jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

JRの普通回数券が(ほぼ)なくなった--モバイルPASMOとモバイルSUICAが共存できないスマホも【追加情報】

筆者は週1で通っているところがあるので,回数券は便利でお得な切符である。10回分の値段で11回乗れるという単純なしくみであり,買う側からするとその場で割り引きされるお買い得感が感じられるし,売る側はまとめて先に収入が得られる。

 買った側は有効期限(6ヶ月)を気にするだけでよく,場所も取らない。しかし,売る側は,紙の切符の磁気テープに情報を書き込んで発行しなければならないし,自動改札機でも紙の切符を読み取る機械式の改札機を使い続けなければならない。故障もするし,製造メーカーも技術者がいなくなっている。機械の購入にも維持にもお金がかかる。

 以前の券売機は,「普通乗車券」というボタンの下には必ず「回数券」ボタンがあった。しかし,ある時期から回数券を券売機で買うときに迷うようになった。

 東京メトロの券売機でも,回数券が買える機械と買えない機械がある。JR東日本では,在来線の券売機では買えなくなり,なんと新幹線の券売機で買わせるというややこしさだった。その回数券も,新幹線チケットと同じカード大の切符が発行されていた。

 東京でターミナル駅周辺の大改造が進んでいる。渋谷の再開発に続き,新宿駅も各線の駅ビルを統合して一体化する計画が進められている。おそらく乗降客がトップクラスに多いと思われる渋谷ハチ公口では,紙の切符が使えない自動改札機しかない改札口がたぶん2022年5月にできた。現在解体がほぼ完了している京王デパート側の改札口である。スクランブル交差点側の改札口では紙の切符は使えるが,京王デパート側は使えない。雨の日に地下鉄に直行するのに屋根がないという不便を感じていた 回数券もICカード化することの提案--さらにQR コード化もいいアイディア - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/5/10。

 これが1つの伏線だったのか,ついに2022年9月30日でJR東日本は紙の回数券の販売を終了した。アナウンスは4月26日に発表されていたというが,まったく気づかなかった。昨日,追加で購入しようとしたら,新幹線の券売機の表示がすっかり変わっていて,戸惑ってしまったのだ。

 ニュースを検索してみると,この流れは全国的に2021年に始まっていた。JR九州は2021年6月30日,JR西日本ICカード対応区間で2021年9月30日に終了。JR東海JR四国JR西日本も残りの全区間JR東日本と同じ2022年9月末で終了していた。残るのはJR北海道だけだという。

 たしかに,ここのところ新幹線や航空機もスマホでチケットを販売し,これを改札口で機械が読み取るという仕組みが一気に展開されている。機械式の改札機の実に高精度で素晴らしい仕組みを,日本の技術ではもう維持できなくなっているのだろう。

 先のブログでは,回数券のICカードへの組み込みかスマホでのQRコード表示というアイディアを考えていたが,まさかICカードも通り過ぎてスマホ1本にしようという戦略に出たとは思わなかった。スマホの場合も,FeliCa機能を利用するICカードに入っている半導体チップと同じ仕組みであるはずである。iPhoneでも7以降の機種にFeliCa機能が搭載されたので,日本中で使えるようになった。しかしAndroidケータイも含めて生産国がほぼ海外である。FeliCa機能は,ソニーの元技術者が開発した堅牢なガード機能を備えているが,本当にスマホ搭載に任せてしまっていいのか,という懸念がある。ICカードはバッテリーなしで動くが,スマホFeliCa機能がバッテリーがなくなったときに使えるのか,という懸念もある。

 さて,JR東日本は普通回数券に代わるサービスとして,モバイルSUICAでポイント付与するとしている。3ヶ月の間に10回以上同じ料金の区間を利用すると付与されるらしい。

 しかし,世の中のすべてのポイント制は,小市民にとってはほぼマヤカシである。ポイントの有効期限が定められており,使わなければ消滅する。JRの今回のポイントも,3ヶ月で消滅する。回数券が6ヶ月有効だったのに比べて余裕がない。毎週往復で使っていれば,1ヶ月で8回乗ることになるのだが,その場で割り引かれる回数券と違ってお得感が実感できない。

 そうも言っていられないので,今回,始めてモバイルSUICAスマホにインストールすることにした。以前はJRが通勤路線だったので,クレジットカード機能付きのSUICAカードを数枚持っていたが,あまりメリットを感じていなかった。ショップのポイントをSUICAポイントに変換する機能も,駅の券売機で操作する必要があったりして,非常に面倒だった。モバイルSUICAの乗車ポイントなら,そのままSUICAのチャージに加算されるだろうから,入れない手はないだろうと思ったのである。

 ところが,以前,試しにインストールしていたモバイルPASMOのアプリとモバイルSUICAアプリが共存できないようだ,という事実にぶち当たった。モバイルSUICAの登録作業の初っ端で「他の交通系アプリがあるので設定できません」とメッセージが出て来たのである。

 実はモバイルPASMOはインストールしたものの,使用していなかった。定期券入りのPASMO ICカードで事足りていたからである。自動改札機を通るたびにスマホを取り出してタッチする,という動作がどうしても気に入らなかった。ここはICカードの方がスマートだと思っていた。しかも,PASMO ICカードスマホケースのポケットに入れて自動改札機にかざすと,2枚のICカードを重ねたのと同じ状態になり,読み取りエラーを起こす。格好良くスマホタッチで通ろうとしてゲートに引っかかったときの気まずさがあり,一番信頼できそうなICカード単体に戻したばかりだった。

 ところが,PASMOアプリはアンインストールしていたのだが,最初に入れたときにスマホFeliCa機能とリンクされた情報が消されていなかったようなのである。つまり,交通系モバイルアプリは,スマホと1対1でリンクされているため,モバイルPASMOモバイルSUICAスマホ上で共存できないという仕組みになっているようなのである。

 PASMO定期券をモバイルPASMOに移していたら,モバイルSUICAを使うことができず,今回のポイント取得はできないことになる。とりあえず定期券はICカードで使っていて良かったと思っている。

 いずれICカードも無くなってしまうのだろうか。“クレジット”カードと名前があるように,そこはお客様とサービス提供側の信頼で維持されてきた仕組みである。スマホアプリや,スマホの通信機能がどこまで信頼できるのか,バッテリーの不備があった場合や機種乗り換え時に不測の事態が起きないのか,まだまだスマホを信頼することができていない。PCには魂を売ったが,スマホには魂を売る覚悟はできていない。

 すでに,MicrosoftGoogleには,おそらく個人情報も行動履歴も趣味趣向もすべて把握されていると思われるが,いちおう何らかの理性のあるアメリカの企業が作ったプラットフォームなので,仕方がないかと思っている。しかし,スマホやドローン,そして多くのスマホアプリが,中国製,ロシア製であったりする。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって,ロシア製のウイルス防御ソフトの使用をやめた企業も多い(やや気になるが筆者は使い続けている)。どこで情報が筒抜けになっていないとも限らない,という不信感を持たざるをえない現代社会が,非常に悲しい。

【追記】新しいAndroidスマホでは,モバイルPASMOモバイルSUICAの共存や,複数枚登録が可能になっていた。モバイルSuica対応端末を知りたい。 | モバイルSuica よくあるご質問:JR東日本。一方,iPhoneでは両方を共存できるが,切り替えが非常に面倒だったようである。以下のはてなブログにうまく切り替える方法が紹介されていた iPhoneでモバイルSuicaとモバイルPASMOをスムーズに併用する方法 - ねおあみ日記

 筆者のAndroidスマホは,同じキャリアの中でほぼ唯一,マイナンバーカードに対応した機種で4G対応。5G対応の最新機種は,モバイルPASMOモバイルSUICAが共存できるようだが,マイナンバーカードには対応していない。なかなか悩ましい。

 そのうち,「マイナンバーカードもスマホアプリにする」などというアイディアも出てくるかもしれない。おそらく,手続きも利用の便も格段に向上するだろう。せっかくの国産技術であるFeliCaで共通のプラットフォームを作った方が,日本の存在価値があるような気もする。母屋は海外スマホでも,心臓のFeliCaチップは日本製,というのが,唯一のステータスになるのではないか。