夏でも冬でも,食前のビールが欠かせなかった筆者なのだが,寄る年波には勝てず,アルコールの酔いが辛くなってきて,その代替策に悩んでいた。何しろ,ビールは酒税が下がって安くなり,350mL缶6本で1000円を切る価格になったのに,逆に発泡酒は酒税が上がって同じく700円ぐらいに値上げされ,価格差がなくなって来ている。
発泡酒のクオリティが上がって,ビールとの差がほとんど分からなくなった。味,香りはもちろん,最初の1杯のノドごしに必要な高めの炭酸度も十分で,ここ数年は発泡酒で十分満足できていたのだが,価格差がなくなってビールを選ぶことも増えた。各社の一押しのビールを,掛け値なしで飲めるのはありがたい。
一方で,ノンアルコールビールもこれまでずっと評価をしてきた。なぜか,飲んだ後の香りに特に違和感を覚えていたのだが,2024年登場の「アサヒゼロ」は確かにビールと間違うほどの仕上がりになっていた。ようやくたどり着いたな,という印象だった。
ところが,ノンアルビールの価格が意外にも高い。アサヒゼロの場合,6本で850円クラスになる。ビールと発泡酒の間ぐらいになる。コスパを考えるとちょっと考えてしまった。
単純にノドごしだけで満足しようと考えてトライしたのが,炭酸水である。かつて,40年前に初めての海外旅行に行って,エールフランスの機内で出された小さなボトルに入った炭酸水を初めて飲んでビックリしたのを思い出す。水なのに,筆者の舌の苦み味蕾を刺激して,非常に違和感を覚えたのだ。このときの経験があるのか,お酒の炭酸割り,いわゆるハイボールには基本的に手を出さなかった。ウイスキーでも焼酎でも,水割りやお湯割り,オンザロックに限っていた。当然のことながら,レストランでPerierを頼むこともなかった。
しかし,スーパーの飲料水売り場に行くと,炭酸水はミネラルウオーターや緑茶と同様,最も安い価格帯にある。500mLのペットボトルで100円前後。さらに特売品だと40円ぐらいのものまである。正直,お金を出して水を買うのは抵抗があるのだが,炭酸水には付加価値が感じられる。天然水をうたった炭酸水もあり,クオリティも問題ない。
実験の結果,ビール並みのノドごしを得るにはまずキンキンに冷やすことが前提になった。さらに炭酸が抜けていったノドごしを補完するために氷を加えて冷やし続けるといいと思った。
筆者の場合,ビールだと何本でも飲めるのだが,炭酸水の場合は最初の1杯で満足してしまった。基本は水なのでお腹が膨れるだけで,その辺りはビールが内臓を刺激して食欲増進させるのとは少し違うように思える。ただ,炭酸水だと当然のことながら酔わないので,飲んだ後の食事をゆっくり楽しむことができた。500mLペットボトルだと,2回に分けて消費するようになり,さらにコスパは上がりそうである。
炭酸水独特の苦みのような感覚は相変わらずなのだが,今後はこの感覚を楽しむような飲み方ができればと思っている。おそらく,ブランドによっても味わいが違うのではないかと思われる。ちなみに,炭酸飲料によるCO2放出が地球温暖化に影響しているのかどうかについても,また機会をみて計算してみる必要があると思っている。