筆者が全面的に「推し」のPC用データベースソフト「ファイルメーカーPro」。これは,筆者が現在使っている古いバージョン(Ver.12 Advanced)だけのことなのか確認できていないのだが,筆者の仕事に関わる致命的なバグに出会ってしまったので,とりあえず報告しておく。
筆者が「推し」の理由は,データベースとしてはもちろんだが,テキスト処理に非常に便利な点である。たとえば,1つのフィールドに数千字のテキストを入れ,これにさまざまな検索・置換処理を加えるなど,Word上でできるようなことはほとんどファイルメーカー上でもできる。唯一苦手な正規表現による処理も,MBSプラグインによってほぼ実現できた。Wordだとマクロを何回もかけて処理していたものが,ファイルメーカーだと各スクリプトを連続して実施できる。エラー処理も楽に組み込めるし,エラー時の内容を出力させてバグ取りをすることもできる。Wordマクロだと一発勝負だが,ファイルメーカースクリプトだとやり直しが効くのである。
さて,今回の「ウムラウトの処理」と書いてしまうと,大方の仕事内容が分かってしまうのだが,学術論文の原稿整理のお手伝いをしており,その中で参考文献を整理するところで出会った不具合である。
ほとんどの執筆者はWordで論文を書いてくる。その論文の体裁整理をファイルメーカーに移して行っている。やってくる原稿の書体もバラバラなので,編集しやすい書体に変えたりしている。この参考文献の整理が実は相当厄介なのである。
今回出会ったのは,ドイツの文献が入っていたことである。文献の論文のタイトルなどがドイツ語なので,いわゆるウムラウトが入ってくる。これをファイルメーカー上で書体を「MS P 明朝」というWordで普通に使われる書体で処理している。
ファイルメーカー上では,このウムラウト文字が「MS P 明朝」でも上に点々がついた正しいものに見える。ところが,フィールド全体をクリップボードにコピーし,Wordの空ファイルにペーストすると,このウムラウト文字が普通のアルファベットになってしまうのである。
書式を破棄して,空のテキストファイルにコピーすると,ちゃんとウムラウト文字が現れる。書式を付けたままペーストしたときだけ,“逆文字化け”してしまうのである。書式を破棄すると,イタリックや太字,赤字などの文字属性もすべて消えてしまうため,ファイルメーカー上で文章整理した意味がなくなってしまう。
これを,ファイルメーカー上でフィールドごとArialなどの欧文書体に変更すると,日本語はそのまま日本語として残り,ウムラウト文字もそのまま表示されており,これをクリップボードにコピーしてWordにペーストすると,日本語もウムラウト文字も正しくペーストできる。よし,と思った途端に気づいたのが,今度はなぜか,全角記号類がすべて半角文字になってしまうという奇妙な現象に出会った。ファイルメーカー上ではきちんと全角になっているカッコやカンマが,すべて半角になってしまうのである。
当面の解決策として,整理の終わった論文データ上でウムラウト文字だけをArialに置換するスクリプトを組み,処理後のフィールドをWordにコピペし,Word上で再度,全体を「MS P 明朝」にしたところ,ウムラウト文字が正しく表示された。
ドイツ語のウムラウト文字は10個ほどなのだが,フランス語のアクサン文字など,頻繁に出てくる「欧語特殊文字」は,アスキーコードでChar(192)からChar(253)まで62個もある。これらを順次検索置換するスクリプトに同時に文字色も変更する処理も加え,注意喚起できるようにした。こういう柔軟性が,ファイルメーカースクリプトのいいところである。
さて,今回の不具合がバージョンの古さによる可能性もある。懐具合との関係も,また今後の仕事の具合もある。悩ましいところである。