使われているシュロ製のたわしや,ヘチマたわしである。シュロはもともと,ヤシ科の植物の幹周りにできる繊維を使う。繊維は手で布状に簡単に外せるので,木にも優しい感じである。一方,ヘチマはヘチマの実を水に浸けて皮や実を柔らかくし,繊維部分をのこし,乾燥させて製品にする。いずれにしても,手作業でしか作ることができない。原料を輸入したり,海外で生産することでコストダウンは図れるかもしれないが,量産には不向きである。

 筆者がメッシュたわしを使っているのは,ヘチマたわしに似た使い勝手であることと,寿命が長いことである。ヘチマたわしは快適なのだが,使ったあとに十分乾燥させないと,カビが生えやすい。腐ってしまうこともある。力を入れすぎると繊維がボロボロになる。植物の繊維なので流れても環境には影響はほとんどないが,たわしとしての寿命は限定的である。

 一方,メッシュたわしは,さすがにプラスチック製品なのか,1年でも2年でも使い続けられる。洗剤を付けた時の泡立ちはスポンジ並みに良く,こびりついた焦げを落とす時には硬質プラスチックたわしに近い硬さを持っている。使用後,簡単に洗剤を洗い流すことができ,干してもあっという間に乾いてしまうので,清潔さも保てる。ボロボロになることもなく,マイクロプラスチックの発生も極めて限定的である。

 SDGsを徹底するために,「プラスチック類の完全使用禁止」となるまでは,メッシュたわしを長く使い続けることで,環境に配慮した生活をしたいと思う。そもそも,プラスチックは,「変質しにくい」ことが特徴である。使い捨てではなく,何度も使い回すことで,廃棄量を減らす,ということを考えた方が現実的である。正直,プラスチックの「リサイクル」は,それにかかるエネルギーを考えると現実的ではない。