jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

原発廃炉の手段はあるのか--縦U字型シールド工法で穴を開け,廃棄物をコンクリートで固める方法を提案

2011年3月11日の東日本大震災メルトダウンを起こした東京電力福島第一原発の事故から11年が経過した。廃炉に向けた方針はあるものの、いつまで経っても内部調査だけしか動きがない。廃炉のマニュアルはあるのだろうか。

   事故を起こさなくても、原発には寿命があり、40年~60年経てば廃炉する必要がある。この正しい廃炉すら、どのように進めるのか、マニュアルはないのでないか。

   分解し分割しても、放射線に汚染された部品や建物の壁などの扱いをどうするか、処理水はどうするかなど、まだどこも経験していないのではないか。

   事故を起こしていない原発なら簡単に廃炉できるのかといえば、これも「No」である。核燃料棒を取り出して水槽に移動させ、核分裂を止めたとしても、炉の金属もコンクリート放射線にさらされており、放射線物質になっている。砕こうがもう使い道はない。コンクリートで封じ込めるしかないのではないか。

   福島第一原発で、建屋は崩壊し、炉の中は燃料棒が壊れている。制御棒でのコントロールができない代物を、どう取り扱うのだろうか。何度も遠隔ロボットが投入されているが、デブリと呼ばれる核物質の状態を確認するだけで、それを動かすこともできない。動かしたとして、それをどこでどのように処分するのか、一切発表されていない。

   まず、冷却水の水槽をどんどん海洋投棄で減らすことを進め、場所を確保する必要がある。次に、原発全体を取り囲むような巨大な建物を建設する必要がある。ちょうど造船設備のような巨大なガントリークレーンで分割した炉を次々と運ぶ。これを建物の中で無人で行う。おそらく、いったんばらした後、これをコンクリートで閉じ込め、さらに建物の外に出す。そして運び出して、埋める。

   この埋める場所も同時に作る必要がある。ようやく,福島県内の汚染土を県外で検査・処分する動きがあり,埼玉県内にも運ばれる可能性が出てきた。さすがに自分の家の横の敷地に持ち込むということになると抵抗があるのは,誰でも同じである。しかしどこかに場所を作って埋めなければ,永遠に動きが取れないことも事実である。

 通常の開発残土ですら,不法投棄が行われる国である。まともな経済活動の中で原発廃炉廃棄物を処理する場所は確保できない。超法規的に予算を組んで,場所を指定して,大規模開発をするしかない。

 世界には,石炭やダイヤモンドなどの掘削でできた巨大な穴がある。すでに開発を終え,一部は観光地化しているものの,ほぼ放置状態である。周辺の町の地盤沈下という問題を起こしている地域もある。原発の廃棄物は,最終的にはこうした大規模な穴の中に封じ込めるしかないのではないかと考える。

 土砂や廃棄物の移動距離を最小限にし,かつ今後の数十基の廃炉も考えると,スーパーカミオカンデのように地下に穴を掘って埋め固めるしかないかなと思うのである。同施設は,地下1000mに直径39.3m✕高さ41.4mの円筒形の水槽を構築しており,建設に5年かかったという。場所さえ決まれば,世界に誇る日本のトンネル工事技術であるシールドマシンで第1期工事はできるのではないだろうか。

 感覚としては,垂直に掘り進み,途中でUターンして全体としてもU字型の穴を掘る。Uターンした時点で底の部分に廃棄物を投入し,コンクリートで固めながら元の穴をどんどん埋めていく。一方で,Uターン後のシールドマシンは今度は上に向かって進み,もう1つの穴を開ける。地上に近づいたところでまたUターンし,次の垂直穴の掘削を始める。U字の反対側に向かって地上から別途掘り進み,もう1つの穴を貫通させたら,そこに次の廃棄物を埋める,という流れである。通常のトンネルと違って,廃棄物をどんどん埋めてコンクリートで固めるので,掘った後が崩れることもない。地震が起きても地上に出てくるわけではないので,安全性は確保できる。

 カミオカンデの深さ1000mというのは驚異的な深さである。これができるのなら,廃炉廃棄物のための縦U字型シールドトンネルも実現できるのではないか。これは,日本が世界に誇れる廃炉技術になるのではないかと,ちょっと確信するのである。