jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

自主テレワークを追加継続します--HER-SYSの登録が“輻輳”し,未登録数が“積滞”した状態

2022年4月に,長い2年間のテレワーク生活を解除した。いつもなら6ヶ月の通勤定期券を購入するのだが,いちおうためらって3ヶ月定期を購入した。7月に入り,第7波の拡大のきざしが確かにあったのだが,重症化リスクが比較的低いオミクロン変異株で,4回目のワクチン接種を7/12に受け,行動制限もなしということで,思い切って6ヶ月定期に継続したのだが,裏目に出てしまった。

 確かに,第7波も1ヶ月を経過した現在,7月始めの爆発的な増え方はやや鈍化してきている。8/3の全国の感染確認者数は24万9830人で,およそ20万人超えが9日連続しているところでピークにも見えるのだが,このままピークアウトしないのではと判断している。

 6ヶ月定期を1ヶ月間使ったところで,昨日定期券を解約した。勤め先にもテレワーク宣言した。というか,逆に「○○さん,来週もテレワークでしょ」と声を掛けられたのである。「テレワーク継続でいいんですか」と思わず聞き返し,承諾されたので,テレワークを申請し,思い切って定期券も解約した,というわけである。ちょうどお盆を間に挟み,変な出社状態になるので,必要な会議のある日以外は自宅で仕事をすることにした。

 ここでピークアウトしないという判断は,PCR検査体制の逼迫があるからと見ているからである。本来なら,発熱などの自覚症状があれば発熱外来を受診し,そこで陽性確認されるのが翌日以降,というのがパターンだが,現在すでに発熱外来がパンク状態にある。つまり,症状のある「患者と認定すべき人」が受診も検査もできずに「認定待機」している状態にあるため,正式な「感染確認者」としてカウントされていないと考えるからである。

 これに対して,発熱外来で来院者に抗原検査キットを配布し,自宅で自主検査してもらい,陽性判定が出ればこれを感染確認者として登録し,そのまま自宅待機してもらう,という流れが提案されたが,発熱外来で配布するための検査キットが間に合わないことと,陽性判定を登録する人手が足りないことで,ここでも登録業務が逼迫している。HER-SYSと呼ばれる「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」とマイナンバーカードが全く連携していないため,登録が住所から連絡先まですべて手入力となっていることが改めて明らかになった。さらに保健所も目一杯の仕事しかできず,登録遅れがどんどん蓄積されていると思われる。

 つまり「感染確認者数」が鈍化したように見えるのは,「統計システムへの入力が逼迫しているから」であり,「入力待ちの隠れ待機者がどんどん膨れ上がっている状態」である。実際の感染者は増え続けているのに,数字をはじき出すシステムへの入力数がこれに追いついていない,いわば「回線の輻輳状態」であり,「お掛けになった電話番号はただいま混雑してつながりにくくなっております。しばらく経ってからお掛け直しください。プツン」という“積滞”状態であると考える。

 人間が受け付けるコールセンターでも,1人の単位時間での処理件数には上限がある。電話でのヒヤリングに2分使ったとして,その情報をシステムに入力するのに3分かかる。入力テンプレートをクリアし,次の電話に出るまでに最低でも5分はかかるとすると,1時間の処理能力は12件である。中には話が2分で終わらない人もあるだろうし,入力した住所が正しくなくて郵便番号との整合性が取れなかったりすると登録も3分では終わらない。結局,平均して処理時間が10分,1時間当たりの登録件数が理論上の半分の6件しかないことになる。オペレーターを増やせばいいと考えるかもしれないが,今度は電話回線が足りなくなる。回線分の50人のオペレーターを揃えられたとして,1時間当たり300件。24時間処理しても7200件である。これに,回線トラブルやシステムトラブルなどが加われば,バックアップへの切り替え作業ができたとしても登録件数は減る。これも平均して1日5000件が登録できるとして,これを上回るペースで登録依頼が来ても,人的にもシステム的にも,登録件数は1次関数的にしか増えず,未登録者がどんどん置き去りにされてしまっている状態ではないかと推察する。

 新型コロナウイルスが,感染者すべてを保健所で全数把握しなければならない二類感染症に指定されていることから,こうしたシステムのパンクが生じた。すでに2021年7月の第5波のときに,「保健所での全数登録をあきらめた」自治体もあった。2022年1月の第6波でオミクロン変異株という感染力が高いが肺炎症状に至る患者が少なく重症化リスクが低い,と特定された段階で,インフルエンザと同等の五類感染症に指定替えすべきだった オミクロン株を「SARS-CoV-3」とする提案--潜伏期間2日,上気道での増殖で五類相当に(あくまでも素人の勘ですが・・・) - jeyseni's diary (hatenablog.com) (2022/1/22)。

 現在の政治家の議論では「第7波が収まったら五類への変更を検討」と言っている。五類になると,「緊急事態宣言」や「蔓延防止等重点措置」という“せっかく決めた”殿下の宝刀が使えなくなる,つまり自治体の申請によって国が許可する,という階級構造が崩れるのを,国の政治家(つまり首相をトップとする行政担当者と国会議員たち)はなんとしても避けようとしているとしか見えない。

 今回,国は自治体のそれぞれの判断で「BA.5対策強化宣言」を出すことを容認した。発令するのは自治体,方法を決めるのも自治体,責任を取るのも自治体,と完全に国の責任を放棄した形である。「経済を維持するために行動制限はしない。それでも感染者が増えるのが心配なら勝手におやりなさい」と自治体を突き放した形である。当然のことながら,何の補助金自治体には出さないという無責任な判断である。

 その後東京都は,東京都陽性者登録センターを設置し,自主検査で陽性となった人のオンライン申告と登録,オンライン医療での診断の提供,保健所への登録業務を始めた。また千葉県は,千葉県新型コロナウイルス感染症検査キット配付・陽性者登録センターを設置し,検査キットの配布も行う体制を取った。同様のセンターを福岡県や京都府も設置。市レベルでは札幌市が設置をして稼働を始めた。神奈川県は抗原定性検査キットの無料配布をオンライン登録やLINEの友達登録でできる仕組みを始めている。

 中央集権で国や人民を動かせるのは,専制主義・権威主義の国であり,正直言えば気持ちが悪いほど統一された行動が取られている。日本は民主主義なのだが,一方で「放任主義」(これを主義と言っていいのかどうか迷うが)でもある。人民の生活を守れるのは地方自治体であって,国ではないように見える。政府の仕事も国会の仕事も,国民生活とは関係のないところで井戸端会議が行われているだけ。反対派も自由に発言するが,結局は多数決で一方的に決まるので,議論の価値がない。体制派は結局は専制主義・権威主義で君臨し,そこにカネをつぎ込む業者との癒着,さらに選挙応援と票読みまでしてくれる宗教団体との癒着が続いている。一方,反体制派は体制派のアラ探しばかりして足を引っ張り,引きずり下ろすことしか頭にない。鬼の首を取れば人民の支持が得られると勘違いしている。

 せっかく,地方自治体に主権が戻ってきたので,特に首都圏はもう一度,知事連合を組み直し,東京,埼玉,神奈川,千葉の4県で本気で何をすべきか議論してもらいたい。たとえば検査キットの情報を相互に共有して融通できるようにするなどのシステム連携を進めるとともに,各県の医師会と協議して,五類相当の診療体制を取るようにしてほしい。さらに,民間企業,特に業務の衰退している製造業や運輸業,観光業などにさまざまな業務委託をして,とにかく「行列が生じない」方法を編み出してほしい。

 ソフトウエア業界も,ハードウエア(パソコン)業界も,こうした総力戦に必要なシステムを早期に提供してほしい。オンライン登録,在宅登録などでの情報漏えいを最小限に食い止めるためのシンクライアント端末の供給やVPS回線の無料使用,そしてオペレーターの不正行為のAIによる監視システムなどで,本気を出している地方自治体をサポートしてほしい。