jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

UG(地下)案内システムを標準で構築してほしい--海外からの旅行者だけでなく,方向音痴の筆者も使いたい

ラビリンス(迷宮,迷路)の典型が,日本の地下街である。地下のショッピング街,地下鉄,そして地下駐車場。ビルの基礎を避けて通路が作られるので,まっすぐな地下通路などどこにもない。しかも上がったり下りたり,二股に分かれたり,クランク状に曲がったりと,まるで迷路ゲームである。

 方向音痴な筆者は,とにかく地下道が嫌いである。マップを持っていても間違える。特に上の道路を避けていったん下がって上がると,もうわからなくなる。平面(垂直面)だけで構成されたスーパーマリオブラザーズでさえ迷うのに,昨今の3Dゲームは目が回ってしまう。

 どこでも案内してくれるナビゲーションシステムだが,唯一この地下の案内は苦手である。何しろ,GPS衛星で位置を把握することが基本なので,地下は苦手なはずである。クルマで走っている際も,トンネルに入ったり,地下トンネルに入ったりすると,途端に挙動がおかしくなる。昨今は,方位センサーと走行速度の情報を組み合わせてある程度,経路を予測して表示するようになっているが,あくまでも当てずっぽうである。

 電車の乗り換えに対しても,ナビはほとんど役に立たない。地上の乗り換えでも建物の中だとナビが使えないからである。

 ここは,日本の全キャリアがタッグを組んで,地下のナビゲーションシステムを作ってほしい。題して「UG(地下)ナビシステム」である。「ユージーナビ」と略そう。アンダーグラウンドの意味だが,“アングラ”とは意味が違うからである。

 方法はたぶん簡単で,いわゆるビーコンを使うことである。数秒に1回、無線で半径数メートルから数十メートルの範囲に信号を発信し,これを受信してマップと照合し,ナビをする。たとえば30m間隔にビーコンを設置すれば,たいていのマッピングに対応できるのではないだろうか。

 結局,いまだに日本国内では業者間のミミッちい競争があって,統一規格が出来上がらない。世界中の路地レベルまでマッピングしてしまったgoogle mapやApple map,そしてOSM(Open Street Map)が世界標準なのに,いまだにゼンリンだ,マップル(昭文社)だ,と和製にこだわる。そのうち,(あるいはもうすでに)googleストリートビューで地下街もすべて3D映像化されてしまうのではないだろうか。

 しかし,地下のナビでは,基準となる発信機器を物理的に取り付けなければ実現しない。その仕組みまで海外企業に取られてしまって恥ずかしくないのか。docomoausoftbank楽天と,全キャリアが協力して,共通の仕組みを作って運用してはどうだろうか。

 今日も,海外からの旅行者が地下鉄からの出口を探して迷っていた。スマホを片手に持っていたが,おそらく出口の名前が書かれているだけだろう。案内板も矢印も分かりにくい。

 海外の空港の中には,床に行先ごとに色分けしたレーンが描かれていることがある。次の行先が分かれば,その色のレーンをたどれば目的地に行きつく。実にシンプルで野暮ったいが,的を射たシステムである。どうして日本にはこうしたセンスがないのか,と思ってしまう。

 2020東京オリンピックは,コロナ禍で1年延期して強行された。東京の地下鉄も,これに合わせて構内の模様替えをずいぶん進めていた。しかし,予算の関係か,中途半端な模様替えに終わってしまったように思う。東京駅などは,かえって薄暗くなって印象が悪くなっているように思える。

 結局,UGナビのようなおもてなしの案内システムは実現していない。2025年に強行される関西万博でも実現しないだろう。空飛ぶクルマも結局はデモ飛行だけに終わるようだし,無人バスぐらいは運行するのかもしれないが,誰も乗らないのではないだろうか。ならばせめて会場内の移動をサポートするシステムを構築してはどうだろうか。

 かつて日本にはPHS電話があった。基地局の間隔が500mと細かく,局の設置は大変だったが,小出力だし,基地局による位置検出精度は高かった。ビーコンによるナビは,機器の設置密度はさらに高くなる。それだけに,地下限定とか,〇〇会場限定とかで運用できるシステムなのだと思っている。

 あるいは,カメラで地下街を撮影するだけで,自分の位置を認識し,ナビができるAI画像処理ナビができるかもしれない。google ストリートビューとの組み合わせで,実現できる可能性はゼロではない。ただ,さすがにAI画像処理でも,ほとんど景色が変わらない地下通路内で自分の位置を確定することは無理かなと思う。ここはやはり無線信号を使って確実にアドレスを刻むという日本らしい堅実さが欲しい。あえて最新技術を使う必要はない。

 基本的に筆者は地下は嫌いである。方向音痴に加え,停電,洪水,地震などを考えると,地上の方がいい。しかし,ひょっとしたら地上の環境破壊は止まらず,人類は地下生活をしなければならなくなるかもしれない。せめて,間違えずに移動できる仕組みがほしい。ミミッちいことでドングリの背比べばかりしていては,本当に「トンビにあぶらげ」をさらわれてしまうだろう。