2024/5/14現在,テレビニュースのトップ記事は,栃木県で焼死体で発見された夫婦の実態解明ニュースである。首謀者が誰で,仲介役が誰で,実行犯が誰で,どういう状況で,と事細かに毎日のように「関係者への取材で明らかになった」報道が続く。
この事件で,どのように殺害されたとか,誰がどこを歩いていたとか,そんなことが情報として一般人に必要なのかと言えば,まったく不要であると筆者は感じる。
そもそも,殺害された夫婦が,国にとっての要人であるとか,政治家であるとか,アイドルであるとか,そういう人たちならともかく,正直言って「この人たちは一体何者?」と思わせる。一方,犯人グループが某反社組織であるとか,犯行に一般人が巻き込まれる可能性のあるピストルで行われたとか,というのならまだしも,結局は身内の恨みで,金で殺人を依頼し,殺害が実行された,という単なるローカルな犯行である。周囲で迷惑を受けた人もいない。そんな事件の謎解きを,延々と何日も続けているテレビの姿勢が,まったく理解できない。一般の人にはまったく関係のない事件だからである。
タイトルにある「タブロイド紙」は,そういうスキャンダルを面白おかしく書いて,そういうスキャンダル好きの読者にアピールしてきた。日本では,芸能週刊誌やスポーツ新聞がその役目を担ってきた。
それでも,芸能人やスポーツ選手など,一般受けする対象のスキャンダルを取り上げるのが筋であり,こんなどうでもいい犯罪の経緯を事細かに載せることは逆にない。
つまり,テレビ局はタブロイド紙やエロスポーツ新聞以下になってしまっている,ということである。
事件の最初の状況を伝えるのは良しとして,その後のフォローはまったく不要である。テレビの視聴者は,まったく関心がない話題だからである。
これが,民放だけでなく,NHKでも同じなので,もはやテレビは不要とも思えるほどである。
詐欺,麻薬,銃器,無差別殺人,家庭内暴力など,一般人が「気をつけなければ」と注意喚起する内容なら,報道の価値はある。しかし,内輪もめの話題など,何の価値もないと筆者は考える。
結局,加害者や被害者のプライバシーを世間にさらすだけの結果に終わる。何の解決にもならない。テレビ人は,自分たちの報道人としてのプライドをもうなくしてしまったのだろうか。情けないと思うとともに,同じメディア人として恥ずかしい思いである。