2024/9/23に能登半島を襲った線状降水帯による豪雨とそれによる土砂災害。2024/1/1の能登半島地震で地盤が大きく歪んだところに降った大雨で河川氾濫と土砂崩れが起きた。
大雨による土砂崩れが起きやすいと言われるのが,九州地方である。もともとが火山灰が堆積してできた地域で,山自体がもろいと言われている。しかし,考えれば,日本全国,どこでも動くプレートの上にあり,頑丈な地盤というのは実はないのかもしれない。
一方で,水道管が破裂してその水の勢いで地中に空洞ができ,その上の地面が陥没するという事故が,日本各地で起きている。博多駅前の事故が2016年11月8日,近いところでは2024年9月26日に広島市内で大規模な陥没が起きた。
水の力をあなどってはいけない,と改めて思ったのである。
水道管の破裂といっても、最初は小さなヒビや割れから始まる。しかしその小さな穴が明くと、そこから噴き出す水の勢いは、水鉄砲のごとく強い。そして同じ方向に噴射されるので、その先の地盤には簡単に穴が明き、それが広がって行く。そのまま、水道管の穴も周囲が崩れて、今度は大量の水が噴き出し、土と共に次の行き先に向かって流れて行く。跡には大きな空洞ができ、水道管や地盤を支えきれなくなり、地盤沈下する。地表が土なら地面にも陥没が徐々に進むので早い段階で気がつくが、舗装が進んだ街では、気がつかないうちに地下の空洞が広がり、一気に崩落する。
山に降った雨も、ゆっくり地面に吸い込まれれば、地下水となって麓に涌き出すなどの風流な光景になるが、森林の管理が疎かになったり、材木の目的だけで杉などの針葉樹を植林していると、枯葉の堆積による保水効果がなくなり、雨水が一気に地表を流れたり、表層に一気に染み込んで土砂崩れを起こすことになる。
水の勢いでモノを切断できる技術がウオータージェット加工機である。石材の加工にも使われるし、条件を管理すれば金属も切断できる。
地球は基本的に土と水でできていることを改めて認識する。その水は、重いということと、速いということと、隙間に自由に入り込めるということを、改めて認識する必要があるだろう。大雨によって川が氾濫するといっても、実際は堤防を越える訳ではなく、堤防が決壊して堤防の意味がなくなることで大きな災害になっている。その元をたどれば、わずかなヒビや穴を見逃すことで一気に崩落することが多いと考えられる。
そして、水は必ず高い所から低い所に流れる。一気に流れればスピードも速くなり、また水の厚みも厚くなる。そしてその重さと速度を掛け合わせた「力」「エネルギー」は膨大である。人が歩けないどころか、家が倒されたり、土台ごと流されたりする。これはもはや人知を越えている。
まず逃げることが優先だが、万一、巻き込まれた時に唯一生き延びられる手段の1つとして、ライフジャケットも準備しておくことを提案した(ラッシュガードを着てその中にペットボトルを入れてライフジャケット代わりに利用するアイディアの紹介 - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2024/9/12)。当初は海岸に近い人たちに向けて津波対策の1つとして考えていたのだが、今回の能登大雨災害を見ると、ひょっとしたら土砂崩れや洪水に対しても「命を守る行動」の1つに加えていいかもと思うのである。
現在、アルコールを絶って強炭酸水を楽しんでいる筆者だが(「強炭酸水+氷」でビールのノドごしを代替できるか--最低価格のノンアル - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2024/9/4)、簡易ライフジャケットとしてのペットボトルをこの炭酸系の硬いボトルの方が浮力を維持できると考えて、コレクション中である。
水は生命を生み出し,生き物の命を支える重要な物質なのだが,時に牙を剥き,特に地上に上がった生き物に対しては呼吸を奪う凶器になりうる。あるメディアの見出しに「水害」という文字が大きく載っていた。通常は,台風や大雨による土石流や洪水,土砂崩れなどを指すようだ。高潮による災害も含まれるが,津波は別扱いになっていることが多い。しかし,津波そのもので船舶が被害を受ける以外に,東日本大震災や能登半島地震のように家屋にまで被害が及ぶ場合は,水害と言ってもいいだろう。
筆者としては,水道管の漏水による地盤沈下や陥没も,水害と呼んでいいと思う。老朽化のメンテナンスをしないことによる人災の一種ではあるが,水の威力をまざまざと見せつけるできごとだからである。