jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

ミサイル使用は「戦争」を意味することを改めて認識--無差別攻撃による非人道的な手段であることを指摘

かつて太平洋戦争は,日本の九七式艦上攻撃機による真珠湾空襲で幕を開けた。飛行機から爆弾を投下する攻撃だが,アメリカの戦艦「アリゾナ」などにピンポイントに命中させるために,命懸けの特攻攻撃だった。

 一方,日本軍の南方諸島への進出に歯止めをかけたのが,ガダルカナル島でのアメリカ軍による艦砲射撃だった。戦艦から島に向かって大量の砲弾を大砲で打ち込んでいる間に上陸用舟艇で兵士を上陸させ,一気に形勢逆転となった。

 太平洋戦争の終結は,アメリカの爆撃機B29による主要都市のジュウタン爆撃の後,広島と長崎に投下された原子爆弾による。高度9000mからの爆弾投下は,ピンポイントというより広範囲にばら撒く作戦であり,原子爆弾のような広範囲を破壊する爆弾を投下する方法である。目標の上空からの投下とはいえ,投下した側への爆風の影響はほぼなく,極めて機械的な操作で攻撃が粛々と進められた。

 近代の戦争においては,ミサイルの使用が当たり前のようになった。戦闘機から発射されたミサイルは,レーザー誘導されてピンポイントで軍事施設などを攻撃できるようになった。巡航ミサイルは,GPSで航路を自由に設定し,やはりピンポイントで攻撃する能力を持つ。中東戦争などでも巡航ミサイルが使われた。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻は,当初,ウクライナに接するベラルーシにおける合同演習後に撤収せず,そのまま地上部隊が侵攻するかと思われたが,地上戦でのウクライナ軍の抵抗が厳しく,その後,数百発の弾道ミサイルウクライナ全土に打ち込まれる形になった。軍事施設を狙ったと発表されているものの,弾道ミサイルは誘導ミサイルではないため,民間人の住む地域も爆撃されている。これが狙いのミスなのか,意図的な攻撃なのかはわからない。

 今どきの戦艦は,ほぼミサイル発射用である。地上戦でも,移動式のミサイル発射台車両が配備される。爆撃機によるミサイル攻撃も先制攻撃では使われるが,地対空ミサイルで撃墜される可能性もあり,パイロットの安全は保証されない。となると,結局戦争が始まるのは,ミサイルの使用が契機となっていることが分かる。

 ミサイル使用がずるいのは,攻撃する側の安全が保たれた状態で無差別に相手を攻撃できる点である。ピンポイントで狙ったと発表したとしても,その保証はない。そもそも,相手に被害を与えることができれば,それで成功だからである。

 ミサイルの恐ろしい点は,核弾頭を搭載できる可能性があることである。核兵器を使用しないという保証はない。ウクライナ侵攻のためにこれ以上のミサイル攻撃がないことを祈りたい。

 日本もまた,北朝鮮によるミサイル攻撃の危険にさらされている。発射実験と称して,日本に向けて発射された各種のミサイルは,これまでは日本海EEZ排他的経済水域)外に着水しているものの,航続距離を考えれば日本本土が射程に入っている。ミサイルが発射されても,発射情報の分析はアメリカと韓国に依存しており,そもそもミサイル発射を知らせるはずのJ-Alertもほとんど機能しない。仮にアラートが出たとしても,迎撃する手段もほぼゼロである。たまたま島国なので,すぐに侵攻されることはないにしても,攻撃の被害の復旧がすぐにできるとは思えない。地震の被害でさえ,10年経った今でもまだ復旧しきれていない。

 世界各国が,今回のロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻に対して経済制裁に入っている。日本の岸田首相も,G7と協調してしっかりと対応していく,と表明している。これに対して,兵糧攻めは逆効果か--窮鼠猫を噛む。最多核兵器保有国リーダーに理性的な判断はできるのか - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/3/2 のように一斉反撃がないとは限らない。何しろ,目的地さえセットしていれば,ボタン1つで世界中の複数の標的に一度に攻撃をかけることができるからである。

 かつて花火は,花火職人が1本の発射筒の中に手で花火玉を順番に入れて打ち上げていた。今や,花火の数だけ発射筒を並べ,すべての花火の導火線は電子制御で着火することで,同時連発(スターマイン)が当たり前になっている。正直言えば,ミサイル発射もほとんど同じ仕組みになっているはずだ。北朝鮮の発射実験でも同時に数発のミサイル発射実験を成功させている。

 ミサイルによる攻撃,無人航空機による攻撃,そして複数ドローンによる攻撃など,現在の戦争がゲーム感覚になっている。特に今後,複数ドローンによる攻撃はAIとの組み合わせにより,指示をしなくても勝手に攻撃をしかけるようになる可能性がある。

 弾道ミサイルによる攻撃は,無差別な被害を与える可能性があり,21世紀の現在,もはや人道的に許される方法ではない。この攻撃法を採るリーダーは,人道的な考えのない独裁者と言わざるをえないだろう リーダーが独裁者になってはいけない--プーチン大統領の行動はロシアの意志ではなく,もはやテロである - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/2/27。