子どものころから、足首をくじきやすかった。靴のかかとは外側が片減りしていた。いわゆるO脚(ガニ股)が原因だと思っていたが、そもそもガニ股の原因の1つが脚の内側の筋肉の不使用、あるいは衰えであることになかなか気がつかなかった。
「ピタッと開脚」にはまだほど遠いが、ようやく自分の脚に少し自信が出てきた。地面の感覚を両足で同じように感じられるようになってきたからである。
北京冬季オリンピックのスピードスケート6種目に出場し、最終種目の金メダルを含めて5個のメダルを獲得した高木美帆選手。解説によると、彼女は氷の状態を足の裏全体で感じながら滑るので、無駄な力が氷に掛からず、これによって氷の削れが非常に少ないのだそうだ。ビデオで見てもキックの後ろに飛ぶ氷のカケラがほとんどない。効率良く力が伝わっているので、疲れが少なく、スピードが出るのだそうだ。
これは、普通に道を歩く時にも応用できるのではないかと考えて、言わばスケートをするように意識して歩くことを考えた。
まず、太ももの内側の筋肉を意識してみた。O脚の矯正の意味合いもある。ところが、この筋肉がなかなか意識できず、力も入らない。開脚ストレッチをして突っ張っている筋肉がこの内股の筋肉で、まるでただのテープのように、伸びもしなければ縮みもしない。ほとんど活躍していないことがわかった。
しかし、ストレッチだけではただ痛いだけなのと、ストレッチ後にぶり返しがあるので続かない。まずこの内股筋肉をいかに働かせるかが大きな課題だった。
ストレッチと並行して、「筋肉なんだから、負荷を掛けて伸縮させることで、筋肉の機能を取り戻せる」と考えた。実行したのは、筋肉を意識して「歩く」ことだった。
負荷は、特別なものではなく、自分の脚の重さである。まずはゆっくりと歩き、前後開脚や片足立ちの間に筋肉に重さを掛けて意識させる。これで歩くスピードを上げると、後ろの脚を前に動かすためには筋肉で引き戻して、前に脚を動かさなければならない。
さらに、後ろの脚を蹴るように力を入れることで、より速く脚を前に移動させられる。これは、スケートにおけるキックと同じである。
つまり、後ろになった脚をしっかり地面に押し付けながら、強く蹴り、その脚を素早く引き戻して前に振りだす、という動作を意識しておこないながら歩くのである。
この歩き方を始めて、地面の傾斜や左右の傾き、地面の凹凸、そして滑りやすさなどによって、歩き方をリアルタイムで変えないと滑ってしまったりすることがわかった。また、これまでよく足首を捻挫してきた状況が理解できた。
脚の引き上げは、高齢者でよく問題になる段差でのつまづきの防止にも役立つと考える。
そろそろ脚の筋肉が衰え始める年齢なので、意識して歩いて、鍛えようと思っている