jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

西武池袋線でパンタグラフと架線が損傷し,復旧までに10時間かかった件--アベンジャーズ・ネットワークを提案

2022/7/8はさまざまな事件が起きた日だった。筆者は西武池袋線で通勤途中に,車両故障による運休に巻き込まれてしまった。主要駅ではない駅で止まったため,迂回ルートがなく,待つしかないとあきらめていたところ,下り電車が途中まで動くことを知り,慌てて飛び乗った。隣の主要駅まで1駅動いたところで運転休止となった。ここからは都内に別ルートで移動することができ,通常より25分遅れてオフィスに到着できた。

 車両故障の原因が,パンタグラフにブルーシートが絡まったことのようである。これによってパンタグラフが曲がり,架線側にも損傷ができ,復旧に時間がかかったと理解している。シートが強風で飛ばされたのか,意図的に落とされたのかは不明である。

 曲がったパンタグラフは,最近流行りの1本脚型である。風の抵抗が少なく軽量なのがメリットと言われているが,以前からなんだか華奢だなと思っていた。そこにブルーシートがまともに絡んでネジ曲がったのだと思われる。とりあえず,事故が起きたことは不可抗力としておこう。

 問題は,復旧までの時間の長さである。さすがに10時間は長すぎる。都内から遠いところでも,部分運転を始めたのが10時過ぎで,事故から3時間が経過。通常は,事故が起きた箇所の前後区間では折り返し運転が比較的スムーズに始まるのだが,今回は架線損傷によって広い範囲で運転再開ができなかったのが原因のようである。

 さて,電車はいわば「オール電化」で,架線が切れて電力の供給ができなくなれば動きが取れなくなる。今回,復旧が遅れた1つの原因が,現場で立ち往生した車両を移動するのに時間がかかったことのようである。

 損傷したパンタグラフを下げても,他の車両にあるパンタグラフで電力は供給でき,動かすことはできるはずなのだが,その区間の電力供給を止めて復旧させなければならなかったのか,故障を起こした電車を動かすことができなかった。

 地下鉄では,停電時にトンネル内で止まってしまうことを想定して,隣駅までは走れる容量の電池を搭載しているという。今回の西武線の車両にはバッテリーが搭載されていなかったという話である。

 かといって,電力供給なしで動くディーゼル車などの設備も,おそらく電鉄会社は持ち合わせていない。仮に持っていたとしても,客車車両10両編成の電車を動かすだけの力を持った気動車や機関車は持っていないだろう。

 電車における停電は,通常は変電所側からの電力供給が途絶えることで起きる。電力供給が再開できれば,復旧も早くできる。しかし今回の事故は電力を受ける車両側の損傷によるもので,やはり電気技術,機械技術の出番の分野である。このあたりの対応能力の低下も1つの課題だろう。

 2022/3/16の地震で脱線した山形新幹線では,臨時復旧が4/2と2週間もかかった。このときは17両中16両が線路から脱線し,これを手動ジャッキで持ち上げて線路に戻し,1両ずつ引いて移動させるという方法だった 山形新幹線脱線事故の復旧方法として手動ジャッキアップは適切なのか--鉄道クレーンの活躍に期待 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/3/21。これもなんだかもどかしかったが,西武線の事故もやや初動に問題があったような気がする。

 人身事故の場合を除き,事故の状況がもう少し公開されていれば,別の解決方法の提案も受けられる可能性もある。事故時の個人からの情報発信も含めて,的確な提案がされるような協調的なネットワークがほしい。災害,気象,医療,大学専門家,大型車両など,必要な人同士が連携できる,いわば「アベンジャーズ・ネットワーク」が欲しい(もっともアベンジャーズは「復讐者」という意味なのだが,「悪事に対して正義の制裁を下すこと」という意味でもあるそうだ。事故に対して,スムーズで最適な行動ができるような全国ネットワークが望ましい。