ユニクロが,全社員の月給を10万円上げると発表した。初任給でも30万円になるという。さらに将来的な増額もあり得るという。
菓子業界のシャトレーゼは,2016年以降,毎年5%の給料アップを続けているという。また墨田区の町工場でも,毎年給料アップが実現しているという。
業界トップ企業で価格リーダーとなっているのは,すでにその経営で黒字を出しており,その利益を内部留保するか,社員に還元するかで後者の選択をしたことになる。町工場の例では,新しい市場を獲得して売上を伸ばしたことが功を奏している。
マスコミは,こういう話題を大々的に成功例として取り上げることで,まるで自分たちの情報発信のように騒いでいるが,その情報提供を利用して自分たちの業界で給料アップが実現していないことを経営者に訴えているかのように見える。
モノづくり企業には,まだまだ伸びしろがあるのかもしれない。原材料を購入し,それを加工し,販売する,という流れの中で,材料の変更,加工の合理化,販売の拡大など,さまざまなアイディアが出てくる。かつて,トヨタ自動車が行った「カイゼン」運動にしても,モノづくりが結果に反映するという喜びがあったから,やる気も出たのではないだろうか。モノを生み出すというのは,それほど刺激的な仕事なのである。
ユニクロもシャトレーゼも、共通するのは、自社単独で原料から製造、販売までコントロールしていることである。トヨタもグループ企業という形で管理をしていた。カイゼン、工夫の余地はいろいろあった。
これが、資本関係のないただの業者としての付き合いだと、安いオファーの業者が残るものの、結局無理のしわ寄せができて、双方共倒れになりかねない。業者イジメ、子会社いじめが横行する。
給料や手当、そして自転車報奨金など、社員の活性化にはやはりお金は重要である。正社員には賞与を出しながら、契約社員には給料を下げるという逆のことを平気でするようでは、先は真っ暗である。まあ,外注ばかりしている会社は,経費の大部分は人件費なので,給与を下げる,あるいは人員を整理するしか方法がない。いずれにしても,やる気も下げて効率がさらに下がるというマイナスのスパイラルになるだけである。