jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

気象モデルが温暖化によって使えなくなった--オオカミ少年で経済的被害

2024/8/15をピークとした台風7号の“関東直撃”は,結果的には比較的軽微に終わった。2019年の台風19号と似た規模,コースを教訓に,事前に鉄道の計画運休が行われた。特に,東海道新幹線の東京-名古屋間を半日運休にしたほか,地下鉄東西線が丸1日,成田空港,羽田空港への発着便ほぼ全便が丸1日,そしてデパートやエンタメ施設の休業や営業短縮なども行われた。

 筆者の勤め先も,8/15の段階で翌日を在宅勤務するように通達された。都内からだとちょうど夕方の帰宅時間に通勤電車が止まる可能性があったからだ。

 実際,8/15の昼前には,東京都内で強風と大雨が襲った。しかし比較的短時間で落ち着いた。さらに夕方の帰宅時間にも強風と大雨になった。

 今回の台風7号では,2019年の台風19号があまりにも意識されすぎて,大規模な計画運休が実施された。台風の接近に伴って,950mhPaという強さも何度も報道され,さらに線状降水帯予報の可能性もずっと報道されてきた。しかし,台風5号による東北地方での記録的豪雨や土砂災害に匹敵するような大きな被害は関東地方では出なかった。

 災害が起きてから警報を出しても遅いし,警報によって被害が最小限に抑えられる可能性も高い。しかし,今回の台風7号の予測は,残念ながら大きく外したという結果になっている。

 ここから得られる教訓の1つは,「誰が何と言おうとも備えた方が後悔しなくて済む」ということである。台風が来る,地震が来る,これは自然現象だし,残念ながら地球温暖化によって年々規模が大きくなっているのも事実なので,台風が来そうだと言えばいわゆるライフラインに対する備えや,避難に対する準備をしておくことだし,地震は必ず来るだろうから,年に1回は備えをチェックした方がいい,というぐらい,半分あきらめで常識として対策すべきだろうということである。

 もう1つは,もはや科学に頼ることはできない,ということの認識である。各国のスーパーコンピュータが,世界各地で発生する台風やハリケーンなどの進路や規模について実に精密に計算をしてくれている。しかし,台風7号については,予測は大きく外れて被害が少なかったと判断できる一方で,台風5号も予測は外れて被害が大きく出たと言える。

 これは,計算の元になっている気象モデルが,もはやモデルにならないということを示している。過去の経験が生きないのである。そういう意味では,今後さらにAIを活用する動きが加わったとしても,経験から結論を導き出すことができないので,予測が当たらない,ということになる。

 台風7号では,大きな被害の予測を発表したことにより,計画運休,計画休業をする組織が増えた。これにより,移動が制限され,観光業,飲食業などが大きな損失を出した。イベントの中止も相次いだ。これらによる経済効果の損失は大きい。

 かつて,雲の形や動きを読み,生き物の動きを読み,天気予報をしていた時代に,もう一度戻る必要があるのではないかと思う。もちろん,過去の知見はすべて当てはまらなくなっていると思うので,新しいソラヨミが出てくることを希望する。