2022年ゴールデンウィークが終わった。3年ぶりの外出制限のない休日で,期間中の観光地への人出も,日本人に限っては従来同様に戻ったようだ。まだ海外からのインバウンド観光客は戻ってきていない。
週が明けて,筆者も通常勤務に戻っている。通勤電車の混雑も,コロナ禍以前の水準に戻りつつある。
海外では,外出制限の解除とともに,マスク着用義務の解除も進んでいる。もともとマスクの習慣のない人々にとって,マスクは耐え難いものである。
日本でもマスク解除の動きが進んでいるが,全面的にコロナ禍がなくなるまでは,日本人はマスクを着用する傾向は続きそうである。
しかし,無症状感染・マイクロ飛沫拡散を防ぐのが目的の現在のマスク着用において,相変わらずの布マスクやウレタンマスクが横行しているうえ,不織布マスクでも鼻や頬に隙間ができるような着用法をしている人がいかに多いことか。
しかも,咳・くしゃみ時にマスクを押さえようとする人もほとんど見かけない。いずれもマスクを押し上げて隙間がさらに広がり,そこからマイクロ飛沫が拡散してしまう。なぜこのことを認識しないのだろうか。
通常の不織布マスクで,マスク周辺の隙間をなくすには,布マスクやウレタンマスクを上に重ねて着ける二重マスクが効果的だが,夏場にこれを実行する人もほとんどいない。
「不織布マスク」というだけではだめである。より顔に密着するマスクとして,「くちばし型不織布マスク」に限定すべきではないかと思うのである。
このタイプのマスクは,部品点数が多く,製造工数が多く,製造コストがかかることがデメリットと思う。しかし,マスクが顔に密着しにくく,また鼻やアゴの線に沿ってピタリと肌に沿うので,マスク周辺への漏れが少ないのは明らかである。よくできていると思う。国産マスク不足を補うために手を挙げた10社のうち,シャープもこのくちばし型マスクの製造を始めている。
すでに普及しているヒダ型の不織布マスクを使うなら,布マスクやウレタンマスクとの二重マスクにする必要があるが,くちばし型マスクなら1枚で済むと思う。
ここのところ,「感染症専門医」のコメントが弱い。ゴールデンウィーク前後のPCR検査件数も,4月初旬の半分に減っている。その中で,感染確認者数はまた増加に転じている。外出制限なしのゴールデンウィークの人の移動と,いい加減なマスク着用がもたらした結果だと思う。
施設や交通機関は強制換気の強化,個人側はくちばし型不織布マスクの着用とワクチン接種──これで何とか乗り切れるのではないかと思うのである。もちろん,公共交通機関内での会話の禁止は継続していくべきだろう。