トヨタもホンダも「アイドリングストップ」なぜ廃止する? ユーザーにメリットなし!? “消えゆく存在”となった理由とは (msn.com)。
アイドリングストップは「燃費向上」のためだったのか。これらの自動車メーカーの対応を知って,正直,筆者は非常に残念な思いである。
筆者は,アイドリング中のたとえば2分間のムダな排気ガス,つまりCO2やNOx,さらに「生ガス」と呼ばれるガソリンの燃え残りガスが空中に放出されることが我慢できないのである。排気ガスを少しでも減らすことで,大気汚染を少しでも減らすことができれば,地球のため,生き物のためになる,と思っているのである。
実際,狭い車庫や屋内駐車場でアイドリングを続けた場合,排気ガスのニオイはひどいものがある。いくら排気ガス規制が厳しくなっても,排気ガスは毒ガスである。おそらく,排気ガスを車内に取り込めば,自殺できてしまうはずである。
一方,アイドリングストップ後,再度エンジンを掛ける際には,着火性能を上げるためにガソリン濃度を上げて燃焼させるため,排気ガスの成分はより悪くなる。何度もアイドリングストップを繰り返せば,悪い排ガスを多く排出することになる。これでは本末転倒である。
実際,アイドリングストップ車は,必要以上にエンジンを停める動作を繰り返しているように思う。たとえば信号で停車した際,すぐにエンジンストップしたあと,ちょっとでもブレーキが緩むとエンジンがかかり,またすぐにエンジンが停止する。1回の信号停車で2回も3回もアイドリングストップすることが多い。また,停車時に必ずエンジンを止めてしまうため,短時間の信号停車であってもエンジンストップしてしまう。不要なアイドリングストップが多すぎるのである。
つまり,現在のアイドリングストップにはインテリジェンスがまったくない。正直,こんなアイドリングストップ機能は不要である。あるいは,設計ミスであると筆者は感じるのである。
筆者の24年モノの愛車には,アイドリングストップ機能はない。しかし,2分ほども続く信号待ちの間にアイドリングを続けるのは気が引ける。したがって,信号停車が長くなりそうだなと判断した場合は,意図的にエンジンをストップさせている。バッテリーは普通のタイプである。定期検査の際にも,バッテリーの劣化はほとんどない。高いアイドリングストップ対応バッテリーを使うこともない。
結局,クルマが停止したら必ずアイドリングストップになる,という設計が間違っているのであって,クルマの停止時間が短ければアイドリングストップを働かせない,というインテリジェンスを組み込めなかった自動車メーカーの設計ミスだと思う。
現在,衝突防止などの目的で前方カメラを取り付けたクルマが増えている。ならば,この映像から信号の切り替えタイミングの情報を取得し,すぐに青に変わるならアイドリングをストップさせない,といったインテリジェンスを組み込んでみてはどうだろうか。
結局,このプログラムができなかった分,自動車メーカーはハイブリッド車に逃げた,と筆者は考えてしまうのである。上記の2社がまさにこの構図に当てはまる。一方,日産自動車では初期のアイドリングストップ車の中でバッテリーでのエンジン始動ではなく,停車時にバネの力を溜めることで,その反発力でエンジンを掛けるという仕組みのアイドリングストップ車を販売していた。筆者はこのアイディアには賛成なのだが,いつのまにか市場からは消えてしまっている。現在,駆動はすべてモーター,バッテリーの充電に小型エンジンを使う,というe-Power方式が同社の主流になっているが,回答としてはこの方式が最もユーザーに優しく,環境にも優しい方法だと思っている。キャンピングカーの暖房や冷房用に,クルマ用のエンジンとは別に小型のエンジンを回す方法に近い発想だと考える。
もちろん,排気ガスを出さないEVや燃料電池車,水素エンジン車なども,排気ガス対策としては優れているが,EVではバッテリー寿命と走行距離,充電時間の長さ,燃料電池車は電極に必要な白金の安定供給の問題,水素エンジン車は水素脆性によるエンジンの劣化などの問題を持っている。
アイドリングストップは,頻繁にエンジンを止め,再びエンジンを掛けるなどの騒音や振動も問題になっているが,排ガスそのものを減らす効果は確かにある。燃費に貢献しなくなったという理由を付けてシステムをやめるというクルマメーカーのエゴイズムには,一言意見させていただきたい。