jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

激甚台風が連続して発生--太平洋がメキシコ湾化

2021/9/30現在,日本本土に明日10/1に最接近する台風16号。このブログを書いている朝6時の段階で中心気圧が935hPa,風速25m/s以上の暴風域が中心から半径220kmの大型で非常に強い台風となっている。

 筆者が子供のころ,大きな台風といえば1959年の伊勢湾台風である。9月26日上陸直前で920hPa,最大風速60m/s、暴風域は東側400km、西側300kmで,猛烈で超大型な台風と定義されている。中心気圧が最も下がったのが9月23日の894hPaと記録にある。「○○台風」と名づけられるぐらい,数十年に1個あるかないか,という位置づけだった。

 ところが,ここ10年ぐらいは,ほぼ毎年のように伊勢湾台風クラスの台風が日本に接近したり上陸したりしている。2021年は,4月の台風2号が最低気圧895hPa、最大風速60m/s、最大瞬間風速85m/sで,5年ぶりに900hPaを下回ったという。さらに上陸した台風では,9月7日の台風14号が中心気圧が905hPa,最大風速60m/sを記録した。

 2019年10月の台風19号は,千葉県全域の停電を引き起こした。最低気圧は,気象庁記録で915hPa,最大風速は55 m/sである。

 台風以外にも,線状降水帯による長雨で河川氾濫や土石流被害を起こした災害が頻発しているのが,近年の傾向である。建設・土木インフラの老朽化,メンテナンス不足,想定外の雨量での越水など,こちらは半分は人災である。

 台風の大型化,激甚化が進んでいるのも,地球温暖化に結びつけざるを得ないので,半分は人災である。太平洋全体の海水温の上昇により,太平洋全体がまるでメキシコ湾のような温かい海になりつつある。メキシコ湾といえば,昔から巨大・強大なハリケーンの産地である。太平洋がメキシコ湾化し,ハリケーン並みの台風が量産されていると見ることができるのではないか。

 ハリケーンにたびたび襲われるアメリカでは,竜巻の被害もあり,家が土台を残してすべて吹き飛ばされている風景をよく見る。アメリカの住宅は,この被害を想定してか,地下にシェルターを持つ家が多いという。いわば,ウワモノは2×4の掘っ建て小屋ですぐに建て替えができ,モノも持たないという生活で対応できているようだ。

 日本でも長年,台風の通り道にあった沖縄周辺は,屋根瓦をしっくいで固め,60m/h級の風に耐えられる設計になっている。暴風の中の中継を何度も見ているが,家屋の倒壊などの被害をあまり聞かないのは,構造上の強さによるものだと思われる。

 本土の家屋は,昔ながらの穏やかな四季を過ごすための,雨をしのぐための木造住宅が中心である。雨漏りを防ぐ目的で重厚な瓦屋根を持ち,地震対応で柔軟な木組みの構造である。風による横方向の力にはある程度耐えられるが,巻き上げるような風には対応できない。

 阪神大震災東日本大震災で,地震に対する基準は上がった。次は台風や竜巻に対応できる方法を考える時期に来ているのではないか。水に対しての備えはなかなか難しいが,風に対する備えはもう少し強化できるのではないか。

 最近の家は,庇(ひさし)が浅い。窓には庇がない家も多い。筆者の感覚だと,庇がないと雨が吹き込んで大変なことになると思うのだが,敷地いっぱいに建てて室内を広く取るために,庇をなくす傾向があるのかと思う。庇がない分,雨の吹き込みは防げないが,風に対しては強くなっているのかもしれない。

 また,強風時に家に横から風が吹き込むと,その抜け道が天井から屋根になるため,屋根ごと吹き飛ぶことも考えられる。密閉性が高い現在の家は,意外に風には強いのかもしれない。

 総合的に,災害に対して家を強化する必要がある。筆者の家は,もともとのスレート屋根を金属プレート屋根に吹き替えてある。スレート屋根は,瓦屋根に比べて非常に軽量で,地震には強くなる。しかし,スレートは薄いコンクリートの板であり,瓦よりも割れやすい。屋根の上を歩いたりすると割れてしまう。割れるとそこから水が侵入する。スレートは意外に変形しやすく,板と板の間に隙間ができやすく,そこから雨水が侵入したり,カビが生えたりする。しかし何より,原価が圧倒的に安い。建売住宅で内装をある程度豪華にすると,最もコストを削るのがこの屋根材なのである。

 現在の金属プレート屋根は,断熱材を加え,熱の侵入を防ぎ,衝撃にも強く,雨漏りもしにくいという触れ込みだった。材料としては確かに耐久性のあるものである。しかし,施工上は釘で固定する方法だった。釘で屋根プレートを打ち付けたあと,そこからの雨漏りを防ぐためにシーリングが加えられている。時間が経つと,釘は緩んで浮いてくる。シーリングの役目も弱くなる。これをキープするために毎年の点検とメンテナンスが必要になっている。残念ながら強風に対しては端から吹き剥がされるという弱点があった。なかなか万能な方法はないのかもしれない。

 明日の台風接近を前に,現在の関東地方は曇りときどき晴れである。少し風が強くなってきたような気もする。本土上陸はなさそうだが,最近の雨や風は予想がつきにくい。さっと通り抜けてくれることを望みたい。