何でも新しいモノ好きの筆者だが,今度は日本でなかなか入手できないタブレットに挑戦してみた。中国TCL社の新方式ディスプレイ「NXTPAPER」採用のタブレットである。
ここまで自転車用のバックモニターの実験をする中で,屋外での液晶パネルの視認性の悪さが気になっていた。クルマ車内用の液晶パネルでは,屋外の明るい環境では見づらい。そこでバイク用に採用されたIPS液晶パネルの視認性に納得したのである。昨今流行りの有機ELパネルは,折り畳みディスプレイを実現できても屋外用ディスプレイとしてはおそらく視認性は低いと思われる。
この屋外で使えるディスプレイを検索しているうちに見つけたのが,TCL社の「NXTPAPER」ディスプレイである。カラーだが紙のような質感の画像を表示できるとされていた。
紙の質感と言えば,いわゆる電子ペーパーディスプレイも使われている。バックライトを使わないため,紙のような質感があり,特に書籍用ディスプレイでは長時間見ても目が疲れないという。ただ,物理的に黒い粒子を白い液体の中で移動させるような動作原理のため,応答速度が遅く,動画の表示には向いていない。また画面をスクロールするような使い方だと画面の表示がついていかない。新しいページを表示するには,いったん真っ白か真っ黒に全体をリセットしてからでないと残像が残るため,リフレッシュする瞬間が気になる可能性がある。
NXTPAPERは,カラー,紙のような質感,そして液晶パネル並みの応答速度があるとされ,動画の表示も問題なく,さらに屋外のような明るい環境での視認性にも優れているという特徴がある,と書かれていた。これは非常に魅力的な特徴である。
ところが,いつものAmazonを検索しても,このパネルを搭載したスマホやタブレットを販売していない。唯一,techinnというサイトで販売していることが分かったのだが,初めてのアクセスだけに躊躇して,1ヶ月ぐらい買わないままになっていた。
しかし,手持ちのQua tabのバッテリー寿命がいよいよ来て,さらに充電用のマイクロUSBコネクタの接触不良が激しくなり,充電が確実にできる保証がなくなってしまったので,この際と思って思い切って購入をしてみた。
同サイトはTRADEINN RETAIL SERVICES, S.L.というスペインの会社が運用していた。サイト自体は日本語で表示されている。複数の人のコメントを見てたぶん大丈夫だろう,という決断をし,購入に至った。
品物は,スペインからオランダを経由して日本に送られ,日本郵政が届けてくれた。購入してから手元に届くのに11日掛かったが,途中の手続きの様子は14段階ほど,経過を見ることができた。
画面は11インチ。ディスプレイの表面は梨地状で,ほとんどのタブレットのようなツルツルではない。サラサラした感触である。表示はバックライトになっており,発色も問題ない。画面のスクロールも自然で,問題ない。たしかに明るい場所での視認性も悪くはない。
ということで,普通の液晶パネルとの差を直感で見分けることが筆者にはできていない。パネル表面が梨地なのは,いわゆる「ノングレア」液晶パネルにもあるので,絶対的な差とも思えない。
11型のAndroidタブレットなら1万円台で購入できるので,3万円台のこのNXTPAPERタブレットのメリットがすぐには表現できないのが残念である。まあ,iPadよりははるかに安い,ということは言えるのだが。
電子ペーパーのように,明るい環境で圧倒的に見やすい,といったこともなく,IPS液晶パネルや有機ELパネルとの差別化も微妙な感じである。TCL社が今後量産で圧倒的に安くパネルを供給できるといった日が来るのだろうか。それとも一過性のパネルとして消えていってしまうのか。とりあえず,もう少し評価を進めたいと思っている。



【追記】
NXTPAPERディスプレイの技術的説明としては,中国TCL、カラー対応の反射型液晶ディスプレイ搭載タブレット発表 動作は電子ペーパーより滑らかで省電力:CES 2021 - ITmedia NEWS (2021/1/13)。2021年の技術発表で,「バックライトのない反射型カラー液晶ディスプレイ」と説明されている。バックライトはあるように見えるのだが。
【追記2】
TCLから”紙に近い”NXTPAPER 4.0搭載タブレットまもなく登場【TCL NXTPAPER 11 Plus】 (2025/3/7)。どうやら,日本でも販売が始まるようである。