jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「空飛ぶクルマ」すぐに開発禁止を要望

東日本大震災東京電力福島第一原子力発電所が水素爆発が起きた際,上空から様子を撮影するのにUAV(無人航空機,unmanned aerial vehicle)が活躍した。この頃は,無線操縦のいわゆるラジコン飛行機だった。

 飛行機型のUAVは,軍事でも活躍している。無人で敵地を偵察する業務から,爆弾を投下する作戦までこなす。日本にもそろそろ配備される見込みである。

 一方,4隅にプロペラを搭載した無人航空機は,そのプロペラ音が羽音に似ているとしてミツバチを表すドローンと呼ばれるようになった。ヘリコプターと同じようにホバリングできることから,比較的狭い場所で飛ばしたり,ゆっくり飛ばして動画を撮ったりできる。オモチャレベルから,空撮,競技などに一気に広がった。

 しかし,空を飛ぶものは落ちる危険性をはらんでいる。実際に,人混みに落ちてケガ人が出たりしている。このために,一定以上の大きさのドローンは,飛ばせる地域が限られているし,事前の飛行許可申請も必要になっている。都内も周辺県も,ほとんど飛ばせる場所がない。飛ばせるとして,僻地や離島への物資輸送ぐらいしか用途がない。

 GPSを搭載して自動飛行できるため,川や森の上など人がいない経路を通ることで,安全に輸送ができる,というところまでようやく環境の整備が進んできたが,海外のように自宅に宅配便のように荷物を届けてくれる,という使い方は,日本では無理だろう。

 重さ数百グラムのドローンでさえ,上空から落ちれば人に被害を与える。ときどき飛んでいるヘリコプターですら,プロが操縦を誤って墜落することもある。

 なのに今,「空飛ぶクルマ」「空飛ぶオートバイ」が続々と開発されている。小型のドローンでは世界で9割の圧倒的なシェアを持つ中国が,有人の空飛ぶクルマの分野でも先行している。欧米も開発を進めている。そしてとうとう日本でもソニーからスピンアウトしたエンジニアが実用化に近づいている。さらに,国土交通省も空飛ぶクルマの普及の検討を始めたという。

 やめてくれ。こんなものが空を飛んでいると思うと,おちおち寝ていられなくなる。騒音も半端ではない。とても街中を飛んでいいシロモノではないと思う。こんなものを許可するなど,何を血迷っているのかと思うのである。

 実験で飛ばすのはいくらやっても構わない。無人のドローンでできたことなら,大型化すれば人を乗せることもできるだろう。現実,ヘリコプターは空を飛んでいる。しかし,ブレードは直径で10m~15mもある。これに対して空飛ぶクルマは1個の直径が1m前後と小さい。当然,ブレードの回転数は高く,その分,騒音も高い音になる。搭乗者の安全も確保されないし,周囲の安全も確保できない。

 利用先としては,離島間の船代わりや,観光エンタテインメントぐらいではないか。街中を飛んでいるCGも見かけるようになったが,とんでもないことである。絶対に開発をやめてもらいたい。

 民間のロケットビジネスは金儲けだが,国営ロケットというお手本があるし,飛んでいくのは宇宙だから,一般の人には関係がない(もっとも,エネルギーの無駄,地球温暖化への影響大ではないかと懸念している)。しかし「空飛ぶクルマ」にはお手本がなく,民間企業の自己満足というエゴにしか見えない。

 筆者は,通常のドローンがバッテリーによるモーター駆動で,飛行時間が20分ぐらいが限度というのがおかしいと主張している。長距離の運送や,監視も含めた長時間の飛行で少なくとも1時間ぐらい飛行するには,エンジン駆動しかないと思っている 災害時にもっとドローンを活用せよ - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/7/10。

 しかし,いまや航空機でもモーター駆動化を目指している時代に,エンジン式の空飛ぶクルマというコンセプトは逆行しているように思うのである。緊急用,災害用以外のドローンは,ぜひ今すぐ開発を中止してもらいたい。