2024年10月23日,BRICS首脳会議がロシア中部カザンで開催された。BRICSの前身であるBRICは2009年にブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国で結成された。結成当初,筆者は西欧自由経済諸国に対抗するための枠組みと認識していたが,それほど重要とは認識していなかった。BRICsとも表記して,「新興諸国連合」という位置づけだった。3大国にブラジルが加わるというスタイルには少し違和感を覚えた。同じころ,もう1つの新興諸国のグループとしてVISTAという言葉も生まれた。ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの5カ国である。これは経済学者が勝手に作ったもので,具体的な結成実績はない。
BRICSは,2011年に南アフリカが加盟して5カ国連合となり,さらに2024年1月1日にイラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピアが加わって9カ国から成る国際会議となった。ユーラシア大陸,アフリカ大陸を中心とし,アメリカやEU,日本を中心とした経済圏に対抗する陣容になってきている。人口,資源,そして核武装も含めて,西側と完全に対立する構図が出来上がってしまった。
国際連合の存在感なく,西側連合と東側連合の2連合並立で,いよいよ第三次大戦の危険 - jeyseni's diary (2024/2/23)でウクライナ紛争の激化を国連が止められない事態を指摘したが,BRICSによる新たな世界連合がここに来て本格的に機能し始めたのを感じる。
10月24日,このBRICS首脳会議の拡大会議に国連のグテーレス事務総長が参加し,ウクライナ紛争の解決を提言した。またロシアのプーチン大統領とも会談したという。おそらく効果はないにしても,勇気ある行動だと思う。しかしこれでロシアと中国が国連を脱退するような事態になれば,世界全面戦争の危険が高まる。歯止めが効かなくなるからである。
この際,第3のインテリジェンスとして「AI」を世界オブザーバーにし,国連グループとBRICSグループの双方に拒否権を持つご意見番として配置してはどうだろうか。どちらのグループでも,AIオブザーバーはなんとなく常に拒否権を発動するような気もするが,議論を穏便に進める強力な力になるような気がする。