jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

世界は魅力にあふれている--海外で日本の魅力を話せるアイデンティティを磨こう

安倍晋三元首相の“国葬”が,2022/9/27と2週間後に迫っている。本当に執り行うのか,警備などの準備はできるのか,関係者にとっては大変な段階だが,総額16億円を超えるという経費に対しての国民の反対は大きい。筆者の考えは,イギリス・エリザベス女王の訃報--安倍昭恵夫人は国葬を辞退した方が潔いと思う - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/9/9 にまとめている。

 安倍元首相の海外貢献は計り知れないことは誰もが認めていることである。筆者の近くのある方は,安倍氏が海外で堂々と英語で演説し,日本の魅力を伝えてきたことを非常に高く評価していた。

 筆者も,30年前に行った1年間のアメリカ留学の間,これは当時のアメリカ人特有の感覚だったのかもしれないが,筆者に対して囲碁や将棋,歌舞伎,神社仏閣の話などをいろいろ尋ねられた。ちょうど留学中に昭和天皇崩御があり,日本の天皇制についてもずいぶん質問された。正直言って,ほとんどまともには答えることはできなかった。筆者が伝えられたのは,日本の経済成長や製造業の仕組みなど,自分の関連分野だけだった。

 逆に,アメリカの複雑な環境については,肌感覚として残っている。大都市の裏側も垣間見たし,隣のニュージャージー州の緑豊かな街での暗黙のルールや,当時はまだアメリカ人の心をつないでいたと思われるキリスト教の社会活動も見た。また壮大な自然が都会のすぐ近くにもあることにも感動を覚えた。勉強をするのに蛍光灯スタンドを買って夜勉強していると,下宿の老年の夫婦が「まぶしすぎるから止めてくれ」と言われてびっくりした。たしかに,自宅の照明は蛍光灯ではなく白熱電灯で,夕食後の読書時には部屋の照明を消して手元の小さい読書灯だけで過ごしている夫婦だった。光に対する感覚も,色に対する感覚も,もちろん味に対する感覚も,気づかない違いがあることは,実際に体験してみないとわからない。

 以前は,筆者は海外留学を推奨してきた。もともと海外留学には関心はまったくなかったのだが,チャンスを得て行った留学で得られたものは,非常に大きかったからだ。短期留学でも長期留学でも,そして自分の専門分野をさらに極める目的でも,とにかく日本にだけいては,「井の中の蛙,大海を知らず」になってしまう。ただ,現在の混沌とした世界情勢の中では,無条件に留学を勧めるわけにはいかなくなっている。ちなみに,筆者の家では,子供3人を高校2年生でそれぞれアメリカ,ドイツ,スペインに交換留学に行かせた。筆者のように大人になってからの留学とはまた捉え方も違うと思うが,何かの課題にぶつかったときに,より幅広い考え方ができることを期待している。

 今,日本が海外に輸出できているものは,基本的にアニメだけである。そこで描かれている世界観が,侍社会などの日本の古い文化に基づくものや,精霊などの異次元の世界に基づくもの,そして「海賊」という切り口で別世界を描いている。海外のようなユーモアやブラックジョーク,勧善懲悪ヒーロー,そして宇宙をベースとしたフィクションとは,アプローチが異なる独自性が評価されているようだ。コスプレ文化も同時に輸出されてしまった。

 筆者が関わってきた出版社も,これまでは国内情報と海外情報を日本で紹介するという仕事だったが,これからは日本の情報を海外に発信していく仕事を拡大して行こうとしている。日本でのマーケットが狭まっているためでもある。出版物の電子化が広がっており,そこに翻訳精度の向上で,可能性が高まっている。ちなみに筆者は,作成したページの一部をPDF上で英語に置き換え,2カ国語で切り替えて表示できる仕組みを作り,海外の機関に送ったりしている。

 高校生クイズや東大王クイズなどを日本の文化と思いたいのであれば,アニメと同じように海外進出すべきだと思う。漫才やYouTuberも同様である。実際,歌舞伎や落語は,海外進出している。本当に海外で勝負できるのか,試してみてはどうだろうか。しかし,複数のクイズ関係者の経歴を見ても,海外経験がないような印象である。ただ下手に海外に出ると,東大ブランドをさらに落とすことにもつながり兼ねないので,やはり辞めてもらいたい。超ローカルな文化は,日本をさらに世界から孤立させてしまうだろう。