若い男性が「美しく」なっている。前期高齢者の筆者の目には,少女マンガの王子様風といったところだろうか。8頭身ですっきりした顔立ち,涼しい眼差し,そしてスムーズな身のこなしである。
影響を受けたのは,たぶん韓国の男性歌手グループの台頭が大きいのではないかと思う。筆者も,新型コロナウイルス禍のテレワーク体制の中で,k-popに触れる機会があった(突然のk-pop BGM - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2020/10/9)。ダンスのすごさには感心するばかりである。
韓国k-popの男性歌手は,これは勝手な推測だが,徹底的に「作られた顔立ち」にしていると思う。元々の選抜もあるが,化粧と整形が戦略的に行われているように感じる。その方向は,中性的を飛び越して「女性的」な形も目指しているように見える。
k-popの女性歌手グループも,同様に「作られた」印象が強い。そのダンスもキレッキレであり,女性的な魅力を強調するように企画されている。
この男女両方のk-popのイメージは,かつて日本で流行った少女マンガの登場人物たちのように筆者には見えるのである。そして日本では宝塚歌劇団のオハコテーマとなり,女性が男性を演じる歌劇団にとってピッタリのテーマだったのではないだろうか。
そこに描かれた「理想の男性像」が,21世紀に入って街中の若者も目指す方向となっており,男性化粧品,男性エステ,そして男性美容外科という市場が出来上がってきた。筆者のように毛深いままの男性は,若い男性にはほとんど見かけなくなった。
男女のカップルを見ても,まるでk-popから出てきたような雰囲気である。ただ,多くは髪を染め,ピアスを着け,デザイナー系の服を着てはいるが,化粧,整形までは手を付けておらず,また体型も今ひとつ垢抜けない中途半端な印象である。女性がその男性に惹かれているというより,男性が女性をナンパしているだけ,という印象を受ける。k-popが夢を見させてくれているのに対して,結局は身体が目的なのかという現実が目の前にあるような気がする。
日本のj-popの男性歌手グループも,ほぼ韓国k-popの路線を取ろうとしているように思われる。副業としての俳優業でも,恋愛ストーリーのアニメの実写版の主役として登場する。推理小説系ドラマでも,必ずといっていいほどラブコメ要素を入れないと成り立たない。ハードボイルド系ドラマは,ほぼ死滅したと言ってもいいかもしれない。役ができる若者がいなくなっているように思えるのである。
タイパ(タイムパフォーマンス)が流行語になっているが,モーレツサラリーマンだった筆者にとっては,朝シャンして化粧して服を選んで,という時間をかけることの方がムダに見えてしまう。まあ,湯船に5分も浸かっていられない筆者にとって,風呂に1時間も時間がかかる人の気持ちは理解できないし,文句を言える立場でもない。しかし,身繕いに時間を掛ける目的を考えると,仕事を「有事」と考えて仕事優先に進めてきた筆者とは,考え方,取り組み方が違うのだろうと思ってしまうのである。
現代人が生きるために必要なのは「お金」である。モーレツ時代には,自分の時間を犠牲にし,会社の業績向上に貢献することでお金を得てきた。時代は変わって,「お金は運用」する必要が出てきた。いくら仕事に時間をかけても,収入は増えない。会社に属していても,それ以上は金は出せないから副業してもいいよ,といったおかしな話になる。本来の業務に集中できなくなれば,会社のパフォーマンスが落ち,副業が儲かるとなれば会社からも離脱され,人材も失われる。投資というマネーゲームで生活しようという人が増え,国の経済を支える大型企業がどんどん潰れていく。将来性のある就職口を失った若者は,自分の価値を高める1つの方法として,肉体改造をし,パフォーマンスを高めるが,それで成功するのは1000人に2,3人というのは昔から同じである。
晴れてカップルが成立しても,定職も定収入もなければ家庭を作ってもこれを育てることができない。生計を立てるために夫婦共働きでは,子供はまともには育たないし,虐待の温床になる。子育て手当などという姑息な手段では,日本の家庭崩壊は食い止められない。
日本は勘違いしているのである。アメリカのマネをして,企業就職よりも独立起業がいいとか,転職してキャリアアップするのがいいとか,変な方向を目指している。資源もあり,土地もあり,「合衆国」という多様性のあるアメリカと違って,日本には資源も土地も多様性もない。したがって,“日本企業”というガッシリした「城」を作って世界に対抗しなければ,「雲散霧消」してしまう国なのだと思えるのである。
韓国の強さは,財閥系企業による「城」と軍事産業という「城」がある上で,エンタテインメントという飛び道具を海外に発信したことにある。アメリカの強さも,かつての石油財閥の「城」があり,共和党・民主党という崩れない2大政党制があり,そしてエネルギーも軍事産業もある上で,ハリウッドというエンタテインメントへの資金を投入できるところにある。
日本は,大手企業の城が崩壊し,軍事産業はなく,資源も土地もない。政治は,自民党1党支配が70年も続いているが,内部分裂ばかりで国民の支持をまったく受けられていないし,カリスマ的な政治家も登場しない。人材を育てる教育システムも崩壊し,海外に供給できる人材を育てることもできない。女性化けした男性をエンタテインメントとして輸出しようとしても,すでに韓国のエンタテインメントの二番煎じになってしまっている。オリジナリティがない。お笑い芸人も,ついに裸芸だけが受けてしまい,伝統芸能での犯罪や継承崩壊も起きてしまった。エンタテインメントも,個人の打ち上げ花火で終わっており,産業としてまったく成り立っていないことを自覚すべきだろう。大谷翔平選手がMVPになろうが,なでしこジャパンが決勝リーグに進もうが,アニメ映画を海外上映しようが,日本復興にはまったくつながらないのである。
筆者は,途上国が水素を作り、先進国がe-fuelにして還元--日本が世界のリーダーに返り咲く最後のチャンス - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/7/24 とまとめている。軍事産業も半導体産業も自動車産業も医薬品産業もすべて崩壊した日本が,世界に対して貢献できるのは,地球温暖化をストップさせるためのエネルギー産業と,世界の飢餓を救う食糧産業への選択と集中だと思うのである。平和,平和と叫ぶだけでは,何も生まれない。世界が戦争の恐怖に立たされている今こそ,「日本が地球を救う」という宣言をして,エネルギーと食糧の生産供給の仕組みで世界を指導していかなければならないと考えている。
「女性化け」している男性諸君は,あと10年後のことをどう考えているのか,問いたい。定職が得られないから,闇バイトに手を出しているのではないか。ブラック企業に取り込まれてしまっているのではないか。麻薬や大麻に手を出してしまうのではないか。学ばなくてもチョチョイとボタンを押せばお金が舞い込んでくると思っているのではないか。自分の将来に夢はあるのか。「契約金ウン千万円」などという世界ばかり見ていては,足元にあるはずの国がなくなってしまうということを,もう一度考えてほしい。一発屋はもうたくさんである。