折りたたみディスプレイを採用したスマホが続々と登場している。不思議な気持ちになっている。主に大画面だが小型化というのを狙っているはずなのだが,結果として厚みが増し,ポケットの中でゴロンとした印象になるのではないかと思うのである。もはや死語だが,“小銭入れ”がポケットの中で邪魔になるのと同じような感じになるのではないかという懸念がある。
折りたたみ型の携帯電話は,ガラケーの時代にもあった。筆者は別の意味で支持していた。というのも,携帯電話を持ち歩く際,ディスプレイに傷が付きやすかったからである。折りたたみ式だとディスプレイが内側に入るので傷が付きにくい。またキーも内側に入るので,間違って押すこともない。ただ,ゴロンとした形になる点はマイナスだった。
折りたたみ機能を利用して別のアピールをしているのがSamsungである。記念写真を撮るのに三脚が要らない,という点と,AI機能によって自動的に全員が入るように画角を調整するという機能は,なかなかよく考えていると思う。
さて,折りたたみディスプレイが実用的に使えるのなら,筆者はノートPCに採用してほしいと思うのである。近年のノートPCのワイド液晶パネルに異論を持つ筆者(ワイド液晶への疑問--効率重視でユーザーが犠牲になった - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2024/7/29)である。デスクトップPCと組み合わせるディスプレイなら,縦位置に回して表示するポートレートモードが選べるモデルがあるが,ノートPCではそもそもディスプレイを回転できない。おそらく,タブレットが流行っているのは,縦位置に構えることができる点が大きいように思う。ノートを取ったり,デッサンをしたり,本を読んだりするのも,縦位置の方が使いやすいからである。
ノートPCでの折りたたみディスプレイは,要するに「Z形」に折りたたむのである。Zを3画で書くとすると,1画目と2画目がディスプレイで,3画目がキーボードになる。従来と同じように2画目のディスプレイだけで横長のノートPCとして使えるほか,1画目を伸ばせば縦に長いディスプレイが現れる。ブラウザ利用や書類の閲覧などに最適である。また,高い位置にディスプレイが来るので,ノートPC利用で問題となっているストレートネックや猫背の問題が解消される。
しかも折りたたみディスプレイは有機ELパネルの独壇場であり,ディスプレイが2面あったとしても軽く作ることができる。ノートPCで2枚のディスプレイを開いても,後ろに倒れるといった心配もないだろう。
さらに,対面で利用する際に同じ内容を相手に表示することもできるし,タブレットのようにディスプレイだけで操作することもできる。ノートPCのヒンジを180度回してタブレットのように使うモデルがあるが,手のひらで支えたりテーブルに置く面にキーボードが来るため,実用的とは言えない。Z形ノートPCなら,そんな心配もない。
筆者は自宅では,ノートPCを約10cmの台に載せ,外付けキーボードを使っている。ディスプレイの位置を高くしたいからである。さらに外付けのモニターを背後に置いている(セカンドモニターをノートPCの奥側に「前後置き」--テレビ,監視カメラなどを表示 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2022/8/13)。残念ながら,1つの画面を同期して縦長に映すことはできない。折りたたみの2面ディスプレイ付きノートPCがあれば,これが一度に解決するのだが,と思っている。有機ELパネルの価格もこなれてきている。ぜひ開発してほしい。持ち運びのしやすい14型か13型でも,2面ディスプレイがあればモバイル環境で十分仕事ができると考える。