jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

「終戦の日」の意味はあるのかと思い始める戦後77年の今年--「コロナで600万人,ウクライナで3万人,第7波で3747人」という死亡者数に無感覚になっていないか

2022/8/15 終戦77年になるという。今は「終戦の日」と呼ぶのが一般的なようだが,古い人間である筆者は「終戦記念日」という呼び方で育ったように記憶する。

 そもそも「終戦」という呼び方も,換言である。本来なら「敗戦」であり,「記念」すべきものではないものだと思える。しかしこれを「終戦記念」と呼ぶことで,まさに戦後の復興の原動力になったように思うのである。

 「終戦の日」という呼び方によって,残念ながら「歴史の1つの出来事」になってしまった。今日は戦没者慰霊祭が東京の武道館で開かれるが,若い世代にはほとんど関係ないイベントである。参加者も多くが70歳以上の高齢者だそうである。四捨五入するとこの数字になる筆者にとってもほとんど意識できない。式典で挨拶をされる天皇陛下徳仁親王も62歳だが,実感をお持ちではないのではないだろうか。

 筆者は,戦後の日本の驚くべき経済発展の中で育ったので,「生活が豊かになることによって人は幸せになる」と信じている。それは「戦争のない平和な世界が実現すること」が前提だったことを改めて感じる。

 日本は,唯一の原爆被災国として,そして敗戦国から技術力・経済力で世界No.1になった国として,世界中から尊敬され,「日本の経済復興をお手本に自分たちも豊かになるんだ」という目標になった。しかし,日本の掲げる「平和主義」つまり非核・非戦力で民主的に対話で物事を解決するという強い思いを持てる国は,残念ながらほとんどなかった。結果として,金儲けに走り,民主化を弾圧し,専制主義を捨てなかった国家が,その搾取の構造の中で世界に台頭していった。平和に話し合いで物事を決めていこうという国は取り残され,武力を持つ集団が新たなテロ組織として支配権を握る動きまで起きてしまった。それはさらに,サイバー空間,メタバース空間に展開しつつあり,「国際秩序」といった言葉がまったく通じない世の中になってしまった。

 その中で,戦後の日本の公害問題などにだれも関心を示さず,汚染物質の垂れ流しで環境破壊や国民の被害が出ているにも関わらず,利益のみを追及して責任を取らない国や会社が世界経済を支配している。地球温暖化問題や食糧問題などをいくら国連がキャンペーンを張っても,おそらくもう誰も振り向かない。

 また新型コロナウイルスという世界共通の難敵が現れたにも関わらず,世界が一致協力して危機に立ち向かうという姿勢は見られない。2022/8/15現在の世界の統計では,「感染者: 589,877,803人 死者: 6,434,754人」(NHKサイトより)となっている。600万人を超える亡くなっている。日本でも,新型コロナウイルスの第7波に入った2022/7/1以降,1.5ヶ月の間の死亡者数は3747人だった。そのパンデミックの中で,ウクライナ紛争で亡くなったウクライナの民間人が半年で1万人を超えているようであるし,ウクライナ軍もロシア軍もそれぞれ1万人を超える兵士が死亡しているようである。

 こういう報道を聞いても,誰も何も驚かないことが,そもそもおかしいのだが,あまりの数字の羅列によって,人々は「無感覚」になってしまっている。

 第二次世界大戦で,自分の親や夫を亡くした人が多くいる。その人達にとって,戦争で何人の犠牲があったかなどは問題ではない。自分の身内1人が亡くなったということがすべてである。「ゼロかイチか」なのである。

 同じように,ウクライナ紛争でも,連絡の取れない夫を待つ妻の話が紹介されていた。国と国の争いでどちらが勝つかとか,武器を供与しろだとか,そんなことはもはや問題ではない。戦争をしない,争って命を落とさない,そういう世界を作ることが,日本の「終戦の日」を世界に発信する最大の目的であり,ただ亡くなった方を追悼するだけでは,「戦争を起こしたのは日本じゃないか」という反論に応えることはできない。

 残念ながら,ウクライナ紛争によって明らかになったのは,再生可能エネルギーでは地球の今の電力需要に応えられない,という事実である。原子力発電所の再稼働で当面つなぐにしても,ウラン鉱石も世界にた偏在しており,また紛争の種になりかねない。化石燃料を持つ大国は,輸出で外貨を稼いで世界経済を操作しつつ,自国での消費を続けることで,二酸化炭素排出を止めることはもはや不可能になる。

 これによって地球温暖化は加速し,大規模自然災害(台風,大雨,熱波,山火事)が世界的に激化する。極地の氷がすべて解けると海水面は7m上がるそうだ。現状では2100年までに72cm海水面が上昇するという(どうも日本は沈没はしないらしい)。

 ただ,干ばつは進み,砂漠化は進み,森林火災も大規模化することで,陸上の食糧資源の確保は難しくなる。海洋温度も上がり,漁業資源の枯渇も心配される。

 終戦の日は,「1人の命の価値を見直す」日ではないか。戦争は否定すべきだし,テロも論外。しかしそこには不満,特に経済的な貧困が原点にある。食べ物がなければ人は自暴自棄になる。食べ物を与える側に従わざるを得なくなる。やはり,いかに食糧を世界に行き渡らせるかが,現在の最大のポイントではないか。

 小麦の生産量は,中国,インド,ロシア,アメリカの順で,ウクライナも7位に入っている。EU全体では,中国とほぼ同じ量を生産しているようである。

 一方,輸出量で見ると,ロシア,EU,オーストラリア,カナダ,アメリカ,アルゼンチンと続き,次にウクライナが入ってくる。

 消費量も在庫量も最も多いのが中国である。つまり,自国で生産し,自国で蓄積し,自国で消費できている。ロシアとウクライナが輸出に貢献しているため,世界,特にアフリカ諸国への食糧流通のネックとなっているのも明らかである。

 EUやオーストラリア,アメリカ辺りは,熱波や山火事,大雨などの影響で生産量に不安も出てきた。アフリカへの食糧支援に貢献できるかどうか,心配である。

 「終戦の日」を迎えた今日,改めて「日本が世界に対して貢献できること」を政治はきちんと情報発信してほしい。エネルギー戦略としての「水素」,食糧戦略としての「陸上養殖」と「植物工場」,「ユーグレナ」を明確な方針として世界に発信してほしい。「国民を守る」と言いながら結局政治家自分の権益だけを守っているだけでは,また世界から取り残されてしまう。