jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

新型コロナウイルス禍,世界ではできたのに日本ではできなかったことを検証する

新型コロナウイルス禍が,筆者の予測ではBA.2が「新型インフルエンザ」となって,いちおう換気設備の充実と密集時のマスク着用の対策で“普通の風邪”に近くなって共存する形になると考えた 重点措置解除後,BA.2が「新型インフルエンザ」として定着へ--ただし死者数は年間1万人とインフルの3倍の脅威に - jeyseni's diary (hatenablog.com 2022/3/16。年明けからの第6波と,感染力の強いオミクロン株により,半年前の第5波をはるかに上回る4倍の感染確認者を出し,死者数も4倍を超えている。

 それまでの変異株が肺での増殖が中心で重症化リスクが高く,医療が一気に逼迫したのに対し,オミクロン株では上気道での増殖が中心で,肺炎に進む重症化率がもともと低かったことと,ワクチン接種が第5波以降,急速に進んだこと,そして第5波で準備された病床数拡張がようやく第6波において即応できたことで,重症者数が1/4に抑えられたことで医療逼迫が比較的進まなかったことが特徴である。

 しかし,重症者が1/4に減った中で死者数が4倍になったということは,単純計算で言えば「重症者の死亡率(致死率)は16倍と脅威的に高かった」ということをだれも言わない。

 さらにオミクロン株の亜種であるBA.2に至っては,PCR検査で検出することも困難になっている。結局,人類は新型コロナウイルスに負けて,共存の道を選ばざるを得なかったということになる。香港では,人口の半分がすでに感染したとされている。共存のために,ワクチン,特効薬,そして検査薬の開発が急がれるのは言うまでもない。

 さて,新型コロナウイルスに対して,日本は結局すべての政策・対策が他国の後塵を拝することになった。しかも,いわゆる後進国にすら見劣りのする政策・対策だったと検証できると思われる。

 1つ目は,国民皆保険と言いながら,国民の把握が何1つされていなかったことにある。マイナンバーの番号振りは行政側ではしていたものの,これを国民をデジタル的につなぐマイナンバーカードの普及率は20%にも満たなかった。3年経った今でも,また50%止まりである。デジタル的に国民の動きを把握できなかったことによって,感染者のトレースもできず,あっと言う間に蔓延を許してしまった。他国のように戒厳令,外出禁止令,ロックダウンで国民の動きを止めることもできなかった。

 ワクチン接種においても,このマイナンバーをまったく活かすことができなかった。新たに開発した登録システムも,入力は医療機関によるほぼ手入力でリアルタイムに状況を把握できなかった。さらに,ワクチン接種証明が動き始めたのも第5波が収まってから。そしてそのワクチン接種証明によるいわゆる「ワクチンパスポート」も,日本では実施されなかった。

 2つ目は,医療体制がまったく旧態依然として機能しなかったことである。エボラ熱並みの五類感染症に登録したために,医療費は全額国が負担する形なのだが,専門の感染症医療機関でしか対応することができず,日本の医療機関の9割を占める一般医療機関は手出しも手伝いもしなかった。これは,他国とは真逆であった。感染者数が2桁も少ないのに医療崩壊の危機に何度も陥った最大の元凶である。患者の最初のヒヤリング窓口が,感染症扱いのためにすべて保健所になったことも,業務逼迫を一気に招く結果になった。オミクロンBA.2で早くインフルエンザ同等の二類に変更し,一般医療機関が普通に診察・対応できるようにすべきだろう。

 3つ目が,検査体制がまったく実施されなかったことである。当初,感染症としての対応で,保健所で聞き取りをして「陽性の疑いのある人がPCR検査を受ける」という体制をずっと取ってきたために,症状があっても「保健所が判断して認めなければ検査すら受けられない」状態が続き,検査まで数日も放置されることで病状が悪化し,重症化から死亡というケースが多発した。他国では,早々に「ワクチン・検査パスポート」の仕組みが動き,出勤,登校できるのは,PCR検査で陰性と確認できた人のみ,という厳しい人流制限が行われた。日本では,自主的に検査をすることもできなかった。そのうち,抗原検査が比較的低価格で実施できたが,陽性の疑いが出ても,結局は保健所の指示によるPCR検査を受けてその結果が出るまでは診療されずに放置されるという体制だった。他国では,街の薬局でも検査キットを購入できたが,日本では現在に至っても指定の薬局でしか検査キットが買えない状況が続いている。BA.2の登場で,「検査しても意味がない」状態になるまで,結局,検査キットの増産も無償配布もごく一部でしか行われなかった。

 4つ目が,緊急病床の確保を政策として基本的にまったくしなかったことである。感染県数が指数関数的に増加しているので,県単位でホワイト・ロックダウンを - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/7/23 のブログの中で,「中国武漢で最初の感染拡大があった際,「4000人分の病棟を1週間で作る」と報道され,それは無理なのではと思っていたら,実際に実現してしまった」と書いた。日本では,「野戦病院」という言葉が出たのがそれから半年後 遅い!遅い!(もう遅い?) - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/1/27。で,緊急で作ったのは富山市の体育館を改造して100床を作っただけで,あとは大阪府の酸素ステーション,東京の酸素ステーションなどの一時待機施設だけだった。第6波の現在,第5波のときに手配したが使わなかった予備病床が使われ,さらに重症化率が低い分,重症者病床の逼迫率が最大で60%のところで「数字的には」踏ん張っていることで,空き病床がなくなるとう最悪の事態は避けられているが,実際は正直言えば「重症病床での死亡率がオミクロン以前に比べて明らかに高いので,“回転率が高い”(つまり,どんどん亡くなって空き病床ができている)」という状態だと思われる。「死亡率」「病床使用率」などの%表示や「1日の感染者数」は,まやかしの数字 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/8/23 のブログで指摘したが,たとえば10床の病床に6人入院していれば病床使用率は60%だが,たった2床を追加するだけで病床使用率は50%に下がってしまう。重点措置から緊急事態宣言に移さないように,確保病床数という分母を操作すれば,病床使用率の逼迫を発表しなくて済む。そんな数字のトリックが行われたはずである。

 5つ目が,公共交通機関での移動制限を結局何もしなかったことである。飲食店では入店者数の制限もし,これに加えて換気設備の追加,パーティションの追加,入れ替えごとの消毒,黙食,アルコール提供の禁止,時短要請など,度重なる実質的な営業規制を課してきた。補助金申請しても支払いが数ヶ月先となって倒産したケースもある。休業要請に応じなければ科料を課すなどという脅しも行われた。さらに店の審査や管理者に試験を課し,シールを貼らなければ認定店としないなどの差別も行われた。

 これに対して,感染の疑いのある人物を容易に他府県から都心に運び入れた電鉄系の公共交通機関には,結局何も制限も指導も行わなかった。テレワークを企業がある程度導入したことで,都心に向けて通勤する人数は約半分にはなったが,座席はすべて人が座り,つり革につかまって通勤する人も数多く見られた。もともと冷暖房はよく効く電車だが,換気装置は皆無と言っていい。かつて喫煙が許されていた新幹線車両で換気装置が取り付けられているぐらいで,民間の鉄道車両に換気装置はほとんど付いていない。実際,冬場など,コートを来たまま暖房の効いた電車に乗れば,蒸し暑い空気が充満している。そこで咳・くしゃみを平気でするものだから,風邪,インフルエンザは毎年のように流行していた。

 新型コロナウイルスで,マスク着用を電鉄会社が呼びかけ始めたのは,1年以上経ったころではないか。まして窓開けを電鉄職員が始めたのは,ようやく第5波が過ぎたころである 「Quiet Please」サインを,COVID-19対策にも使いたいのだが・・・。 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2021/8/31。会話を控えるようにアナウンスが始まったのも,第5波以降である。いかに感染拡大に無関心だったかが見て取れる。改札で,マスク未着用者を規制する,という実に簡単と思えることだが,営利企業である電鉄会社がお客様を阻止することができない。だから,国土交通省が宣言して人流抑制をすべきだと最初に書いたのは,実に第1波のころである 国土交通大臣は,公共交通機関に乗車・入場禁止をさせるべき。 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/2/21。とにかく,出勤しないことが唯一,感染罹患を防ぐ方法と判断した筆者は,このころすでに自主的に自宅作業に移行していた。

 最後に6つ目として,「2年経ってもワクチンも特効薬も開発できない,日本の薬学研究の貧困」を改めて指摘したい。薬などのバイオテクノロジーに限らず,マスクや食品すらもはや量産もできず,半導体も作れず,コンピュータも作れず,ドローンも作れず,AIも作れず,唯一独自技術である水素燃焼エネルギーさえ遅々として進められないかつての製造大国日本の凋落を,改めて指摘したい。

 以上,厚労省が取り組まなかった感染症分類変更,総務省が取り組まなかったマイナンバーカード,デジタル庁が取り組まなかったワクチンパスポート,国土交通省が取り組まなかった公共交通機関での人流抑制,地方自治体と医師会が取り組まなかった緊急病床確保について,改めて指摘する。リーダーシップがないこと,何でも合議制で判断が遅いこと,何でも法律遵守と言っているだけでだれも遵法しない国民であることである。

 世界は今,ウクライナ侵攻を受けて極度の緊張状態にある。これまでの中東戦争や,クリミア侵攻などとはまったく異なる,ロシアという世界第3位の国のリーダー集団による国際テロが起きているのである(大半のロシア国民は関係ない)。いつ,自分の頭の上に核爆弾が落ちてこない保証がないし,国際物流,国際エネルギーバランス,そして暗躍する他のテロ国家やテロ組織,そして世界第1位2位のアメリカ対中国の参戦による第三次世界大戦に向けて一触即発の状態にある。「ウクライナカラー」の青と黄色で塗り分けた商品を売ってわずかな寄付金を送っていい気になっている日本人の呑気さに改めてあきれてしまうのである。